車を飛ばして、マンションにすぐさま帰りついた。
途中、花屋でチューリップが綺麗に咲いていたから
にプレゼントと思って小さく花束にしてもらった。
僕はそんな花束を手に玄関に立ち、手に持った花束を見る。
「ちょっと幼稚っぽいかな」
もう少し、綺麗なの・・・チューリップでも十分綺麗だが
にぴったりな花があったはず。
バラ、とまではいかないにしても・・・チューリップは幼稚すぎるかもしれない。
これで・・・喜んでくれるだろうか?
なんて、扉の前で悶々と考えながら
認証をして扉を開けた。
「ただいま」
「おかえりなさいバニー」
僕が玄関で声を上げると、エプロンを身に着けたが出迎えに来てくれた。
「あれ?どうしたの、その花束?」
「え?・・・あぁ、これは・・・その・・・」
が花束の存在に気づき、僕は焦りながらもの目の前に差し出す。
「?・・・私に?」
「チューリップとか幼稚すぎますよね。もう少しいい花があったはずなのに、すいません」
はそれをゆっくり受け取ると―――――。
「ありがとう、バニー」
「え?」
とても優しい表情で僕に微笑んでくれた。
その顔を見た瞬間、心臓が跳ねる。
何度も、なんども。
「私、チューリップの花大好きなの。綺麗だし、可愛いじゃない。私にぴったりと思って
バニーが選んでくれたんでしょ?だったらいいじゃない、私この花好きよ」
「」
「花瓶に入れて飾ろうね。ありがとうバニー」
「いえ、どういたしまして」
そう言いながらはキッチンへと走っていく。
彼女の言葉で救われ、僕は部屋の中へとあがり同じようにキッチンへと向かう。
すると、が開けた戸棚に背伸びをして花瓶を取ろうとしてた。
「?」
「花瓶・・・取れない」
「僕が取りましょうか?」
「だ、だいじょう・・・・・きゃっ!?」
「危ない!!」
背伸びでバランスを崩したが後ろに倒れる。
僕はそれに気づき、倒れる彼女をすぐさま後ろから抱きとめ
床に座り込んだ。
「だから僕が取ると言ったんですよ」
「ごめーん。・・・痛っ」
「?どこかぶつけましたか?それともどこか怪我を?」
「え?!ち、違うの・・・その・・・腰がまだ」
「あ・・・す、すいません」
の言葉に僕は思わず反省。
この子の痛みの原因を作ったのはなんにせよ僕にある。
やはり自粛するべきだろう、と心の中で呟きながらふと視界にの首筋。
そこに残っている、少し鬱血したような歯型。
それを見つけた瞬間、自分自身胸を締め付けられ・・・後ろからを抱きしめた。
「バニー?」
「すいませんでした」
「ふぇ?・・・あ、いや、別にその腰はね大したアレじゃないし」
「それもそうですが・・・・・・首に、僕があの日噛んだ跡が残ってて・・・」
「バニー」
浮かれれば、あの日の事が昨日の繋がりの始まりでもある。
しかしあの日・・・僕がに怖い思いをさせてしまったのが何よりも苦しい。
僕は彼女よりも大人なのに・・・大人だからこそ、冷静に判断できたはずなのに。
に怖い思いをさせてしまったのが、今でも自分自身の悔いでもある。
「すいません、。あの日、もっと僕が冷静になってれば・・・・君にこんな噛み跡残さなかったのに」
「・・・・・・」
「痛かったですよね、怖かったですよね・・・・・・ごめんなさい」
「謝らないでバニー」
「でも、ッ」
「大丈夫だよ私は」
謝罪を繰り返す僕には優しく語りかけ、手に触れてきた。
温かくて、落ち着く、のぬくもり。
「確かに、あの日・・・すごく怖かった。だけどね、バニーが私のことちゃんと
愛してくれてる証拠なんだなぁって思ってたんだ」
「」
「ちょっぴり怖い思いをした分・・・幸せはたくさんなんだって、そう思えた。
だからね、バニー・・・謝らないで。私すごく幸せだよ・・・バニーにこんなに愛されてるって分かったから」
あぁ、そうか。
こんな彼女だから、僕は彼女に愛されたいと思って・・・嫉妬してしまうんだ。
こんな彼女だから、僕は彼女に愛してほしいと思って・・・独り占めしてしまうんだ。
「そ、それにね・・・」
「?」
「あのケンカがなかったら・・・私、バニーと・・・その・・・あのね・・・」
するとが顔を赤らめ恥じらいながら何かを言う。
顔を見れば一目瞭然、何が言いたいのか手に取るように分かる。
僕は後ろから強くを抱きしめた。
「そうですね。あのケンカがなかったら、僕はにずっと触れられなかったかもしれません」
「・・・・ぅ、ぅん。だから、謝らなくていいんだよバニー」
「がそう言ってくれただけでホッとしました、ありがとうございます」
「ど、どういたしまして」
はぎこちなく、僕にそう言った。
「しかし」
「ん?どうしたの?」
「こんな時期にマフラーとか禁止ですよね学校は」
「・・・・・・・あ」
ふと気づいたことだが、僕が噛み跡を残したのは首筋。
微かに消えているとはいえ人目には多少なりとつく。
キスマークは多分が頑張れば隠せるからいいとして、首筋の噛み跡をどうするか。
「明日も休みます?」
「えー!?や、やだ!!カリーナに放課後、何か奢ってもらう約束したもん!明日学校行くのー!」
「ですけど、その首筋は隠しようがないですよ。この時期にマフラーはおかしいですし」
「ファ、ファンデーションでカムフラージュ」
「汗で落ちると思いますけど?」
「バカ兎ー!前言撤回っ!!・・・何で首噛んだのよー!!」
がバタバタと腕の中で暴れる。
しかし、僕にとってはその暴走?は痛くも痒くもない。
むしろ子猫が反抗をしているみたいで可愛らしい。
「僕が愛してあげた証拠なんですから、もう見せびらかしちゃってもいいと思いますよ?」
「これは昨日のとは違うでしょうが!」
「じゃあキスマークは堂々と皆の前で見せれるんですか?」
「ぅ・・・そ、それは・・・っ」
「それとも」
「今夜もたくさん愛してあげましょうか?」
「っ!?・・・バ、バニーのエッチ!!」
耳を真っ赤にしたが僕に言う。
からかって、こういうのを見るのも悪くない・・・しかし程ほどに、がいい模様。
可愛らしい、僕の大好きな人だからこそ。
愛したいし、愛されたいと望み、願う。
「大丈夫ですよ。準備は出来てますから」
「ふぇ!?・・・え?・・・・じゅ、準備って・・・っ」
「もちろん、ゴ」
「あぁぁぁっぁぁあぁあぁあああ言わなくていいぃいい!!!」
が僕のほうに振り返り
顔を真っ赤にさせて僕の口を自らの手で塞いできた。
僕はその手を掴んで、指にキスをする。
「、今夜も愛してあげますね・・・たっぷり」
「っ・・・も、もぅ〜」
好きな人には、いつだってもっと、愛したいし愛されたい。
きっと恋をしている人間は誰もがそう望んでいるだろう。
「」
「ぅ〜」
「しかめっ面はやめてください。可愛い顔が台無しです」
「だって」
「でも、まぁ・・・そんな顔も僕は大好きですよ」
「煽て上手の兎さんね、貴方って」
「事実を述べたまでです。・・・愛してますよ」
「・・・・ゎ、私だって・・・バニーのこと、愛してるもん」
そう言って、互いに愛の言葉を交し合って・・・口付けをした。
その言葉が嘘偽りのない証拠として。
いつだってもっと愛したい愛されたい-Love-
(愛したい、愛されたいのは愛し合う二人が望む気持ち)