「め、珍しいなバーナビーがの誕生日を忘れてたって」
「バーナビーさんのことだからてっきり、さんをいの一番に祝ってると思ってたんですが」
「そうか。それは大変だ。くんの誕生日を知らなかったなんて」
「あの、遠回しに傷つくような言い方やめてもらえます?」
ロックバイソンさん、折紙先輩、スカイハイさんに事情を話すと
遠回しに傷つくような言い方をされて、若干心を抉られた。
知らなかったや、忘れてたなんて言われると本当に傷つく。
「のことなら、何でも把握してるつもりでした・・・なのに」
「バーナビー」
「相当ショックなんですね、さんのお誕生日祝えなかったことが」
「分かるよ、その気持ち、分かるよ」
「何でライアンなんかに先を越されなきゃいけないんだ・・・!!」
『腹立つとこ其処なんだ!?』
「バニー、もういいからどうするか考えろ」
「そうですね」
あまり考え込みすぎても意味が無い。
とにかく今は良い案を色んな人から授かるしか方法がない。
藁にもすがる思い、とはまさにこの事だろう。
普段の僕からしたら、本当に考えられないことだけれどこうでもしないと
きっと埋まりっこない。
当日祝えた人達と、遅れて祝う僕とでは・・・その差はあまりにも開きすぎているのだから。
「なるべく、皆さんと被るモノは避けたいので。虎徹さんはアニエスさんと一緒に
を食事に誘ったので。皆さんは何かに贈りましたか?」
僕が訊ねると、3人はそれぞれの顔を見合わせて再び僕の方へと向く。
「僕達、それぞれじゃ何も思いつかなくって」
「だから話し合って、金を出しあってな」
「君に抱えきれないほどのバラをプレゼントしたんだ!」
「花束・・・!?」
「あー・・・此処も先越されてたか」
3人の話を聞いて、花束を考えていた矢先。
見事に此処も先を越されていた・・・しかも3人同時のプレゼント。
駄目だ、本当に落ち込んで何も考えられない。
「しかし、あまりにも花束の量が多かったから君は1本だけ持ち帰ったんだ」
「まぁアレだけの量だとさすがに困るだろうからな」
「でもたくさんありがとうございます、って喜んでたからいいじゃないですか」
「ちなみにお前ら何本やったんだ?」
『365本』
「多すぎだろ!!!ってバニー落ち込んでる場合じゃねぇぞ!!ま、まだ考えれば色々出てくるだろ!?」
「いえ、もう何か難しいですよ。食事も花束も先を越されて、他に何があるっていうんですか。
駄目だ・・・絶望的過ぎる」
本当に絶望的過ぎる要素しかない。
食事に誘うにも、虎徹さんとアニエスさんに先を越された。
花束を渡そうにも、ロックバイソンさん折紙先輩スカイハイさんに先を越された。
じゃあ他に何が残っているって言うんだ?
何をしてあげればは喜ぶと言うんだ?
当たり前のこと先にされてしまい、どうすればいいと言うんだ?
本当に絶望的にしか思考が働かず、本気でヘコんでいる。
「バニー、バニー・・・ま、まだあるじゃねぇか。ホラ、ケーキ!ケーキがある」
「そ、そうですよバーナビーさん!さんきっとケーキ食べてませんよ」
「そうだな。でっかいバースデーケーキとかプレゼントしてみろよ」
「それなら君もきっとビックリして大喜びすると思う!」
「そうか・・・ケーキ、か」
皆の言葉で暗闇に差し込んだ一筋の光。
今までの話から察するに、はまだケーキを食べていないことに気付く。
虎徹さんとアニエスさんの段階で多分食べたと思うが、お店で出るのは小さなケーキだ。
大きな大きなバースデーケーキではない。
これならに喜んでもらえると確信した。
「あら?どうしたの男達だけで揃って」
「暑苦しい・・・何してんの?談笑するくらいならトレーニングしたら?」
「なになに?何の話?僕も混ぜてー!」
すると、其処にファイアーエンブレムさん、ブルーローズさん、ドラゴンキッドがやって来た。
「今ちょっとな、困ってるバニーに知恵貸して何とか解決しそうなんだよ。なぁバニー」
「はい」
「ていうか外まで聞こえてたわよ。うっさい声が」
「ホント何で騒いでるんだろって思っちゃった」
「ていうか、ハンサム。喜んでる所申し訳ないけど一ついい?」
「?・・・何ですか?」
この後、僕は再び絶望のどん底に突き落とされるのだった。
迷える兎は途方に暮れる?
(この後、更なる悲劇が僕を襲う)