今でも、昨日のことが夢なんじゃないかと思うほどだが
目を閉じて、次に開けた時・・・・隣で眠っているを見て
「あぁ、これは現実のものなんだな」と実感していた。


体がふわふわとして、頭が発熱でもあるかのようにボーっとする。


別に体調が悪いわけではない。



多分・・・この手で、この体で、を感じた幸福感が
今の僕の思考をおかしくしているに違いないと思っていた。







「・・・はぁ〜」


「おい、おいバニー」


「あ、虎徹さん。おはようございます」


「おはようございますって時間じゃねぇだろ?もう夕方だぞ」


「そうなんですか?」





虎徹さんに言われ時計を見ると、確かに秒針はもう夕方の時刻を差していた。
あれ?僕、トレーニングルーム入ったのいつだった?

もうそれすら覚えてないくらい思考がおかしい。






「何だ?熱でもあるのかバニー?」


「いえ、そういうわけでは」


「お前がボーっとしてっから、体調でも悪いのかと思ってんだよ。体の具合、悪いなら悪いって言っとけ」


「ですから、どこも具合は悪くありませんって」


「じゃあどうしたってんだよ。朝からお前、ため息ばっかりだぞ」


「え?・・・・・・あ、す、すいません」






虎徹さんにため息を零してばかりだと指摘され、僕は謝る。


しっかりしろバーナビー。
いつもの、いつもの僕らしく―――――。


















『バーナビー・・・・好き、大好きだよぉ』




















「ダメだ!」






―――ガンッ!!






「うぉぉ!?びっくりした!?」





思わず昨晩の事を思い出し、机を思いっきり叩く。


しっかりするどころか・・・完全にと重なったことで浮かれている。


やっと・・・やっと彼女を僕のモノにすることができたんだ。
浮かれずにはいられない。











「・・・・・・」









気づいたら、携帯に保存していたの写真を見つめていた。
彼女が僕の写真を定期に入れているように、僕も彼女の写真を携帯に入れて持ち歩いていた。
(いつ、どこで撮ったなんて野暮なことは聞かないでくださいね。)






「おい、バニー?・・・バニーちゃーん?」



「はっ!・・・こ、虎徹さんっ」






またしても僕は物思いに耽り、仕舞いにはの名前を呟き
それを虎徹さんに聞かれ我に返る。

すると、虎徹さんはため息を零しながら僕の目の前に腰掛けた。







「お前、とまたケンカしたのか?ショックでかすぎて、の名前呟いてたぞ」



「え?・・・あ、いや・・あの・・・仲直りはしました」



「お!そうか、よかったじゃねぇか。・・・ってじゃあ何でお前ため息ばっかりなんだよ」



「いや、あの・・・これには深いワケがあって」





突っ込まれたらどうかえしたらいいのか、この場合。


虎徹さんはのことを自分の娘さんと同じように可愛がってる。
も虎徹さんには恩義を感じ、慕っている・・・まるで父親のように。


多分も虎徹さんには話しにくいだろうし、僕としても彼女の事を考えたら話しづらい。






「何だよ、深いワケって」


「いや、あの・・・ですから」

















「ちょっとバーナビー・・・なんで今日、学校休みなのよ?」



「!?!?」


「あぁ?、今日学校休んだのか!?」





タイミングが悪いことに、カリーナさんがやってきた。
しかも、今日を学校休ませたことを此処で言うとは・・・・。

カリーナさんの発言で、虎徹さんまで驚いた表情で僕を見ていた。





「おい、バニー・・・学校休ませたのか?」



「え・・・えぇ、まぁ」



「お家からは風邪を引いたので欠席させますとの連絡受けたって聞いたけど・・・嘘でしょ、それ。昨日まで元気だったわよ



「か、風邪は突然起こりうるものですから」



「明らかにおかしいわね・・・アンタ、何か隠してんじゃないの?」






カリーナさんが怒りながら僕を睨みつけていた。

横目で虎徹さんを見ると、彼も何やらカリーナさんの言葉を聞いてなのか
疑惑の眼差しで僕を見ていた。




「隠してなんかは・・・!いや、あの・・・でも、今回の件については出来たら触れないでください、にも僕にも」



「やっぱり何かあるのね?・・・白状しなさいよ!あんだけを困らせといて、今更内容に触れるなですって?
ふざけたこと言ってんじゃないわよ!さっさと白状しなさいってば!!」



「ですから、あの、できませんから!本当にこればっかりは・・・っ」







---------------PRRRRR・・・!!!





すると突然僕の携帯が着信音を知らせる。
僕は慌ててそれを取った。







「もしもし?今取り込み中なんです後で」


『あ、ごめん仕事中だったよね。大丈夫かなぁと思ってかけたの、ごめんねバニー』


。構いませんよこれくらい。僕も言い過ぎましたね・・・ごめんなさい」






電話の相手はだった。

家を出るときにはまだ彼女は眠っていたが、少し疲れの取れたような声をしていた。






「もう起きて大丈夫なんですか?その後の具合はどうですか?」



『平気だよ。でもまだ腰がちょっと痛いかも』



「ダメですよ。体をちゃんと休めないと明日から学校に行かなきゃいけないんですから」



『でも大丈夫だって。バニー、今日早く帰ってくると思って夕飯作って待ってるねって
それを伝えたかっただけなの、メールのほうが早いのに電話しちゃってごめんね』









の声に僕はまた蕩けてしまいそうだ。

電話だというのに、彼女の顔がくっきり見えて近くで喋っているようだ。






「なるべく早く帰ります。でもあまり体に無理なことはさせないでくださいね」


『分かってる。お仕事中にごめんねバニー』


「いえ。ではまた後で」







そして僕は電話を切ってため息を零した。







「おい、バニー」



「はい。・・・・・・って」







しまった。


電話を切った途端
目の前に座っている虎徹さんとその横に立っているカリーナさんが僕を見ている。

僕は目をゆっくりと動かす。







「そ、そろそろトレーニングでも・・・」



「どーいうことよ」



「バニー・・・の体がなんだって?」



「ホラ。さっき言ったじゃないですか、は風邪を引いてるって」



「の割には、お前・・・やたら体んとこ強調してたぞ。そろそろ白状しちまえよ」







これ以上隠せない。


僕はため息を零し、頭を掻く。







「分かりました、お話します」


「お。ようやく話す気になったな。で、どういうことだ?」


「確かには風邪を引いてません、学校を欠席させたのは彼女の体を心配してのことです」


「だからどういう意味なのよ?はっきりして、男でしょ」







カリーナさんに言われ、僕はまたため息を零す。
心の中で「ごめんなさい」と謝りながら、脳内で言葉を選びながら口から零す。







「その・・・えーっと・・・き、昨日・・・」



「おう、昨日どうした?」



「あの・・・・・・僕、と・・・」



「アンタとがどうしたのよ?」



























「・・・・・・体を、重ねました」



「は?」

「え?」






言ってしまった。

僕の発言に目の前の二人はものすごく驚いていた。









「ちょっ!?おまっ、バニー!!と、おまっ・・・ぇぇええ!?」


「こ、虎徹さん声が大きいですっ!!」


「・・・アンタ、の純潔を・・・っ、ちょっと表出なさいよ!!氷漬けにしてやるんだから!!」


「お、おぉおお落ち着けブルーローズッ!!・・・っどわぁ!?」


「食らえ!乙女の怒り!!」








僕の言葉にあまりのショック?にカリーナさんが手のひらに氷の塊を集めて
投げつけようとしていた。そんな彼女を虎徹さんが押さえる。

しかし、怒った女性の力が強いのか・・・カリーナさんは虎徹さんの押さえも解き
氷の塊を集め投げつけてきた。(しかもかなり大きいのを。)

僕と虎徹さんはそれを回避すべく逃げる。






「あーもう、だから言いたくなかったんですよ!」


「バ、バニー・・・それマジなのかよ!?」


「そうですよ。・・・・昨晩、僕はを抱きました・・・彼女の体に無理をさせたので、今日は学校を休ませたんです」


「ってことはお前が今まで物思いに耽ってたのは・・・」


「昨日のこと考えてたら・・・何も手に付かなくて。幸せだったんです・・・やっと、やっとと1つになれたから」


「バニー」





走りながら虎徹さんに僕は話す。



今まで抑えてきた自分の気持ちが溢れ出て、それが全部に伝わった。
もすごく嬉しそうにして・・・僕の気持ちに応えてくれた。


手を、肌を、重ねあっているだけで・・・こんなにも幸せなことはないと、初めて思えた。








「惚気すぎ・・・ですかね?」


「普通じゃねぇの?でも、手を出したのはちと早すぎだな」


「ハハハハ・・・そこだけは拭い去れない罪悪感ですよ。僕も少し大人にならなきゃいけませんね」


「あ?どういう意味だそれ?」


「その・・・1回じゃないんですよ。を抱いたの」


「おまっ・・・!?」


「あの子があまりにも可愛すぎて・・・歯止めが」







そう、僕がを抱いたのは1回ではない。
数えたら6回・・・僕はあの子に無理なことをさせている。

普段はとても可愛らしい、まるで子猫のよう。
しかしあぁいう状態に入ったは、可愛らしいどころか綺麗だ。
愛らしさと艶が同時に出て・・・僕の名前を呼ぶ姿なんて見たら、歯止めも利かない。








「お前ー・・・いくらなんでもそこはもう俺でも庇いきれねぇぞ」


「いいですよ、バレてしまった以上逃げることも出来ないんですから。あ、ちなみにまだはまだ若いので
避妊対策はしっかりしてます安心してください」


「いや、そうじゃなくてだな」


「あ、ファイアーエンブレムさん」




「あらぁん、お二人さんどうしたの慌てて?」




走っていると、目の前にファイアーエンブレムさんがいた。

後ろに氷の女王が追いかけて来ているから足を止めてこの人と話している場合ではない。
だが、僕はどうしてもこの人に言わなければならないことがあり
足を止めるのではなく、すぐに走り出せるよう足をその場で足踏みさせる。








「先日は、例のブツ・・・助かりました」


「例のブツ?・・・あぁ、アレね」


「はい。でも数が少なすぎてちょっと困りましたけど」


「アラ、そぉう?でもお薬も渡しておいたでしょ?役に立ったぁ?」


「えぇまぁ」


「数が少ないんなら次からは多いの寄越すけど・・・どう?」


「今度からは自分で取り寄せるので結構です。じゃ、僕ら急いでるんで。行きますよ虎徹さん」


「お・・・おぉ」








そう言ってカリーナさんが追いついてくる前に、僕と虎徹さんは其処を後にした。








「お、おい・・・なんだ今さっきの会話。例のブツって」






走っていると虎徹さんが気になったのか、僕に話しかけてきた。








「あぁ。ゴム、コンドームのことですよ」


「はぁあぁ!?え?何??・・・アイツから貰ったの!?」


「何かあったときのためとか言われて。でも、それが先日役に立ったのでお礼を言ったんです。
でも貰ったのが5個入りの箱で少なすぎたんで・・・足りないとかあの人分かってたのか、避妊薬まで僕にくれました。2錠ですが」







も驚いていたが、僕がいつどこであのコンドームを入手したのかと思っていたが
実は遊び半分でファイアーエンブレムさんが僕に箱ごと渡してきたのを使ったのだ。

しかし、避妊薬まであの人が持っていたのが驚きだ。






「ったく、バニー・・・お前、もう帰れ」


「え?・・・で、でもっ」








走っていると、突然虎徹さんがそんな言葉を投げてきた。







「どーせ、さっきの電話・・・が大丈夫だの何だの言ってたんだろ?男と違って女は繊細に出来てんだ。
側に居てやれ、それが何よりもには大事なんだよ」


「虎徹さん」


「ブルーローズは俺が何とか・・・うーん、説得する。帰っての側に居てやれ。明日は学校に行かせるんだろ?
此処で無理して体動かせたらそれこそ明日アイツが学校に行けやしねぇ」


「そうですね。・・・じゃあ後お任せしても?」


「あぁ、大丈夫だぜ相棒!」


「では、お先に失礼します」







そう言って僕は車を止めた駐車場に、虎徹さんはカリーナさんの気を逸らすために。
僕達は別々の方向へと走る。




どうしてだろうか?


帰ることがこんなにも嬉しくて胸が躍る。
早く、はやくの顔が見たい・・・電話の声だけじゃ物足りない。

僕のこの手で、あの子を抱きしめてあげたい。








・・・今、帰りますからね」






弾む心を抑えながら、僕はマンションへと戻るのだった。




次の日、ため息と弾む心-Happiness-
(あぁ、多分僕は今どうしようもなく幸せだと思う)
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