バニーはよくキスをしてくる。
唇に限らず、手の甲やおでこ、頬といった部位にまで。
もちろん・・・その、エ、エッチするときは体のいたるところにするのだけれど。
彼はよくキスをしてくる。
「バニー、よくキスするよね」
「は?何ですか急に?」
よくキスするね、というのを本人の前に言葉にして投げてみた。
すると彼は目を点にして私を見ていたのだ。
「何かそういう言い方されると、キス魔みたいに聞こえるんですが」
「だって、よくキスするから」
「つまり、スキンシップとかで君の頬にキスしたりっていう意味ですか?」
「うん」
ようやく私の言っていることが分かったのか
彼は笑みを浮かべながら答えた。
「なんで?」
「なんでって。にキスするのに理由がいるんですか?」
「だって、よくキスするから」
「やれやれ」
彼はため息を零しながら私に近付き、手を握りそのまま手の甲に唇を落とし
そして目線を上げる。
エメラルドグリーンの瞳と視線が合い、心臓が跳ねる。
「バ、バニーッ」
「は僕がこうやってキスするのは嫌ですか?」
「嫌じゃないけど、何で、かなぁって・・・思っただけ」
「僕、好きなモノにはキスをしたくなるんです」
「へ?」
バニーの突然の発言に私は目が点になる。
好きなモノにキスしたくなる?
「好きなモノだったら、何でもキスしちゃうのバニー?」
「いえ、何でもってわけじゃないですよ」
「だって好きなモノって言うから」
「好きなモノは好きなモノでも、はっきり言うと、君ってことです」
「え?・・・わ、私!?」
好きなモノにキスしたくなる=私、というバニーの(正しい)答えに
私は顔を真っ赤にしてしまった。
すると、彼は手の甲だけでなく唇を指へと移し
一本ずつ慈しむ様に唇を触れさせていく。
しかも、微かにリップ音も聞こえてきている。
「だからこそ、キスしたくなるんです。頬やおでこ、唇に限らず
何処も彼処(かしこ)も、僕は君が好きだからキスをしたいんです。
今触れている指一本でさえも、愛しいくらいなんですよ」
「バ、バニー・・・ッ」
まるで恋愛小説に出てくるセリフを言われているような気分になる。
しかし、それはバニーだからこそ似合うセリフ。
指先に触れていた唇が其処を離れ、顔へ、頬へと移る。
「好きなモノにはキスをしたい、触れていたい。そう思うのは罪ですか?」
「そうじゃ、ないけど」
頬に触れていた彼の唇が、今度は耳に触れ
吐息が耳の中へと入ってくる。
それだけでゾクゾクと背筋に電流が走り、体中の血液が沸騰しそうなくらい熱くなる。
「僕はの全てが好きだから、キスをするんです。分かりましたか?」
「・・・ぅ、ぅん」
「イイ子ですね」
そう言ってバニーは嬉しそうな声を出して、最後に唇にキスをしてきた。
でも、唇にキスは
多分どんなもの(箇所)にキスをするよりも
此処が一番彼の好きなものへのキスかもしれない。
好きなものにはキスをする
(好きなモノ=君ってことで、ご理解いただけましたか?)