「え?旅行?」


「はい。の傷も癒えた事ですし、マネージャー業お疲れ様でしたって事で。
僕もちょうど休みが取れたので旅行にでも行こうかと思いまして」




とある日。

テーブルで課題をやっているの側で
僕は携帯を見ていて思いついた。

腕の傷も癒えたのだから快気祝いとして。
そして、マネージャー業を頑張ってくれたにご褒美をと思い
提案を述べてみた。




「旅行かぁ。いいね、旅行!」

「丁度景観の良い風景が写ったホテルがあるんですよ。
あ、でも良いホテルは早くに予約が埋まってしまうだろうから
ちょっと決めかねているんですよね。どうですか?此処とか?」


「うわぁ〜綺麗。いいね、此処」




旅行の話を出すとがウキウキとした表情になり
僕は更に話を盛り上げていく。

またとない機会だった。

ロイズさんに明後日から二日ほど休みを貰い、どうしようかと悩んでいた。

と一日中過ごすのも申し分ないのだけれど
大っぴらに出来ない関係だから外を出歩くには無理がある。


だが、シュテルンビルトじゃない場所なら出来るかもしれないと思いつき
旅行話を彼女にと持ちかけた。

案の定僕の話に乗っかってくれて、こっちとしても気分が上がって仕方がない。






「それでなんですけどね


「あー、ちょっと待って!此処の問題解いたら話の続きしよう。
入院してたから授業遅れ気味なんだよね。ちょっと待っててねバニー」


「・・・・・・・・」




これで何度目だろうか。


ようやく僕の話に耳を傾けてくれた、かと思いきやこれだ。


腕の怪我で入院してたから学校の授業が遅れ気味なのはよく分かる。
だがしかし、話をしても「学校の課題」と言って顔を背け、僕の声に耳を傾けてくれない。


流石の僕もこれを何度も繰り返さえると
苛立ってしまうレベルだ。








「ん?何?」


「少しばかり・・・僕を放置し過ぎじゃないですか?」


「え?・・・ちょっ、バニー顔近い」




の行動に苛立ち、僕は熱心に問題と向き合っている
彼女の元に行き顔を近づけた。

あまりに近い距離にの顔が段々と赤くなっていく。





「熱心に問題を解くのは学生の君としては良い心がけです。
ですが・・・・少しくらいは僕の言葉に耳を傾けてくれたっていいんじゃないんですか?」


「え?は、話はちゃんと聞いてたよ?旅行行こうねって話してたじゃん」


「確かにそうですが・・・流石に何度も一旦ストップされるのは酷いと思います。
旅行の話の前・・・僕、何の話をしてたと思います?」


「え・・・えーっと・・・えっと」





追い詰めると、子猫は追い詰められて言葉を失っていた。
そんな彼女を見て僕はため息を零し、を見つめる。





の何でも真面目に取り組む姿勢は尊敬出来ますし、そういう君も僕は好きです。
でも、今はプライベートの時間。そして・・・君が居る場所は僕のテリトリーですよ。分かっているんですか?」


「・・・うっ」


「好き勝手しても構いませんが、もう少しそこら辺を分かってもらえればいいんですけど・・・ねぇ、?」


「・・・・・・は、はぃ。で、でも」


「何か?」


「今も私、バニーとの時間凄く嬉しいよ。だってこんな風に一緒にいる時間あんまりないし。
課題も早く仕上げたらもっと居る時間長くなるって思うと力入っちゃうし。
それに旅行行くって思ったら余計課題仕上げなきゃって思っちゃったから。だってバニーといっぱい楽しみたいもん」







少し落ち込む彼女を見て、僕は笑みを浮かべた後
彼女のおでこに自分のを合わせた。



「僕との時間や旅行のために其処までしてくれるのは嬉しい限りです。僕のワガママでしたね。
少し相手にされてないように思えて寂しかっただけですから」


「バニー」


「でもあまり僕に目が行かないのは感心できませんね。ですので・・・」




そう言って彼女と軽く口唇を重ねた。

しかしそれだけでは飽き足らず、頬に口付け
耳に、顔を滑らせ首筋に。





「バ、バニーッ・・・ちょっ、ま・・・」


「お仕置きです。あまり僕に目もくれないに甘いお仕置きです」


「まっ、待って・・・んぅ・・・か、課題終わってな・・・んんっ」


「おっと、そうでしたね。は課題を終わらせなきゃいけないんでしたよね、すいません」





軽く触れ合い彼女から体を離した。

は目を潤ませ、顔を真赤にし僕を睨みつける。
嗚呼何て可愛い顔をしているんだろうか。

今すぐにでも食べてしまいたいくらいの表情に体が疼くも
それを何とか抑えこんだ。




「も、もうバニーなんか知らない!カリーナのお家行く」


「ダメですよ。絶対に逃がさない」





何処かへ逃げようとする子猫−−を捕獲し腕の中にと収めた。




「もぅ・・・バニーのイジワル」


「そうですね、僕はイジワルな人間ですね。
でも好きな人ほど困らせたいってよく言うじゃないですか。
の可愛い顔も好きですけど、困った顔も僕は大好きです」


「うぅぅう〜バカ兎〜っ」


「ハイハイ。でもね、。僕が甘えられるのは君だけなんですよ」




自分がこんなにも子供じみているなんて知らなかった。

違う、彼女に出会うまで分からなかった。

と出会ってからの僕は
幼いころに受け取れなかった愛情を貰う子供のよう。

周囲からは誰もが羨むスーパーヒーローなんて言われているし
それに応えるべくよく振舞っているけれど
を前にした僕は、誰にも渡したくない、彼女を愛するのは僕だけと
独占したがる子供のよう。



は優しいから、その優しさに僕はすぐ漬け込んでしまう。
僕のほうが君よりも歳上なのに」


「バニー。いいんだよ、甘えても。だって貴方は」


「いいんですよ。それ以上のことは言わなくても、分かっていますから」


「バニーは甘えていいんだよ。私、貴方に甘えてもらうの凄く嬉しいんだよ」


「ありがとうございます。僕が色々と駄々をこねているのが悪いのに」


「うぅん。私の方こそごめんね」


「いいんですよ。さて、早めに良いホテルを見つけて予約しちゃいましょうか」



そう言ってを解放させ、携帯を握る。




「ホテルは僕が探しますんで、は課題を終わらせて下さい」


「うん!もうちょっとで終わるから」




そしてはテーブルにと走り、再び課題をにらめっこを始めた。
そんな彼女を傍らで見守りつつ、僕は携帯で
彼女と二人で過ごすためのホテルを見つけ始める。

ふと、目に留まる画像。


携帯を持ったまま課題と向き合うの方にと向かう。




、此処なんてどうですか?」


「ん?・・・あっ、すごい!此処綺麗!!」


「でしょ。値段も悪くはないですし、此処に決めちゃいましょうか」


「うんうん!」



小さな子どものようにはしゃぐを見て
「じゃあ予約入れますね」と一言添えて、ホテルの予約を終えた。



「楽しみですね


「うん。バニーと旅行、すっごく楽しみ。私頑張って課題終える!」


「分からない所は僕に聞いてくださいね。いくらでも教えてあげますから」


「ありがとうバニー」




旅行の約束〜Let's Travel!〜
(僕と彼女の初めての旅行支度) inserted by FC2 system

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