「ちょっとー!誰か助けに来なさいよー!」







私、エイリィ・マシューは閉じ込められていた。



歌番組の収録中の出来事。
突然ビル火災に見舞われ、私は逃げ遅れ閉じ込められたのだ。



シュテルンビルドの人気歌姫が無様な姿。



こんな惨めな姿がカメラに映ったりしたら、私のイメージは一気にガタ落ちだ。







「もう、何よ・・・誰か助けに来なさいよ」





どうして逃げ遅れたのか。

スタッフはメインの私を置き去りに自分達だけが早々に逃げ出した。
もし助かったら此処のスタッフを全員首にしてやるんだから、と心の中で意気込んでいた。


しかし、そう意気込むのはいいけれど・・・どうやって閉じ込められた場所から出るかという問題があった。










「誰か来なさいってば・・・来てよ・・・・・・・ヒーローの一人くらい来たらどうなのよバカーー!!」








自慢の声を精一杯出した。


喉が潰れても構わないくらいの、声を出し思いっきり叫んだ。









『叫ぶのは一向に構いませんが、歌手なんですから喉は大事にしたほうがいいですよ』



「え?」






すると、私を閉じ込めていた瓦礫が退かされ光が差し込む。
今まで暗い中に居て差し込んできた光に眩しく手で光を遮り、私に声を掛けてきた人を見る。

人・・・というよりも、機械。

でも、それはよくテレビで見たことのある姿。









『居ました、エイリィ・マシューです』








スーパーヒーロー・・・バーナビーだった。



いつもテレビだけでしか見ることが出来なかった。
「ヒーロースーツ被ったら人形みたいね」と思っていたけれど
実際生で見る彼は凛々しくそれでいて・・・・・。








『僕の手を握ってください』



「え?・・・あ、はい」







差し出された手を握り返すと引っ張り上げられ、お姫様抱っこ。


今まで色んな男にこんな風に抱きかかえられたことがあるけれど
こんなときめきはなかった。


私の心は今、凄い速さで鼓動している。








『行きますよ。僕にしっかり掴まって下さい』



「あ、は・・・はぃ」







掴まっててと言われ、私は彼にしがみつく。
チラっと目線を上げて彼を見ると素顔を閉ざしたマスク姿でもドキドキする。

こんな気持ち・・・数年と来なかった。


彼に見惚れていたらマネージャーやスタッフが居る場所に下ろされ、誰もが私の周りに集まる。

皆が私の心配をするも、一方の私は自分の元を去り行くバーナビーを見ていた。
素顔を隠していたマスクを上げ、ようやく見たかった顔を見ることが出来た。



写真で見るよりも・・・素敵、良い男。







「エイリィ!!大丈夫!?」



「・・・・・・」



「エイリィ?」






私はゆっくりと何処かに連絡を入れているバーナビーに近付く。
そんな私の存在に気付いたのかコチラに振り返る。

近くで見るとますますその顔立ちの良さが分かった。





「何か?」



「た、助けてくださって・・・ありがとうございます」



「いえ。僕はヒーローですから、助けるのは当然です。僕はまだやることがありますのででは」









優しい微笑を向け、彼はバイクに跨り其処を去って行った。









「エイリィ、とりあえず病院に」




「素敵」




「え?」




「バーナビー・・・いえ、バーナビー様こそ私の王子様だわ!!ヒーローなんてバカにしてた私、どうかしてる。
あんな素敵な御方が居たなんて・・・!!」




「エイリィ?」





「あぁバーナビー様・・・もう一度会いたい・・・いえ、何が何でも会うわよ!アイリー、今すぐバーナビー様の
スケジュールを把握して、私に会わせて頂戴!!」


「エイリィまたなの?」

「おいまた始まったぞ」
「エイリィ・マシューの恋暴走。今度はバーナビーかよ」
「この前は有名俳優じゃなかったか?」
「どんだけ惚れやすいんだよ」









スタッフの何人かの小言を耳に入れ、彼らを私は睨みつける。







「閉じ込められた私を助けに来ようともしないでよく言えた口ね?むしろ私を見捨てて先に逃げた貴方達を
テレビ局に訴えてクビにしたっていいんだからね?それに私は顔が広いのよ?貴方達クビにすることくらい造作も無いことなんだから」



『・・・・・・・』





その一言で誰もが黙り込む。

私を見捨て、閉じ込めた罰よ。コレで誰も私に対して文句が言えなくなる。





「分かったら私に口答えするんじゃないわよ」



「エイリィ!?す、すいません!!」






マネージャーのアイリーがスタッフに必死こいて謝るけれど、私にはそんなの今はお構いなし。

今の私の頭の中は・・・あの凛として、でも何処か優しさを含んだ・・・・・・。












「あぁ、バーナビー様ぁ」









愛しい彼の事でいっぱいだったのだ。






















『はい?』


「もしもしですか?僕です」


『あ、バニーどうしたの?』


「仕事が一段落出来たので今から帰ります、マンションですよね?」


『うん。ちょうどお茶にしようと思ってたんだ、じゃあバニーの分も用意しとくね』


「ありがとうございます。なら超特急で帰ります」


『ウフフ。事故に気をつけてね』


「はいではまた後で・・・-ピッ-・・・さて、早く帰ってと何しようかな」








恋スル歌姫様
(歌姫が恋をしたのは誰もが羨むスーパーヒーロー(同棲中の彼女持ち)) inserted by FC2 system

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