「あ、バニーだ」
「あ、ホント」
「二人して何してるんですか?」
「アイス食べてるに決まってんでしょ。ねー、」
「ね〜」
とある日。
時間があったのでマンションに戻ると
制服姿のとブルーローズさんが座って、コーンに乗ったアイスを食べていた。
「今日暑くってさぁ、此処来る途中アイス買って食べてきたの」
「凄いんだよバニー。今ねー此処のアイスクリームショップ、アイス3つ乗せてくれるんだよ!」
「此処着いたときは1個になってたけどね」
「暑いから勢いで食べちゃったよね」
「は、はぁ、そうですか」
むしろ、二人の会話に僕自身ついていけない。
無理もないだろう・・・二人は年頃の女の子、こういったことが好きなのは当たり前だ。
まぁが楽しそうにしているのであれば
僕としてはそれはそれで良しだと思っている。
「、最後の1つは何にしたの?」
「私?えへへ、ラブポーションサーティワンだよ。カリーナは?」
「私はチョコレートミントよ。爽やかな味がたまらないんだから」
「カリーナさんは大人だねぇ〜」
「アンタは相変わらずおこちゃまね」
二人は完全に僕の存在を忘れて会話をしている。
女の子というのは、本当に不思議な人種だなぁとやブルーローズさんを見て思っていた。
「やだ、会社に行くの忘れてた。じゃあ私、行くわ・・・、また明日学校でね!」
「うん。バイバーイ」
ブルーローズさんはカバンを持って、慌てて部屋を後にした。
その場に残ったのは僕と。・・・まぁ残って当然ではあるんだが。
僕は椅子に腰掛け、床に座ってコーンの上に乗ったアイスを嬉しそうに食べているを見る。
「美味しいですか?」
「え?・・・うん、美味しいよ!私このアイス好きだから」
「じゃあ今度買ってきてあげますね。どういう名前のアイスですか?」
「ん?ラブポーションサーティワンっていうの。ハートの形をしたチョコレートが入ってて可愛いんだよ」
「そうですか。じゃあ覚えておきますね」
僕はが食べているフレーバーを忘れないように
携帯に打ち込み、数日ぐらいして買ってきてあげようと心の中で思っていた。
しかしなんていうか・・・アイスを食べているは可愛い。
いや、いつも可愛いんだが
好きなものを頬張っているは格別に可愛い。
「ん?バニー、どうかした?」
「え?あぁ、いえ何でも」
僕の視線を感じたのかが不思議そうな顔をして僕に話しかける。
しかし、「君を見ていました」とかバカ正直に答えると
顔を真っ赤にして「見ないで!」とかそういう反応も見るのも悪くはないが
ずっと見ていたいから、あえて言葉を濁した。
でも、何かアイスを食べるというのは・・・心臓に良くない。
身体的じゃなくて、そう僕の理性的なところだ。
あまり溶けていないのか、円形のアイスを楽しそうに舐める。
その姿を見ているだけで理性の1本1本が切れていく音がする。
チラリと出てくる可愛らしい舌。
たまに気にして口端に付いた溶けたアイスを指で拭い
それを舌で舐めあげる仕草。
「(・・・・色っぽすぎる、コレは・・・・)」
暑さで僕の脳みそがやられているのかもしれない。
しかし、もで悪い。
アイスを食べる仕草が異様に色っぽい・・・先ほどまで見ていた彼女なのか?と思うほど。
それくらい欲情している自分が居る。
多分、今とキスをしたらアイスのフレーバーが口の中で混ざり合うことは間違いないだろう。
「バニー?どうしたの?」
「いえ・・・何も。アイス、食べ終わったんですか?」
「うん。美味しかったよ」
僕が顔を伏せて考え込んでいると、が話しかけてきた。
どうやらアイスを食べ終わったらしい。
伏せていた顔を上げると、の顔が視界に入る。
ふと、気づいて笑みを浮かべた。
「、口端にアイスが付いてますよ」
「え?・・・や、やだっ・・・ど、どっちに付いてるの!?」
顔を真っ赤にして、は慌てて僕に尋ねてくる。
僕は手を伸ばし、の口端に付いた溶けたアイスの残りを指で拭う・・・つもりだった。
でも、どうやらもう僕の理性はどこかで切れていたらしく
そのまま顔を近づけ、自らの舌で溶けたアイスを拭う。
「・・・っ、バ、バニーッ!?」
「甘い味しかしないんですけど・・・他にどんな味が混ざってるんですか?
見たときはカラフルな赤と白のマーブルだったでしょう?今度買ってくるための参考に教えてください」
「ホ、ホワイトチョコと・・・ラズベリーアイス、に・・・ラズベリーの」
「よく分かりません。味、どんな味がするんですか?」
「だから、その・・・っ」
頬に手を添えて、の顔をジッと見つめる。
顔が真っ赤になって可愛い。
「あ、あのねバニー」
「何か?」
「その・・・ラブポーションって知ってる?」
「いいえ。どういう意味なんですか?」
優しく問いかけると、が僕の首に腕を絡めてきた。
顔が凄く近くて・・・彼女の緊張が、僕にまで伝わってくるほど。
口から香ってくる甘い香りと甘酸っぱい香りが、鼻を刺激していく。
「あのね」
「はい」
「恋の媚薬って、言うんだよ」
ラブポーション・・・恋の媚薬、か。
「へぇ。じゃあ僕はもっとに夢中になっちゃいますよ」
「バニー」
「まぁ君に夢中になるのは僕にとっては全然問題のないことなんですけどね」
そう言って、僕はに口付けた。
キスをしたとき広がったのは、甘い味と甘酸っぱい味。
それはまた恋に落ちたかのような刺激的な甘さと、だがそれでいて夢中になっていく甘さ。
そう、まるで恋の媚薬(ラブポーション)という名にふさわしく
魅惑のフレーバーを食べ彼女にかけた、僕を夢中にしていく魔法だった。
ラブポーション・マジック
(恋に落ちる刺激的な甘酸っぱさと、夢中にしていく魅惑的な甘さ。それはまさしく魔法の恋薬)