「おはようございます」


「おぉ。おいバニー、さくらんぼ食わねぇ?」


「はい?」




会社に行くと、なにやら皆で楽しげに騒いでいた。
挨拶を返してくれた虎徹さんの次の言葉に、僕は驚いた。






「何ですか、急に」


「いや、実はさ・・・俺の実家の母親が送ってきたんだよ。
俺1人じゃ食べれそうにないから持ってきたんだ。お前も食えよ」


「は、はぁ」







昨日の今日で、またさくらんぼ。

昨日の夜もが買って来たさくらんぼを食べたし
正直な話、そんな連続で食べなくてもいいと思っている。

目の前にあるさくらんぼを視界に映す。


赤い実がライトに照らされて、綺麗に光っている。


でも昨日、が買ってきてくれたさくらんぼよりも劣るな。








「何だバニー・・・さくらんぼ嫌いか?」



「いえ・・・そういうわけじゃ。い、いただきます」








食べないと怪しまれる。

別に嫌いじゃないけど、食べ過ぎるのも嫌いになる原因になるかもしれない。
とりあえず1個だけ食べて終わりにしよう。

僕はさくらんぼを1つ取り、口の中に入れる。
さすがにこんなところで「へたの遊び」をしたら行儀が悪いからそれは隠すことに。


口の中に入れて、すぐ種とへたを取って隅に寄せた。
すると、目に・・・へたが結び目をつけて置かれているのが入った。


いや、僕じゃないですよ・・・コレは。






「なぁなぁバニー・・・お前、コレ出来るか?」



「はい?」





虎徹さんが誇らしげに何かを披露?しはじめた。

口の中にさくらんぼのへたを入れて・・・・・・中でもごもごと、動かして・・・数秒して――――。








「じゃーん。舌でさくらんぼのへたに結び目できるか?」



「・・・・・・・」







僕だってクセでやりかねないのに、この人は人前だというのを忘れて・・・・。






「虎徹さん、行儀が悪いですよ」



「んだよ、いいだろ別に。あ、もしかしてバニーって意外に不器用?
爆弾の処理とかすっげぇ出来るくせに、こういうの出来なかったりする?まぁそうだよな、お前も人間だもんな」








カチン、ときた。






「バカにしないでください。それくらい出来ます、行儀が悪いだけでやらないんです」



「まぁ〜たそんなお坊ちゃんみたいなこと言って・・・ホントは出来ないんだろ?」



「出来ます。人前でやるのは行儀が悪いと言ってるでしょ虎徹さん」



「ならやってみせろよ」



「いいですよ」






売り言葉に買い言葉、まんまと乗せられて
僕は昨日同様、口の中でさくらんぼのへたに結び目を作った。

すると、会社の人たちはびっくりしていたが
僕は「出来ない」と決め付けられたまま過ごすのは嫌だし、後々からかわれそうだから
此処はちゃんとやっておくべきだと自己判断。





「これでいいですか?」



「へぇ、お前も出来るんだな」



「出来ないと思われちゃ嫌なんで」



「あーそーですか」





僕の態度に虎徹さんが嫌味にも似た様な声を上げる。






「でも、虎徹さん・・・こんなの平気でやってて、よく恥ずかしくないですね」



「悪かったな、行儀の悪いおじさんで」



「違いますよ。その態度じゃ知らないみたいですね・・・口の中でさくらんぼのへたに結び目を作れる人の意味」



「は?」



「知らないならいいんですよ、えぇ知らないほうが身のためですから」



「ちょっ、どういう意味だよバニー!!」






僕は笑顔でその場を立ち去った。
そんな僕を虎徹さんは大声で飛びとめるも、僕はそれをスルー。

さて、あの人がこの事実に気づくのはいつのことだろうか。
まぁ・・・には聞かないだろう、多分彼女も・・・コレに懲りていることだし。





















- 一方、は・・・? -







「さぁ、。昨日の報告よ、バニーさんはさくらんぼのへた」



いやぁぁぁあ!!やめて!!お願い、それだけは聞かないでぇぇえ!!」



「は?」






お昼休み。
とある教室に割れるような悲鳴が聞こえた。
私の叫び声だ。

私はカリーナのクラスに行くのが億劫だった。
理由は、昨日のこと・・・バニーにさくらんぼのへたを口の中で結べるかどうかの事を
聞かれそれを本日報告するということになっていた。


しかし、私は昨日・・・大分それに懲りている。
むしろ恥ずかしくてもう・・・嫌だ。






「ちょっと、落ち着きなさいよ



「カリーナ!カリーナ!!もう、もう私をいっそこの教室の窓から突き落としてー!!」



「何バカなこと言ってんのよ!!」





半泣きをしている私を宥め抱きしめてくれるカリーナ。





「もう・・・昨日、何があったの?」





すると彼女が小さく私の耳元に喋りかけてきた。
私は彼女の胸の中で小さく喋りだす。








「さくらんぼ・・・バニーに食べさせた」


「マジでやる!?アンタ、バカでしょ?」


「私がバカだった・・・もう、二度とあんなのしたくない」


「は?・・・ど、どういう意味よ?」






此処からは口が裂けても言えない話。


あの後・・・バニーのキスの凄さを体で実感させられたのだ。
しかも彼は焦らすに焦らして
もう、何度と彼の唇や舌の動きで、啼かされたのか覚えていない。


更には私がギブアップの声を上げても
「本当に欲しいモノは・・・自分の口で言ってくださいね」とまで
私に恥ずかしいことを言わせる始末。

言えない、と言えばバニーは
「そんなには僕の唇や舌で遊ばれたいんですね」と笑顔で言って
またしてもその地獄に啼かされ、甲高く声を上げた。

恥ずかしいと思いながらも、決死の覚悟で
「バニーの・・・・・・ちょうだぃ」と言うと、彼は完全な熱の塊のまま私の中に入ってきた。


口と舌の愛撫だけで高められた体の感度は
熱の塊で電撃のような感覚に襲われた。

体がビリビリとして、バニーの熱が私の中で暴れ回る。




息も出来ないくらい体に打ち付けられる、彼の愛。

それが昨日は何度も何度も続いて・・・今日に至る。


正直なところ・・・腰が痛い。








・・・昨日、アイツとなんかあったの?」



「・・・聞かないで・・・もう、穴があったら入りたいんだから」







穴があったら入りたい。

本当に今の私はそんな気持ちだ。






「とりあえず、あのクソ兎は・・・シメとくわ」



「うん・・・・・って、えぇ!?」



「あんの男ッ・・・性懲りもなく、またの体をぉおぉ!!」



「カリーナ!カリーナ!!声が大きいよ!!」







カリーナが怒ってくれるのは嬉しいが、ちょっと避けたい。

バニーから聞いた話で、私のことで追い掛け回されたとか言ってた。
とばっちりが行くのは確実にバニーだ。







「とりあえず、今日アイツシメるから安心して!」


「いや・・・もう、私さくらんぼ食べるの苦手になりそう」





結論。

バニーは口の中でさくらんぼのへたに結び目を作ることが出来る。
そしてキスも上手い。


んで、私は・・・さくらんぼを今後一切、彼の目の前に出さないことを誓った。





Out of the mouth comes evil
("口は災いの元"。後日談、次の日の兎と彼女の行動) inserted by FC2 system

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