「ヤバイッ・・・遅刻する!!」




とある日。

私はバタバタと部屋を走り回っていた。理由、遅刻しそうです。
前日、課題がなかなか終わらずバニーが帰ってきた頃に私はようやく床に入ることが出来た。

しかし、深夜を回っていたせいか・・・起きたのが本当に遅刻するかしないかの瀬戸際。




「大丈夫ですか?僕が学校まで送りましょうか?」




すると、夜中帰ってきたバニーが一旦睡眠をとり、起きてシャワーを浴び
髪の毛を乾かしながらバタバタと動き回る私を見ていた。





「何言ってるの?!バニー、昨日の夜中仕事してたでしょ!疲れてる体に無理させるつもりないから!」


「で、でも」


「大丈夫!今から走れば、一番速いのに乗れるし」


「じゃあせめて駅まで」


「大丈夫だって。ごめん話してる時間ないから、私行くね!!行ってきまーす!!」






バニーとの話も中途半端にして、私はマンションを飛び出し駅へと猛ダッシュをするのだった。









「セーフ!・・・5分のに乗れば間に合う!」


そして猛ダッシュの甲斐あってか、何とか早い電車が来る前に私は駅にたどり着いた。
遅刻はさすがに避けたい。

後は定期を通して、構内に入ればもう問題ない。と思い私はカバンに仕舞った定期入れを探る。





「・・・・ア、アレ?」





定期入れが・・・ない?






「ちょっと!?こんなときに!!」




最悪的なことに、私はどうやら定期をどこかに落としてしまったらしい。
遅刻は免れるだろうと思っていた矢先、まさかの失態。

私は諦めるしかないのか・・・と思い、ため息を零した。


ん?ちょっと待って。






「しまった、あの定期入れの中には!!」






ふと、思い出した。


そう定期入れの中には・・・バニーが載っていた雑誌のコピーをした写真を入れていた。
こんなときに、そしてよりにもよってどこかに落とすなんて。


大切にしていた定期入れ。


バニーの一番カッコいい写真を密かに入れてアレを開くのを
少しながら楽しんでいた自分が居る。


遠く離れていてもどこかにバニーの存在がある。近くに居れる気がした。



それだというのに。



定期を無くしたショックよりも、バニーのあの写真を無くしたショックのほうがよっぽど大きすぎて
私はその場にへたりこんでしまった。ダメだ、ショックすぎて立ち上がれない。

、立ち上がるのよ!」と奮い立たせるも・・・ダメだ。無理だ。







「こんな所に座ってたらみっともないですよ」


「ふぇ?・・・え?」






聞きなれた声に顔を上げた。

すると、其処には―――――。





「早く手を握ってください。立たないと遅刻しちゃいますよ」



「バニーッ!!」





やれやれ、といった表情で手を差し出しているバニーの姿があった。
私は彼の手を握り、引っ張りあげられ立ち上がった。

立ち上がると、スカートの裾に付いた汚れをバニーが丁寧に払う。




「バ、バニー・・・なんでっ」


「君が慌てて出て行って、忘れ物をしたから届けにきたんですよ」


「忘れ物?」


「大事なもの忘れてどうするんですか・・・ハイ」





バニーの手から現れたのは・・・・私の定期入れ。

無くした、落としたと思ってた定期入れが彼の手にあった。





「バニー・・・これ、何処で!?」


「ウチの玄関です。よっぽど慌ててたんですね、玄関に落ちてるのをたまたま見つけたんですよ」


「疲れてるのにわざわざ届けてくれて・・・ありがとう」




私は定期を受け取り、胸にしっかりと抱きしめた。


しかし、ふと思う。






「ねぇ、バニー」


「何ですか?」


「見た?」


「何をですか?」


「て、定期の中」







バニー本人には見られたくないモノが入っている。

彼の写真。雑誌のをカラーコピーして定期の中に入れていた。
それを見られてたら笑われてしまうではないのかと、内心ヒヤヒヤしながら彼に尋ねた。







「いいえ。君が慌ててるのではないかと思って急いで持ってきたので、中は確認してませんよ」


「だ、だよねー。見たら、プライバシーの侵害だよねー」


「何か入ってたんですか?」


「う、うん!!カリーナに渡すプリクラいれてたから落としたんじゃないかって思っただけ」


「そうですか。電車の中で確認してみてくださいね」


「うん、あ、ありがとう!!じゃ、じゃあ行くね!!おうち戻ってゆっくり休んでね!!」


「ありがとうございます。も気をつけてくださいね」






定期を握って、改札を抜ける。

バニーの視線を感じるけど、振り返って手を振ってる場合ではない。
遅刻寸前だからとりあえず構内に行かなきゃ。

階段を上がりながら定期をチラッと確認する。






「(よかった・・・入ってた)」






バニーの写真は無事。

そして当の本人は見ていないと言っていたから大丈夫。
慌てて持ってきてくれたんだもん、見る時間なんてないよね。

そう思いながら、私は一番速い電車に乗り込んで学校へと向かうのだった。



























「まさか、定期の中に僕の写真入れてるなんて。これ以上僕にどう抑えろって言うんですか・・・




























「間一髪だった」


「まぁまずはアイツに感謝しなきゃね


「あい」



お昼休み。

私はカリーナたちとご飯を食べていた。遅刻しそうだったことを話し
バニーが定期を持ってきてくれたことを話した。

もちろん、カリーナの友達は私が「バーナビー・ブルックスJrと付き合っててしかも同棲している」とは知らない。
ただ「年上の彼氏と同棲していて、彼をバニーと呼んでいる」としかカリーナが教えていない。

此処からは私が付け加えたことだが「バーナビー・ブルックスJrの大ファン」ということだけは
自分から堂々と彼女たちに付け加えた。







「で、定期入れの中の王子様は見られなかったの?」


「うん。バニーは見てないし、慌てて持ってきたって言ってたよ」


「嘘くさっ。・・・実は中身見てたりして」


「や、やめてよ〜・・・恥ずかしいじゃんか!」


照れてる、かっわいい〜」


「や、やめてってば!」





完全に私はからわかれていた。
もう恥ずかしくて顔赤いことが手にとるように分かっていた。


でも本当にバニーが定期入れの中、見てたらどうしよう。

帰ったら居ないことを願うしかないか、今日一日顔を合わせないようにするか
二つに一つしか今の私の脳内ではそんな選択肢しか思い浮かばなかった。









「え〜!ちょっと何この記事、最悪〜」

「え?!てかマジなのコレ?!」




するとカリーナのクラスの女子が何やら騒ぎ始めすぐさま
少なからず人だかりが出来ていた。

何の話をしているのだろうと、私やカリーナたちはそちらに目を向ける。









「バーナビーが有名女優と密会とかショックなんだけど」








え?





一人の女子の口から零れた言葉に私の心臓が酷く高鳴った。


バニーが・・・有名な女優さんと、密会?

嘘・・・だよね。







「な、何かの間違いだよ


「嘘に決まってるじゃないあんな記事。気にすること無いわ」


「そ、そうだよね」







カリーナたちが私を懸命に慰める。


しかし、私はどうにも立ち直れない。



確かに昨日、彼は犯罪を撃退していた。
それははっきり覚えているし、しっかりとテレビを点けて見ていた。

じゃあいつ?いつの間に彼はそんなことに?

昨日じゃないとしても、それよりもずっと前からだったのかもしれない。



ダメだ、どんどん悪い方向にしか考えれない。

悪いほうにしか考えてないから、自然と目から涙が溢れてきた。






「カ、カリーナやばい・・・が」


「ちょっと、!しっかりしなさいよ、大丈夫だって」


「カリーナ・・・ッ」






カリーナが泣きそうな私を抱きしめてくれた。
抱きしめられただけで、自分で止めていた涙が溢れ出てきた。








「バーナビーがそんな事するわけないでしょ?」


「で、でも・・・っ」






カリーナが他の人たちに聞こえないように、私の耳元に話しかける。
私も小さく返事をする。









「信じなさいよ。アンタが信じなくてどうすんの?」


「でも・・・私、わたし・・・バニーの彼女で、いれてるかって・・・思ったら・・・」


「アイツがのこと好きだから、自分の手元に置いてんでしょ。だったら」


「それでも・・・・・・不安だよぉ」











歳も違う、生きてる世界も違う、身長だって、経験だって。

何を比べても私と彼は違うところが多すぎる。
その差を埋めることなんて最初から出来ないなんて、分かってた。

だけど、何とかなるって思ってやってた。


それでも時々やってくる不安は拭えなかった。



能力も未だに制御できず、傷つけてばっかり、困らせてばっかり。

だけどそれでもバニーは文句一つ言わない。
何も言わないから、余計怖い。



もう、とっくの昔に愛想がつかされていたのかと思うと
定期入れの中に入れてる彼の写真は、憧れの人でしかないのだと思った。





























「バニー・・・おい、バニー何してんだ?」


「え?あー・・・す、すいません虎徹さん」


「携帯見てお前が笑うとか珍しい〜。何見てたんだ?」


「何でもないです。行きましょう、次は雑誌の取材ですよ」


「またかよ。めんどくせぇな」



「(が僕の写真を定期入れに入れているなら、僕だっての写真を携帯に入れててもいいですよね)」






想いすぎるあまりに-Picture-
(写真を見つめるたびに胸が締め付けられてしまう) inserted by FC2 system

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