「は?の誕生日を忘れてた!?」


「こ、虎徹さん声が大きいです!!」






家を出て、トレーニングルームに向かった僕は
先にやってきていた虎徹さんにの誕生日の事を聞いた。


あまりに大きな声でかの人は驚くものだから
周りに回りにいる皆に聞かれたのではないかと思い、声が大きいと嗜めた。







「忘れてたっていうか・・・その」


「まさか・・・知らなかったとか言うんじゃねぇだろうなバニー」


「す、すいません」


「おいおい、マジかよ」





僕の謝罪に虎徹さんが自分の頭を掻いていた。





「てっきり俺はバニーにも祝ってもらってるって思ってたわ。
しかし、何か道理で俺の誘いを断らなかったなぁーって思ってたんだよ」



「え?虎徹さんの誘い?」



の誕生日、アニエスと3人で飯食いに行ってたんだよ。つーか俺も
アニエスに教えてもらうまで、その日がの誕生日だって知らなかったんだからな。
多分教えてもらわなかったら俺も今のバニーみたいに慌ててたと思う」






虎徹さんは笑って言うけれど、正直アニエスさんが僕に教えなかったのは
僕がのことに関したら何でも分かっていると思って言わなかったと思うし、教えもしなかったのだろうと思っている。

もし、分からなかったとしてもアニエスさんのこと。
多分僕には絶対に教えなかっただろう。






「しかしなぁ・・・まさかバニーがの誕生日を」



「あんまり言わないでください虎徹さん。こうみえても結構ショック大きいんですよ」



「あ、悪ぃ」






何度も繰り返し言われると、本当にメンタルが粉々にやられてしまう。

気付くのが1〜2日ならまだしも
僕が気づいたのは、本当に1ヶ月が終わりそうな2週間前。

ショックは大きいし、立ち直れない。


ましてや―――――――。







・・・ライアンから誕生日プレゼントで貰ったブレスレットが気に入ってるみたいで」


「は?ライアン?・・・なーんでアイツがの誕生日知ってんだよ」


「恐らく彼が街を出る前にに誕生日のこと尋ねたんでしょう。そう考えるしか思い当たりません」








至極、がライアンから貰ったブレスレットを気に入っている。
アレを見た頃は可愛いデザインだったし、嬉しそうにしているから
ブルーローズさんとお揃いのモノなんだろうと思っていたのだが
蓋を開けてみれば、に気があるライアンからのモノだった。









「皆さんに先を越されるならまだしも、何でライアンなんかに・・・っ」



「お前の苛立つポイントは其処か?」



「い、今ならまだ・・・間に合うでしょうか?」



「まぁの事だし、笑って喜んでくれるだろうよ」



「だと、いいんですけど」






今更祝った所でが喜んでくれるだろうか、と一抹の不安はある。


しかし思い悩んでいても始まらない。
とにかく一番僕が遅れをとってしまった。遅れた分は十分に取り戻さないと大変なことになる。

いや、もう僕自身十分に大変なことになっている。







「とにかく、皆さんと被るのは嫌なので・・・外での食事はナシですね。
虎徹さんとアニエスさんが食事に誘ったみたいですし」



「じゃあ何か作る、とか?」



「料理はあまりしないので。むしろ僕が作る前にが食事の準備してます」



「なら花束贈るとかは?定番じゃね?」



「成る程」






虎徹さんから簡単な知恵を授かり、1人で考えていると――――。








「どうしたんだい2人とも!」


「何を話してたんですか?」


「面白そうな話なら混ぜてくれ」





「皆さん」




やって来たのは、スカイハイさん、折紙先輩、ロックバイソンさんの3人だった。







「なぁお前らさぁ、ちょっとバニーに良い知恵貸してやってくんね?」


「私達が?」

「バーナビーさんに?」

「知恵を貸す?」








虎徹さんの言葉に全員がこちらを向く。
本来なら自分で考えるところだけれど、焦る今の僕には冷静な選択は到底無理。

出来ることなら自分でやるべきことなのだけれど
もう、そうも言ってられない。むしろ、自分では思いつかない。





「あの、実は・・・・・・」





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