遊びのつもりが、いつの間にか本気になっていた。


知り合いの、娘さんの家庭教師として
週に3回ほど家に招かれては、勉強を教えていた。



家庭教師と、その家の娘・・・そういう関係だった。



でも段々と真面目で自分を飾ることのないその無垢な彼女に
僕は無性に惹かれた。



遊びのつもりで「君のお父さんに内緒で僕と付き合ってみませんか?」と誘った。

断られるかと思ったが返ってきた答えは「はい」という返事と
ほのかに赤らめた表情だった。




それから、少しずつ
勉強の合間を縫って・・・内緒の戯れを僕と彼女は繰り返した。



繰り返すうちに・・・彼女を独占したくなった。












「ぁ、バ、バーナビー先生」





今日も家庭教師の日。

僕は熱心に問題を解くを後ろから抱きしめた。






「せ、先生・・・ダメです。みんなに、バレちゃう」



「大丈夫ですよ。足音が聞こえたらちゃんと離れます、さぁ君は問題を解きなさい」




そう言いながらの耳元で、吐息交じりで囁く。




ダメです。と言われてすぐにやめるのは・・・真っ当に出来た人間だけ。
生憎と僕はと内緒の戯れを始めたときから、真っ当なんて言葉は溝(ドブ)に捨ててきた。




「僕と君は逢う時間が少ないんですから。こういう時じゃないと、の側にいれないんですよ」


「わ、分かってますけど・・・っ」


「じゃあ、いいじゃないですか。ホラ、は問題を解いて」


「・・・・は、はいっ」





僕の言葉にはおどおどしながら返事をした。
頬を赤らめながらペンを走らせる彼女を横目で見る。


いつからだろうか・・・ちょっと、遊ぶ関係が本気の気持ちへと変わっていったのは。


違う。


本人はその場の流れで承諾したに過ぎないだろう。
僕が・・・変わっていったんだ。気づいたら、に夢中になって、溺れていた。





1週間の、たった3回の逢瀬。

もちろんに溺れた僕がそんなので事足りているわけが無い。



気づかれないように、学校の近くまで車を止めて
登下校しているの姿を毎日見ていた。

自分でもおかしいくらい・・・・に執着していることに気づく。



毎日、毎日考えるのはまだ幼い彼女の事ばかり。

知り合いの・・・虎徹さんの養女だと分かっていながら、僕は信頼している人の子供に手を出し・・・罪を犯した。






分かっている・・・分かっているけれど・・・・・。






「・・・・っ、バーナビー先生っ!?」


「シッ・・・黙って」






僕はの首筋にキスをして、強く吸い上げた。
唇を離すと、薄っすらと赤い斑点が残る。

それだけで首筋がゾクリとして、理性が切れて歯止めが利かなくなる。

もう一度首筋に唇を這わせ、ゆっくりと上にあがり・・・耳たぶを甘く噛む。





「・・・


「せ、先生・・・っ。あの・・・やめっ」


「やめてなんて言葉はいらないです。他にいう言葉は無いんですか?あるはずでしょう?」



耳元で囁くと、の息が少し上がった。

これでもう、勉強する集中力が途切れていく。僕だけ溺れるのは・・・ズルい。



どうして、フェアにならないんだ?


どうして、僕ばっかり―――――。







-------コンコン!





すると、扉を軽く叩く音がした。





お姉ちゃん・・・ケーキ持ってきたんだけど』





どうやら、虎徹さんの娘さん、楓ちゃんがケーキを運んできてくれたらしい。
僕はため息を零しから離れ、目で行くように促した。

彼女はいそいそと扉の元へ向かい、開けた。

外には小さな女の子がケーキとコーヒーのカップが乗ったトレーを持って立っていた。




「はい。お父さんがケーキ買ってきたから二人で食べてって」


「そうなんだ。ありがとう楓ちゃん」


「もう家族なんだから、普通に呼んでいいんだよ」


「あ、そ・・・そうだよね。ご、ゴメンね」





はふんわりと彼女に微笑んだ。


一つ一つの仕草、表情に僕は心を奪われていってしまう。



そして、僕だけが夢中になっていくような気がしている。







「バーナビー先生?どうか、しましたか?」


「え?」





すると、トレーを持ったが僕を心配そうな面持ちで見ていた。
やり取りを終えて、戻ってきたみたいだ。

僕はため息を零し、を見る。





「いえ・・・何でも」


「それなら良かったです。あ、ケーキ・・・楓ちゃんが持ってきてくれたんで、後で食べましょうね」


「え、えぇ・・・そうですね」






トレーを邪魔にならない場所に置く
柔和な表情を浮かべながら、お茶の準備をしている。

僕はそんな彼女の背後に立つ。
振り返ったと向かい合わせの形になり、視線がぶつかった。





「せ、先生?」


は・・・ズルいですね」


「え?・・・きゃっ!?」





の手を握り、ベッドへと押し倒し
上に覆いかぶさって逃げ場を塞ぐ。

ベッドに仰向けに倒れているの顔は、緊張して赤く染まっていた。




「バ、バーナビー先生・・・っ」



「嫌なら突き飛ばせばいいでしょうに、何故しないんです?」





嫌なら突き飛ばして欲しい。


嫌なら最初から突き放して欲しい。


嫌なら僕を夢中にしないで欲しい。



拒むことも、君にはできるはずなのに。





心の中で呟いていると、の手が伸びてきて僕の頬に触れた。







「先生が・・・バーナビー先生が、好きだから、です」










その言葉を耳に入れた瞬間、僕は彼女の唇を塞いだ。

荒々しくキスを繰り返しては
舌を、唾液を交え、吐息を絡み合わせる。


唇を離すと、唾液の糸が繋がっていた名残を見せた。




嫌いじゃなくても突き飛ばせないのが、いつもの君。

君の優しさに・・・僕は甘えてしまう。その優しさが、体も心も縛っていくというのに。





「声・・・抑えてくださいね」



「・・・はぃ」






そう告げて、体を、心を彼女へと捧げるのだった。



1週間に3回の短い逢瀬。
だから僕はと繋がる方法を手当たり次第探す。



探して、探して、見つけて、また探して・・・。





そして僕は、君に夢中になって・・・溺れていくんだ、這い上がれないくらいに。




こうやってきっと僕は溺れてゆく


(探しては見つけての繰り返しで、僕は君に溺れていく) inserted by FC2 system

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