を見送りに玄関先まで出てきた。


アニエスさんはの荷物を後部座席に入れて、はそれを
笑みを浮かべながら見ていた。

そして車の扉を閉め、出てきた僕と虎徹さんを見る。






「じゃあ、バーナビー・・・残りの荷物はよろしく頼むわね」



「・・・・・・」



「返事ッ!」

「ア、アニエスさんっ」



「・・・・・・はい」






残りの荷物、出来ることなら送りたくない。

だから頼まれても送る気が無かったが
アニエスさんの声に僕は不服ながらも返事をした。

まぁ送りたくはないが、が困ることだけはしたくなから
少しずつ送ってやろうと心の中で思っていた。






「まったく。・・・他はちゃんと出来るクセに、の事になると後先考えずになるんだから。
ミスター鏑木、そこんとこ・・・バーナビーを叩き直して頂戴」



「何で俺?」



「相棒でしょうが」



「いや、バニーも大人だし・・・もうそこんとこは本人もさ分かってるわけだしよぉ」




「へぇ・・・じゃあ大人が未成年に手を出していいと思ってるの?その後の事を保護者代理の私に話もしないで?」




「いや、あの・・それは、その・・・っ」





僕だけに留まらず、虎徹さんまでもとばっちりを食らってしまった。







「とにかく!いいわね、バーナビー・・・・荷物は送りなさい」


「バ、バニー」






が少し心配そうな顔をして僕を見ている。
そんな彼女の表情を見て、ふと思い出した。












『バニーがそうやって、悲しい顔とか寂しい顔とかするから・・・私がそう感じて、貴方と同じような表情をしてしまうの。
だからお願い・・・そんな顔しないで。いつも笑ってて、凛々しくしていて、そうすれば私も笑顔でいれるから』













この前、が僕にそう言ってくれた言葉。
その言葉を思い出して、顔を引き締めアニエスさんを見た。







「分かりました」



「そう、分かればいいのよ」



、アニエスさんに迷惑をかけないようにしてくださいね」



「バニー・・・・うん!」






僕が微笑んで見せると、も笑って返してくれた。


しっかりしろバーナビー。
僕1つのことでに寂しい顔や悲しい顔だけはさせるな。
ちゃんと、彼女が笑っていられるように・・・僕も笑っていなきゃ。

例え、離れて・・・寂しくてもがこの町にいる。
離れていても僕の側に居る。

ちゃんと心が通じ合っている限り、僕達の関係が絶たれたわけじゃない。







「準備が出来たわ。、車に乗って」



「あ・・・は」



「アニエスさん、最後に1つだけいいですか?」






準備が出来たと告げられて、に車に乗るよう促すと
僕はアニエスさんに最後のお願いと称して、動きを止めた。






「何?」




を抱きしめさせてください。離れてしまうんですから」



「バ、バニーッ!?」




「はぁ?ちょっといい加減なこと」

「いいじゃねぇか、させてやれよ。今までバニーが世話してたんだし、抱きしめさせるのが
世話代なら金出させるより安いもんだろ?そうだろ、バニー」



「虎徹さん」





僕の発言にアニエスさんが怒りを露にしようとしたが
虎徹さんが彼女の肩を叩いて宥めに入る。

放たれた言葉にアニエスさんは、怒りを鎮め僕を睨み付ける。






「そんなに待たないわよ、さっさとしなさい」




「ありがとうございます」







ようやく了承を得て、僕はを見る。










「・・・バニーッ!」







手を広げの名前を呼ぶと、彼女は駆けて僕の元へと飛び込んで
僕は抱きしめた。


抱きついてきたは僕の背中に手を回し、握り締めた。






・・・アニエスさんの言うことは聞いてくださいね」



「うん」



「あんまりわがままを言わないように」



「分かってる」



「何か困ったことがあったらすぐ虎徹さんや僕に連絡してください。すぐ飛んでいきますから」



「大丈夫だよ」



「それから・・・」



「バニー」





抱きしめていろいろ言っていると、が僕の名前を呼ぶ。

抱き合っている体を離して彼女の顔を見る。
その表情はどこか穏やかで・・・だけど、目は涙を浮かべていた。







「心配しないで。大丈夫だから」




「でも・・・あの、






すると、が僕の頬に手を触れてきた。









「バニーは私だけの王子様でしょ?離れてても私の全部は、バニーだけのモノだから」




・・・ッ」



「ちょっ、バニー・・・んっ?!」






抱きしめるだけじゃ抑えきれない気持ちが爆発して
僕はと唇を重ねた。

数秒して僕はを離し、彼女の瞼にキスをした。










「可愛い僕の。君の全てはいつも僕だけのモノですよ」



「バニー」







そしての頬を包み、もう一度キスをしようと―――――。













「バーナビー!!公然わいせつ罪でアンタ訴えて、懲戒免職にするわよ!!」


「お、おいアニエスッ」








キスをしようとしたら、雰囲気をぶち壊すような声が轟いた。






「チッ・・・あと少しだったのに。ねぇ

「あと少しじゃないよバニー・・・私恥ずかしかったんだから」

「恥ずかしがるも可愛いですね」




「バーナビー!!!をさっさと離しなさい!、さっさとそんなエロ兎から離れなさい!」



「・・・・・・・分かりました離しますよ、離せばいいんですよね。ハイハイ」






これ以上アニエスさんの気分を損ねないためにも
僕はを自分の腕から手放した。

途端、アニエスさんはを自分の元へと引き寄せ、後ろに隠した。







「いいこと?金輪際にこんな真似してみなさい・・・ただじゃおかないから」


「いいじゃないですか。僕とは恋人同士・・・愛を確かめ合うのは当たり前でしょ?」


「本気で公然わいせつ罪で訴えるわよ。あーもう、アンタが大人しく引き渡してくれたら考えてやったのに取り消すわ」


「どういう意味ですか?」





するとアニエスさんが前髪を掻きあげ、再び僕を睨み付けて言う。







と会うことを許可しようと思ったけど取り消すわ」




「え?・・・ちょっ、そんなっ!!」






放たれた言葉に僕は焦りだす。

と会うことを許可してたということ!?
むしろそれすらも制限させるつもりだったのかこの人は!?









「ダメよ。一度取り下げたものを元に戻すなんて私しないから」



「アニエスさん、それはこちらが聞いてない話です!!」



「言ってないから。電話以外、に会わないで・・・いいわねバーナビー」



「アニエスさん!!」




「さぁ、行きましょう。あんなエロ兎放っといて」


「え・・・あ・・・は、はい」








そう言ってアニエスさんはを車に乗せ、発進させた。

僕は車が見えなくなるまでただ、呆然と見つめていた。








「ご愁傷様だなバニー」


「僕、何か悪いことしましたか?」







虎徹さんに肩を叩かれ、問いかける。

彼は悩みながら―――――。







「まぁ・・・アニエスの機嫌を損ねたのは確かだな」



「・・・はぁ〜・・・・アニエスさんに陰湿ないじめでも始めようかなぁ」



「おい」






No medicine can cure folly
(意味は"馬鹿につける薬はない"。救いようのないというか、相棒としてもフォローしようが無いぜ) inserted by FC2 system

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