「どうします?」
「うーん・・・スカイハイ。何かあるか?」
「あまり女性にプレゼントをしたことがないからよく分からないんだ。すまない」
とある日。
折紙、ロックバイソン、スカイハイの3人は悩んでいた。
それは5月1日に誕生日を迎えるのプレゼントの事についてだった。
「ライアンさんから教えて貰ったんですが・・・僕1人じゃ思いつかなくて」
「だからって本人の誕生日前日に言うか!?」
「す、すいません・・・っ!!」
「まぁまぁ。とにかく、彼女の誕生日なんだ。祝ってあげなければ申し訳ないだろ」
憤るロックバイソンを宥めるよう言葉を放つスカイハイ。
そして全員がため息を零す。
「何か急ごしらえで用意できるモノってあるか?」
「ケーキは生ものですし、1人じゃ食べれないと思いますからやめた方がいいかと思います」
「装飾品もバーナビー君が渡しそうだから其処も除外したほうがいいだろう」
「じゃあ何があるって言うんだよ!!」
相変わらず正解の見えない道に迷い込み、ロックバイソンは机を叩き立ち上がった。
あまりに突然のことで折紙もスカイハイも驚く。
「あ!祝い事と言ったらやっぱりお花じゃないですか?」
「成る程。無難な所を選ぶとやはり花束が良いみたいだな。この時期だとバラが旬だと聞いた」
「誰に?」
「ジョンの散歩道で通る花屋だ!ジョンがその花屋の店員と仲良しでな。5月といえばバラは誕生花らしい」
「じゃあバラにしましょう!とりあえず、何本買います?」
とにかく3人は買うものが決まり、それが花だというので今度は何本買うかで話し合いを始める。
「1本だと地味だな」
「でもあんまり少ないと誠意が篭ってない感じに思えますよね?」
「かといって下手に多すぎるのも意味が無いように思えてしまう」
決まったかと思うと、再び3人は首を傾げ悩み始める。
「それだったら良い本数、アタシが教えてあげようかしらん?」
「うわぁああ!?」
「ファイアーエンブレム!?びっくりさせんな!!」
「い、いつから居たんだね!?」
悩み続ける3人の背後に突然ファイアーエンブレムがやって来た。
あまりに突然の登場で誰もが驚く。
「あらん?悶々と悩んでる殿方のお尻をジーっと見てたの。いいわね、悩ましいお尻も」
「ひっ!?や、やめろよ!!」
ファイアーエンブレムの手の動きに思わず
ロックバイソンは自分の尻に手をやり防御態勢に入る。
「あ、あの、ところで良い本数って何ですか?」
話が先に進まないと思い、折紙が話を切り出す。
「バラにはね本数によって意味があるのよ。
お嬢に誠意こめたいのなら、10本や20本じゃダメってことくらい
あーた達でも分かるでしょ?」
彼(彼女)の言葉に誰もが頷いた。
いつもは誰かの側に居る人でも、時に見せる笑顔は誰もが心の支えにしている。
時に励まされ、時に勇気づけられ、仲間よりも愛おしい存在に
彼女はなっていた事を彼らは思い出す。
「だったら、アタシの言う本数用意しなさい。意味も教えてア・ゲ・ル」
「うむ!」
「はい!」
「うし!」
−5月1日−
『(さん)(君)お誕生日おめでとう!!』
「え?あ・・・こ、こんなにたくさんのバラの花束。皆さん用意したんですか?」
誕生日当日。
ファイアーエンブレムに言われた通り3人は大量のバラをにとプレゼントした。
「ありったけのバラです!」
「すっげぇだろ?全部で365本あるんだぜ?」
「少なすぎるのも君に悪いと思ったんだ。だからこれだけの本数を君に贈ろう!」
「365本・・・こんなにたくさん」
は一つ一つ慈しみながらバラを見ていた。
「全部頂くのが勿体無いくらいです。本当にありがとうございます。
イワンさん、アントニオさん、キースさん」
笑顔で本名を呼ばれ、3人は顔を赤くし照れるのだった。
「(しっかし、アイツは結局1本しか持って帰らなかったからな)」
「(十分過ぎるくらいって言ってましたからね。仕方ないですよ)」
「(でも、私達の想いはきっと君に届いたと思うさ。1本でも貰ってくれただけで十分じゃないか)」
『(でもバーナビー(さん)(君)には黙っておこうか。本数の意味だけは)』
もっとステキになったきみに、この花束を贈ります
(365本のバラ花束。僕らはみんな、毎日君が恋しくてたまらない)