私、・・・・只今、困惑してます。
なぜなら・・・・・・。
「よくも昨日は電話に出なかったわねバーナビー?」
「電話に出ようが出まいが、僕らの勝手じゃないですかアニエスさん?」
目の前でアニエスさんとバニーが火花を散らしながら睨みあっているからなのです。
昨日、自分からバニーに触れたら
アニエスさんからの着信から免れると思い、進めていたのだが
途中になって結局バニーが我慢できず私に触れてしまい其処からアニエスさんからの電波を
受信した私の携帯が鳴ったのだが、バニーはそれを完全無視。
延々と電話が鳴り続ける中・・・私達は体を何度も何度も重ねあっていた。
そして本日。
トレーニングルームにアニエスさんが待ち構えており
私とバニーが揃った途端、この状態になった。
タイガーさんやカリーナを含めたほかの皆も、異様過ぎる事態にお手上げ状態。
むしろ、タイガーさんに目線で助けを求めるも
ため息を零され首を横に振られる。
同じようにカリーナにもと、思ったら彼女はため息を一つ。
完全に「自分でどうにかしなさい」という意味にもなった。
だから困惑している。
目の前でバニーとアニエスさんは笑みを浮べ睨み合い
他の皆はそれを見て見ぬフリな状態。
私としてはどう対処していいのやら、分からなくなっていた。
「!何で電話に出なかったの!?いつもちゃんと出てたでしょ?!」
「えっ・・・あ、あの・・・そ、それは・・・っ」
いきなり、アニエスさんの鋭い刃が私に向けられてきた。
突然に話を振られ何も考えていなかった私は、完全に焦りを見せる。
言えるわけがない。
アニエスさんの着信を無視して、バニーと愛し合ってた・・・なんて。
しかも誘ったのは、彼からじゃなく私。
でも、こうなると分かっていて私は自分からバニーに触れたのだ。
彼は悪くない・・・。
此処は自分からはっきりとアニエスさんに言わなければ、と思い
深呼吸をし、目の前の母親代わりの人に立ち向かう準備を整えた。
「アニエスさん、実は昨日」
「無粋な事聞かないでくださいよアニエスさん」
「バ、バニーッ!?」
私が喋ろうとした途端、バニーが私の肩を抱いて自分の元へと抱き寄せた。
目の前での触れあいにアニエスさんのオーラが一気に変化、完全に怒りに満ちたモノに変わる。
「バーナビー!!から離れなさい!!」
「恋人同士なのにどうして離れなきゃいけないんです?いいじゃないですか。
は僕の唯一の癒しなんですから・・ねぇ、」
「此処で私に同意を求められても〜」
「いいから離れなさい!!アンタ、そんなに私を怒らせたいの!?」
「先日、どうしてが貴女の着信に出なかったか・・・教えてあげましょうか」
「はぁ?」
「こういう事です」
「え?・・・んぅ!?」
肩を抱いたままバニーが私にキスをしてきた。
周囲は唖然とし、私も驚きが隠せない。
しかも、バニー・・・口の中に舌を入れてきて、いつものように絡めてきた。
唾液と舌が、交互に混ざり合い、体中が彼の熱を感じ
足が震え、頭の中が真っ白になっていく。
ようやく離れ、私は体の力が抜けバニーの方へと倒れる。
もちろんバニーは倒れた私をいとも簡単に抱きとめた。
これだけのやり取りで、先日・・・私とバニーの間に何があったのか、なんて
口で伝えなくても十分に伝わったはず。
「あ、アンタ達・・・ッ」
「コレでも僕は我慢した方です。何処かで吐き出さなきゃ、お互い溜まってしまいます・・・色々と」
「人が下手に出てりゃいい気になって・・・を返して、今すぐ!」
「それは出来ない話です。アニエスさん・・・見っとも無いですよ。元はと言えば僕とがこうなる事に
なったのは自分のミスが原因ですよね?それを、さも自分は無関係だと言われても困ります。
僕は今の今まで自分を抑えてきた、に触れること何もかも。でもそもそも
貴女の依頼と嘘記事が全ての始まりなんですよ?其処のところ・・・理解してその言葉を仰ってるんですか?」
「・・・そ、それは・・・っ」
バニーは私の肩を抱きながらアニエスさんに強く出た。
彼の言葉に、アニエスさんは反論の余地も無い。
確かに、思い返してみたら
アニエスさんのバニーへの依頼が原因で私達の関係は完全になった。
そうなったらバニーの言葉には一理ある。
でも、別にわざわざ皆の前でキスまでしなくてもよかったように思える。
むしろ、バニーが私とキスをしたかっただけ?などとヘンな事を考えてしまった。
「確かに・・・僕はを好きすぎるがゆえに、周りが見えない時があります。
でもそれは・・・貴女も同じのはずですよねアニエスさん」
「・・・・どういう、事よ」
「貴女はの母親代わりだ。一人が起こしてしまった事件の事や
彼女自身がNEXTであること・・・彼女の抱えている問題は並大抵の人が持っている問題ではない。
貴女は一人の女性として、そして彼女の母親、代理ではありますが・・・しっかりと見守っていく義務がある。
の母親がを迎えに戻ってくる、その日まで」
「・・・バニー」
バニーがアニエスさんに投げかける言葉に、私は声を出し彼を見上げた。
私の視線にバニーは優しい笑みを浮かべながら、私の肩を抱く。
「だから・・・貴女は僕と、違う形で周りが見えなくなるんです。
僕は、彼女を一人の女性として愛するがゆえ・・・貴女は、彼女を自分の子供のように愛するがゆえ。
まぁコレは個人的な観点からの意見です。違っていたのなら僕が今持っているヒーローポイント全部
虎徹さんに譲ってもいいし、皆さんで山分けにしてもいいし、もしくは無効にしてくれたって構いません」
「お、おい良いのかよバニー!?んな事言って」
「を手放すくらいなら、ポイントなんていりませんし
僕の持ってるポイント全部でが僕の元に完全に戻ってくるのであれば、ポイントを手放すことなんて惜しくありません」
「ったく。惚気てんのか分かんねぇなぁ〜ウチのバニーちゃんは」
「惚気って言うよりも果てしなくバカね、バーナビー」
「でもいいんじゃない?アタシ、良いと思うわ。そういう度胸見せてこその男よハンサム」
皆の言葉に、バニーはもう一度私を見て笑った。
バニーの放った言葉にアニエスさんは未だ言葉を発そうとせず
ただ少し悔しそうに顔を歪めていた。
私はようやく体中に力が戻り、バニーの元から離れアニエスさんの所に向かい、手を握った。
「あ、あの・・・っ」
「・・・な、何よ。貴女も私に文句があるって言うの?」
「ち、違います。あの・・・アニエスさんも、私の・・・私の、大切な人です。こんな私を・・・自分の子供のように
守ってくれたり、怒ったり、優しくしたり・・・私にとって、アニエスさんはもう一人の私のママなんです」
「」
伝えたい、ずっと、言いたかった言葉を。
伝えたかった、ずっと、言えなかった言葉を。
「バニーとの事・・・黙っていた事は謝ります。でもバニーだけを責めないでください、私も彼と同じ気持ちだったから。
だけど、アニエスさんにはいっぱいいっぱい心配かけちゃいましたよね、ごめんなさい。
昨日の事も、約束を破ってパーティ抜け出した事も」
「・・・貴女・・・っ」
だから今・・・伝えます。
私をいつも愛してくれている、もう一人の・・・ママに。
「こんな私を、叱ってくれてありがとうございます。こんな私に、優しくしてくれてありがとうございます。
こんな私を・・・大切に愛してくれて、ありがとうございますアニエスさん」
「全く。気が気じゃないのよ・・・貴女の母親代わりをしてる私にとってはね」
先程まで怒っていた瞳が、途端優しさを帯びた綺麗な瞳になっていた。
そんな眼差しでアニエスさんは私を見つめ、頬に優しく触れる。
「悔しいけど、バーナビーの言った事は正しいのかもしれないわ。貴女を自分の子供として
愛するがゆえに・・・見えなくなっていたのかもしれない・・・貴女のツラさも孤独も何もかも」
「アニエス、さん」
「別に逃げてたわけじゃないの。ただ、私は貴女を守る義務があったから・・・こうなってしまったのかもしれない。
でも、許したくないのは本音よ・・・だって、取られたみたいで・・・嫌じゃない。
娘を他の男に取られる気持ちって・・・こんな気持ちなのかしらね、ミスター鏑木?」
「いや此処で俺に振るなよ」
突然のアニエスさんの振りにタイガーさんは困った表情を浮かべていたけど
すぐに安堵の笑みを浮かべた。
その表情を見て、再びアニエスさんを見ると私を抱きしめた。
しかし豊満な胸に押え付けられ息が出来ない。
「はぁ〜・・・でも、ホント悔しい。許したくないのに、自分のミス一つで結局は許すことになるんだから」
「ぷはっ・・・ア、アニエスさん」
「でも今回は特別に許すけど。・・・バーナビー!私のを泣かせるような事したら今度はコレだけじゃ済まなくてよ?」
「肝に銘じておきます。ですが、を啼かせるのはベッドの中だけなので・・・ご安心を」
「バ、バニーッ!?」
「うっわキザッ。漢字が違う上、表現も違うから余計腹立つわ」
関係を許したもらえた喜びなのか、バニーは嬉々とした表情でアニエスさんに言い放つ。
私は恥ずかしいあまり赤面。
アニエスさんや他の皆はバニーの発言に呆れた模様。
お惚気兎さんがお出ましになったようで
関係を許してもらえたのは良かったけれど、人前でこんなのだと、私の身が持たない気がしてきた。
「」
「あ、は、はい」
するとアニエスさんから名前を呼ばれ
返事をし、私は見上げる。
「何かあったらいつでも言うのよ?」
「え?」
「だって私は、貴女のおかあさん・・・だからね。私はいつまでも、貴女の味方だから」
「アニエスさん」
そう言ってもらえるだけで、私は本当に愛されている。
バニーからも、アニエスさんからも。
「あのクソ兎がマジで浮気したらいくらでも訴えて慰謝料を請求しなさい。私も証言してあげるわ」
「ア、アニエスさん」
「アニエスさん・・・入れ知恵は教育上よくありませんよ、むしろやめてください」
「あ、あの・・・ふ、二人とも」
すると、バニーがアニエスさんの言葉が聞き捨てられなかったのか
こちらにやってきて、再びアニエスさんと睨みあう。
「全く・・・生意気なクソ兎ね。、次バーナビーに何かされたらマジで訴えなさい」
「え!?」
「僕らの関係を許したのならヘンな事をに吹き込まないでください。ねぇ?」
「え!?あ、あの・・・私はどうすれば」
外野にいる方々に視線と言葉で助けを求めたが
これ以上巻き込まれたくないのか、各々トレーニングへいそいそと戻っていく。
「カ、カリ〜ナ、助けてぇ〜」
「無理」
「即答?!」
カリーナに助けを求めるも即答され彼女は足早にトレーニングルームへと向かった。
もちろんタイガーさんを含め、他の皆も。
「あの、私・・・そろそろ夕飯の準備を・・・」
「、今日は私と食事しに行きましょう?美味しいフレンチの店見つけたの」
「ダメですよ。さぁ、僕と一緒にマンションに帰って夕飯を作りましょう」
「あら、アンタ料理できんの?良いとこのボンボンだから包丁も握れないのかと思ってたわ」
「心外ですね。こう見えても僕が来るまで一人暮らししてたんで。そういう貴女こそ、料理できるんですか?
むしろ・・・に料理させっぱなしで、ご自分でしたことないんじゃ・・・母親代理としてどうかと思いますよアニエスさん」
「何ですって?」
「間違ったことは僕、一言も言ってませんけど?」
「あの、とりあえず・・・私を挟んで睨み合うのだけはやめてください二人とも」
Birds of a feather flock together...?
(”類は友を呼ぶ...?“類友というか・・・似たもの同士?)