「え?バーナビーのサイン会?」


「そうなのお願い付いてきて!!」





お昼をカリーナのクラスで終えて、自分の教室に戻ってくると
クラスの子に頼みごとをされた。

しかも彼女の口から出てきたのは、バニー。


どうやら今度バニーのサイン会があるとのこと。





「一緒に行く友達が急に行けなくなっちゃって、サイン会のチケット1枚余るのよ。
、バーナビーのこと好きなんでしょ?」



「ま、まぁ・・・そうだけど」





好きだし、付き合ってるし、同棲してる。

ラストの二つは口が裂けても言えない話だが、バニーのことは大好きだよ。
でも毎日部屋で顔を合わせているわけだし、サイン会に行かなくてもいい。






「新しく出た写真集の発売記念でサインと握手会があるのよ」




友達がバニーの写真集を私の目の前に出した。
その写真集を見て驚愕・・・・・いつの間に出たの、この写真集?!

私はその写真集を握り、がん見。




「い、いつ出たのこの写真集?」


「つい2週間前よ。アレ?買ってないの?」


「さ・・・最近、本屋行ってなくて」





ごめんなさい、今私嘘ついた。

2週間前、私はバニーとケンカをして家を飛び出したりしていた。
まぁ結局は仲直りをして、晴れて私はバニーのモノになったというハッピーエンドを迎えた時だった。

そんな中に発売されていたものだから知るわけがない。


ていうか、いつの間にこんな素敵なもの作ったのよあの兎!!!


ページを捲ると色んなバニーがいっぱいで
ドキドキしちゃって顔が赤くなってしまう。






「それで、サイン会なんだけど・・・・って、聞いてる?」


「ふぇ!?あ、あぁ・・・ご、ごめん。聞いてるよ」






写真集に夢中になって私は友達の声で我に返り、慌てて写真集を閉じた。





「週末なんだけどさ・・・予定とか大丈夫?」



「うん。特にすることないけど・・・」







確かに週末、特にこれといってすることはない。
しかし・・・家でも顔を合わせている人間に、サイン会にまで行って会うとなると
何かバニーがマンションに帰ってきたとき―――――。








は本当に僕のことが大好きなんですね。改めて君の僕への愛というのが実感できました。
お返しに・・・僕の愛、受け取ってもらえますか?』








「・・・・・・・」


、顔赤いよ」


「わぁぁあ!?ああ、ご、ごめん!!」






思わず妄想してしまった。
顔が赤いと指摘され、なんとか平常心に戻す。


あのバニーのことだ・・・多分、帰ってからの私へのべったりが止まないだろう。
まぁ別に嫌いじゃないし、むしろバニーが私にべったりとかいつものことだし。


でも、下手に私がそんなところに言って”バニーと関係を持っている人間“とバレてしまえば
彼の立場が危うくなるかもしれない。


しかし・・・・目の前の友達が困ってるのを見捨てるわけには。







「・・・・じゃ、じゃあ・・・サイン貰うだけだよ」



「行ってくれるの!?・・・でもの彼氏、バニーさんは大丈夫?怒ったりしない?」



「うん。大丈夫だよ、私がバーナビー好きなのバニー知ってるから」






ごめんなさい。

その彼氏が本人なんですけど・・・と、口が裂けてもいえないわけで。



というか、使い分けるの大変なんですけどぉ〜。
思わずいつもの調子で「バーナビー」の部分を「バニー」と言いそうになってしまう。

彼の立場を守るためにも、此処は私が頑張らなければ。




「じゃあ、サイン会行けるんだよね?」


「うん」


「よかった〜ありがとー!」


「どういたしまして」






困っている人が居るなら助けてあげる。
これはタイガーさんの教え。

ヒーローじゃなくても、簡単に出来ることだから
なるべくなら困っている友達は助けてあげたい。



でも、私がサイン会に行ったりしたら・・・バニー、どんな反応するのかなぁ?



そんなことを思いながら、目の前で嬉しそうにはしゃぐ友達を私は見ていた。














-週末-





「あれ?バニー、もう行くの?」


「あぁ、おはようございます





週末。

本日、友達から誘われたバニーのサイン会の日。

待ち合わせの時間は昼からで、私が寝室から出てリビングに行くと
バニーがいつもの格好で、今すぐに出る準備をしていた。





「えぇ。今日は今から会社に少し顔を出して・・・お昼からサイン会があるので打ち合わせとか色々と」


「あ、そうなんだね」





此処で「あ、そっか」と返さなかった自分を褒めてやりたい。
確実にその言葉をバニーのことだから拾って、事細かに突っ込んできそう。

だから、あえて此処の言葉選びは重要。





も今日はお友達と遊ぶ約束なんですよね?準備しなくてもいいんですか?」


「まだ平気。待ち合わせお昼からだから」


「そうですか」







「お昼、私は貴方のサイン会に行くんですよ」と心の中で私は呟いた。
バニーに知られたりしたら、此処の時点でべったりしてきそうだ。

此処も演技で切り抜ける!







「夜はどうしますか?」


「特には考えてないけど・・・・帰ってくるよ」


「じゃあマンションに居てください。そしたら夕食は外で食べるというのはどうです?」


「いいよ」



「じゃあ決まりですね」





目の前のバニーは至極嬉しそうな顔をしているが
昼、仕事している顔を見て・・・夜、彼が一体どんな反応をするのか
私はそれをちょっと楽しみにして、外で食事をする返事をした。







「あ、もう行かなくちゃ。じゃあ、僕は先に出ますが
戸締りはしっかりしてから出てくださいね」


「分かってるよバニー」



「では」



そう言いながらバニーは私の横を通り過ぎていく。
私はすぐさま振り返ると、通り過ぎて行ったバニーが立ち止まっていた。









「ん?」


「出かける際は、ストールを首に巻いてから出掛けて下さいね」


「え?」






バニーの言葉に私は驚いていた。

ていうか、何でストールを巻いて出かけなきゃいけないの?
するとバニーが指で自分の首をトントンと小さく叩いて何かを知らせていた。

どういう意味なのか更に分からない。





「バニー・・・何が言いたいの?」





「首・・・見えてますよ。そんなに、僕のモノだっていうの見せつけたいんですか?」






え?


私は小走りで洗面台へと向かい、鏡の前に立つ。

すると首の辺り・・・ピンク色の斑点がふんわりと、存在感をアピールしていた。



こ、これは・・・・っ!!!








「バニーッ!!」







洗面台から急いで玄関先に戻るも、バニーの姿は其処にはなかった。
逃げ足だけは速い・・・いや、身体能力が高いから何をさせても行動が早いから
追いつけるはずがない。









「も、もう・・・バニーのバカ」









首に残っていたのは、キスマーク。

バニーがそれを無意識でつけたのか、それとも故意につけたのかは分からないけれど
彼の言う「ストールを巻いて出かけたほうがいい」というのは
要するに「キスマークを隠したほうがいい」という助言だ。









「バカ兎」







首のキスマークを隠すように私は其処を手で押さえた。


キスマークは真新しいもの。
そう昨晩、私はバニーにたくさん愛されていた。


あの日を境に、バニーの理性はどうやらぷっつりと切れてしまったらしく
「私・ベッド・夜」という三拍子が揃うと、彼は私を抱っこしてベッドに強制連行。


そこから、延々私はバニーの腕の中で愛され、囁かれ、啼かされる。


「これでも自制してるほうですよ?」なんてバニーは笑いながら言うけど、嘘ばっかり。
だって、私の体で感じる彼の熱に余裕すら感じられない。
体に触れてくるバニーの手や体、唇の温度は熱くて・・・溶けてしまいそうになる。







「バニー」






キスマーク・・・恥ずかしいけど、彼から愛されている証拠だから嬉しい。


今更ながらサイン会・・・行くの恥ずかしくなってきた。
どんな顔をしたバニーがそこに居るのかが想像付かない。


仕事しているバニーの顔とか、多分初めて。
ヒーローをしている彼の顔はよくテレビで見ているけれど
ファンサービスをしているバニーの顔は知らない。だから、余計ドキドキしている私が居る。







「準備しよ」







高鳴る胸の鼓動を抑えながら、私は出かける準備をする。


彼から愛された首のシルシを隠して、一瞬だけの時間・・・私と彼は赤の他人。



だけど、私達は決して赤の他人にはなれない関係。
彼と繋がった証拠が今も、私の体に熱を持って焼きついているのだから。





Kiss-Mark
(繋がった証拠がある限り、離れることは出来ない)

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