「あー・・・それ、誕生日用にしといてくれる?」


「かしこまりました」






店先でセンスのいいブレスレットを見つけた。
即効で其処に入り、すぐさま購入。



店員に「誕生日用に」と付け加えたのは理由があった。



綺麗に包装された箱の入った袋をぶらさげて、舞い戻ってきた街。









「ほい」



「ライアンさん、いつもありがとうございます。今度は何処のお土産ですか?」



「いや。嬢ちゃん、今日誕生日だろ?俺様からのプレゼント」






買ったブレスレットはこの街に暮らす、彼女への誕生日プレゼントだった。

いつもは「土産」と称して色々と渡していたのだが
今回ばかりは違った。






「え?誕生日、覚えてたんですか?」



「ったりめーだろ。此処出て行く際に嬢ちゃんに俺聞いたじゃん。
プレゼント渡すために聞いたんだっつーの。何?俺忘れてそうな感じの男だと思った?」



「むしろ、覚えてた事にビックリです。私でも忘れちゃうのに」



「おいおい。自分の誕生日だろ?忘れてたらダメじゃねぇか」







「そうですね」なんて嬢ちゃんは笑う。


忘れるわけなんてない。

いや、忘れてなるものかと思っていた。



一目会ったあの日から、俺は報われない恋をしている。


分かっているけれど、何処かで叶えばいいと願い続けている。



悟られないように、分からないように
ほんの少し、寄り添える時間さえあればいいと・・・俺らしくない考えで
いつも、この子の側に居た。







「うわぁ・・・コレ、有名ブランドのじゃないですか!?」



「俺あんま女物のブランドとか知らねぇけど・・・そうなの?」



「そうですよ!こんな高いの・・・ありがとうございますライアンさん」



「いやいや、いいって事よ。嬢ちゃんの誕生日だからな」







満面の笑みを浮かべながら、嬢ちゃんはすぐさまブレスレットを手首に嵌める。


華奢な体に、細い腕、見た目と同じようで繊細。


嗚呼、コレを独り占めしているジュニア君が羨ましい限りだ。






「でも、ライアンさん。どうして私にこんな高いものを?」



「んー・・・まぁ、優しさだな」






なんて言葉で濁したけれど、本当は違う。



本当は――――――――――。























「バニー・・・どうしちゃったんだろ?急に出て行っちゃうなんて」



「(相変わらず嬢ちゃんの無自覚は怖いねぇ)」





ジュニア君の前で嬢ちゃん本人からブレスレットの話題を出され
多分その光景にジュニア君が耐え切れなくなったのか、アイツは急ぎ足で此処を去って行った。


しかし、そんなアイツの心を知ってか知らずか、嬢ちゃんは首を傾げていた。








「ライアンさん。ホント、すいません・・・せっかく、プレゼントしてくださったのに」



「ん?ああ、いいって。そういうのの寿命ってやつは短いもんだからさぁ」






俺が軽く返すも、嬢ちゃんの顔は晴れない。


そんな彼女の顔を見て俺は頭に手を置いて撫でる。






「嬢ちゃんが受け取ってくれただけで、俺はいいんだよ」



「ライアンさん」



「俺ぁ、ただ、それだけでいいんだ」







切れてしまうものだって、薄々は分かっていた。

でも、俺はそれでもいいと思って選んだ。





ただ、俺は・・・喜んでいる、その姿が見たかっただけなんだから。





きみに喜んでほしかったから
(切れても構わない。俺はただ、君に喜んで欲しかった) inserted by FC2 system

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