「ボンジュールヒーロー」
「差し入れ持って来ましたよ」
とある日の事。
トレーニングルームの休憩室にヒーロー全員が揃っている中
アニエスとが大きな袋を持ちやってきた。
はニコニコしながらそれを「差し入れ」と言い、テーブルの上に置く。
「差し入れ?」
「お昼ご飯です。ハンバーガーですけど」
「とショッピングしててね。普段頑張ってる皆に私からの差し入れよ」
「アニエスさんが差し入れとかどーしたの?」
「明日は雨ね」
「いや雪だろ?」
「違います。きっと槍が降ってくるに違いありません」
アニエスの珍しい行動にドラゴンキッドは驚きの声を上げ
ブルーローズ、虎徹、バーナビーは酷い言い様だった。
「あんた達・・・お昼抜きにされたいの?」
「まぁまぁアニエスさん。とにかく皆さん頑張ってますから召し上がってください」
怒りを前に出そうとしたアニエスをが宥め
ヒーロー達に買ってきたものを食べるよう声を掛けた。
そして各々が袋に手を入れ、食べたいものを取り出す。
ふと、バーナビーはみんなの姿を見て笑っているに気づき近づいていく。
「」
「どうしたのバニー?」
「食べないんですか?」
「私はアニエスさんと食べてきたから。それに」
するととは後ろから、彼らに差し入れとして出した
ファーストフード店の袋を前に出した。
「違うの買ってもらったから大丈夫」
「そうでしたか」
「ホラ、早く取らないと皆に食べられちゃうよ」
「えぇ」
はそう告げバーナビーを安心させた。
するとブルーローズがバーナビーの横を通り、の元に行く。
「ねぇ。一緒に食べよ」
「うん!」
そう言ってブルーローズはの手を引き自分の隣へと座らせた。
またバーナビーもその姿を目に入れ、笑みを浮かべながら
自分の分だけを持ち、から少し離れた場所へと座る。
「!」
「はい?何ですか、アニエスさん?」
ブルーローズの隣に座っているにアニエスが突然声を掛け
彼女もそれに返事をした。
「急に打ち合わせが入ったから此処に居てちょうだい。すぐに戻るから」
「分かりました、気をつけてくださいね」
「ありがとう。・・・ミスター鏑木、私の娘よろしく」
「おめぇの娘じゃねぇだろ」
「いいから頼んだわよ」
虎徹に任せてアニエスは休憩室を後にした。
そして誰もが思っている。
「あのアニエスがの事になると人が変わる」ということを。
アニエスが去った後、虎徹はため息を零しながら
ジュースを飲む。
「まぁ僕らだけで居るのもつまらないし、が来てよかったんじゃないんですか?」
「いやそれお前だけだろ」
「ブルーローズさんも喜んでることですし」
「いやお前も喜んでるだろ。顔に出てんぞ」
「違いますよそんなこと」
そう言いながらバーナビーはジュースを飲む。
完全に図星だな、と虎徹はそう思いながら自らもジュースを飲む。
「、何ソレ?」
「ホットアップルパイ。美味しいよ」
「へぇ、後で一口食べさせて」
「いいよ」
「いいですね、和みます」
「お前だけな」
そう言いながら虎徹はハンバーガーを潰して、頬張っていた。
「虎徹さんやめてくださいよ、それするの」
「いいだろ別に。俺はこういう食い方が好きなんだよ」
「品がないです」
「こういうモノの食い方に品とかあんのかよ!?」
「むしろ行儀が悪いです。仮にもの父親代わりしてるんですからキチンとしてください。
に示しが付きませんよ」
「お前は小姑か」
「いいえの恋人です」
相変わらずのやりとりに、他のヒーローは苦笑。
も見て笑っていた。
「ほら、が笑ってますよ。虎徹さんの行儀が悪いせいで」
「違ぇってーの!なぁ、」
「相変わらず2人のやりとりが面白いだけです」
の言葉に虎徹は何も言い返せなくなり、またバーナビーも虎徹をからかう?のをやめた。
「・・・・熱っ」
「ちょっと!?」
すると、が突然口を手で塞いで顔を伏せた。
あまりに突然すぎることで隣に座っていたブルーローズが心配をする。
「?、大丈夫?」
「うー・・・アップルパイ熱くて・・・舌がヒリヒリする」
「大丈夫ですか?」
「ふぇ?・・・バニー?」
が口を手で塞いで顔を上げると、隣にいつの間にか
心配そうな面持ちでバーナビーが座っていた。
「舌が・・・ヒリヒリしちゃって・・・火傷したみたい」
「慌てて食べるからですよ。手をどかしてください」
「え?」
バーナビーに言われるがままは手を口から退かす。
すると、彼はの顎を持ち上げ少し開いた口の中を覗き込もうとする。
「ちょっ・・・バ、バニーッ!?」
「口、ちゃんと開けてください。見えないですよ」
「い、いいよ〜大丈夫だからっ!」
突然のことでは顔を赤らめて拒否を続ける。
なぜなら下手をすれば、2人の唇が触れ合ってもおかしくないところだからだ。
それほどまでにバーナビーはとの距離が近い。
「、ちゃんと口を開けて見せてください。火傷してるんでしょ?」
「だ、大丈夫だって!ホント、お水、お水もらえれば大丈夫だから〜」
「いいえ、油断をしてはいけません。さぁ見せてください」
「いいよもぉ〜」
「お父さん助けてやれ。・・・娘がピンチだぞ」
「ああいう時バニーの邪魔すっと、アイツ不貞腐れんだよ。むしろ後で痛い目見る」
「いや助けてやれって」
バーナビーとの戯れ?を見ている
ロックバイソンが虎徹に言葉を投げかけるも
彼は気だるそうに答えた。
どうやら、バーナビーの邪魔をしてしまえば後々怖いことになるのは虎徹自身
相棒の勘というか分かるのだろう。
「私、アニエスさん呼んでくる」
すると、ブルーローズが立ち上がり入り口のほうへと凄まじい速さで歩いて行った。
しかも去って行った時の彼女の顔は真顔。
だがどこか背後に漂っていたオーラには怒りを感じていた。
「おい、ブルーローズ行ったぞ」
「アニエス呼んできたほうが無難だろ、じゃなきゃバニーの行動止まんねぇし」
「ちょっとぉ!昼間っから此処修羅場にする気ぃ!?」
「アイツはわざとやってんの。に構ってほしいからやってんの。
俺らが止めても無駄・・・アニエス呼んだほうがいいんだよ。バニーにはそれが丁度いいんだよ」
「どんだけ手のかかる子なのよハンサムは」
「そういう奴なんだってバニーは。特にの事になるとな」
虎徹はそう言いながら潰したハンバーガーを頬張っていた。
休憩室に雷が落ちるまで
残りあと数分・・・のことだった。
とある休憩室での行動−構ってちゃん−
(炸裂!兎の構ってちゃん攻撃)