への償いのモノを選びきれず
電車を乗り継いで、僕はマンションへと帰ってきた。

帰ってくる途中。
事件に巻き込まれたが、虎徹さん達が対処してくれたおかげで
大事にならずには済んだ。

だが、電車での事を虎徹さんやロックバイソンさんには内緒の方向で
乗務員にも彼ら2人のおかげだ、と言って手柄を明け渡した。


僕は有給消化中の身だから、こんな時にまで
仕事をしてしまったとバレてしまえば流石にお咎め無しとはいかないだろう。



そんな事を考えて結局僕はこれ以上
街を彷徨いてしまえば事件に遭遇しかねないとも思い、戻ってきたのだが―――――。








「暇だな」






自分なりにやることを見つけてやってはみたものの
それらはすぐに片付いてしまい、僕はすぐに暇になってしまった。


の帰りが待ち遠しい。


椅子に座って溜めていた本を読んでいたけれど
何だか読むのも少し飽きてきたのか、テーブルにそれを置いて
床に体を転ばせた。






「結局何も買ってこなかったな」






に無理をさせた罪滅ぼしとして
何か買ってきてあげるべきだったのに、結局のところ僕は手ぶらで戻ってきてしまった。

本来ならあれやこれやとが喜びそうなものを
買い揃えてビックリさせるつもりではあったけれど
それをしてしまえば、彼女に叱責されかねない。

以前もそんな事をしたら
「私のために買ってくれるのは嬉しいけど、お金は大事にしてね」と
緩くだけれど釘を刺されしまった。


自分の暴走が招いた事だというのに
多分の事だから、謝っても笑って許してくれるはずだ。

だがしかし、僕の罪悪感だけは残ってしまう。







「何をしてあげればいいんだ」





床に寝転んだまま呟いた。











『ただいま』



「!!」







ふと、玄関から聞き慣れた声。

僕は体を急いで起こし、すぐさまそちらへと足を向かわせた。
玄関に向かうと、が学校用の靴から自宅用のに履き替えていた。

その側には買い物を済ませてきたと思われる買い物袋が置いてあった。






「お、おかえりなさい


「ただいま、バニー。もしかして、ずっと部屋に居たの?」


「え?・・・あ、いえ。車をメンテナンスに出しに行って、さっき帰ってきたばかりです」


「ああ。だから駐車場にバニーの車がなかったのね。てっきり何処かに出かけてるのかと思っちゃった」







そう言いながらは靴の履き替えが終わったのか
側に置いていた買い物袋に手が伸びる。

僕はすかさずその袋に手を伸ばし彼女より先にソレを持った。







「僕が持ちます」



「え?あ、ありがとう」



「キッチンに持っていけばいいですか?」



「うん。じゃあ私着替えてきたら、夕飯の準備」



「では僕も手伝います」



「え?で、でも、私一人でも」



「いえ、手伝います。が何と言おうと僕もお手伝いします。
それに2人でしたほうが出来上がりも早いでしょうから」



「そ、そう。じゃあ2人でやろっか。私、すぐ着替えてくるね」



「はい」





そう言っては着替えに寝室へと向かった。
一方の僕はというと、彼女の持って帰ってきた荷物をキッチンへと運ぶ。

空いているスペースにそれを置いて、ため息を零し気合を入れ直す。







「(唯でさえの体に無理をさせたんだ、これくらい・・・いや、これ以上の事はしないと!)」








モノがダメなら、態度で示せ。


料理は流石に自分一人で作るなんて出来ない。
出来ないことをしてしまえば、余計の体に負担をかけてしまう。

だったら、の側で徹底的にサポートすればいい。
出来る所は彼女を休ませて自分でやる。


コレを繰り返せば、の体の痛みも少しずつ癒えていくはず。






「(やるぞ・・・うん)」



「バニー、おまたせ。じゃあ手を洗って始めようか」



「はい、





着替えを終えたがやって来て2人でキッチンに立ち
僕は彼女の行動の一歩先を読みつつ、他愛もない話をしながら夕飯の準備をするのだった。













「ごちそうさまでした。今日はバニーが手伝ってくれたから、早く食べれたね」


「そうですね。今日のご飯も美味しかったですよ、


「お粗末様でした」





互いに夕飯を食べ終え、が立ち上がり
テーブルに乗っている食器を片付け始める。






「じゃあ私、食器洗って」



「僕がやります。は休んでてください」



「え?」






テーブル上の食器を片付け
それをキッチンに持って行こうとするの動きを止めた。


食器洗いくらいなら自分でも出来る範囲だ、と僕は思い
彼女の集め重ねた食器を持ち上げキッチンに向かう。








「ねぇバニー」




「はい?」







不意に声を掛けられ振り返りを見る。
僕に声を掛けたの表情は何だか怪訝そうなモノだった。







?どうかし」




「何か変だよ」




「え?」




「バニー、さっきから何か変。夕飯の手伝いしてくれたり、食器洗うって言ったり。
別に嫌ってワケじゃないんだけど・・・何て言うか、変っていうか」






普段見慣れない行動をするものだから
が不思議がってもおかしくはない。

だが、本来の目的を喋るわけにはいかない僕は何とか誤魔化しを始める。







「お・・・お休みですから。こういう時くらいの手伝いはしないと」









なかなか良い誤魔化し方だ、と褒めてやりたい。

自分が休みだからといって怠けるわけにはいかない、という理由さえ並べれば
目の前のはそれだけで納得してくれるだろうと思っていた。








「別にいいよ、そういう気を遣わなくても。むしろバニーは昨日まで働き詰めだったんだから
私としてはバニーに休んで欲しいんだよ。気持ちは嬉しいけど、いいんだよバニー」










納得する、と思っていたがどうやら眼前の彼女は納得してはくれなかったようだ。
どんな言葉を並べれば、と考えていたがこれ以上の誤魔化しは
通用しないだろうと僕自身悟り始め、持っていた食器をテーブルに置いた。






「ひとまず、僕は君に謝らなければいけません」



「え?」



「昨晩の事です。その・・・君の体に、無理を、させてしまって」








誤魔化しや嘘を並べるのを止め、僕は自己嫌悪していた部分を彼女に吐露し始めた。







「休日だというのに浮かれて、としばらくの間は一緒に居れると喜んで。
その結果・・・昨晩のような事をしてしまった。次の日、君が学校だというのを忘れて」



「バニー」



「年甲斐もなく、君を求めてしまった事は恥じてます。もちろん、その体で学校に行かせた事も。
僕自身が気をつけてさえいれば何ともなかったのに・・・それなのに」








どこから間違えたなんて、分かりきっている。最初から自分の失態。
彼女よりも僕は大人で、理性の制御の仕方は分かっているつもりだった。

だけど、浮足立った気持ちはその理性の楔さえも外し
眠っていた欲望という獣を解き放ってしまった。


その結果、どうなっただろうか。の体に無理をさせてしまった。


最愛の彼女にキツくツラい思いをさせた自分が本当に情けなく、ひたすら落ち込んだ。







「本当にすいませんでした、




「夕飯の手伝いしてくれたり、食器洗うって言ってくれたのは」




「君の体を考えての、僕なりの謝罪の仕方です。色々考えたんですけど、この方法しか見つからなくて」




「そうだったんだね。でもねバニー、それを悪いとか思わなくていいんだよ」



「え?」







気落ちしている僕には明るく、そして優しく声を掛けてくれた。





「確かに体痛かったし、加減はして欲しいかなぁ〜って思ったけど
貴方が私を愛してくれてるんだって思ったら、痛いのなんてどっかに飛んで行っちゃった」









「だからね、それを悪いとは思わないで。嬉しかったから。私はまだ、貴方に愛されてるって確認できたから」




「”まだ“なんて・・・そんな言葉、使わないでください」




「えっ?・・・あ」





僕はの腕を引き、自分の腕の中にと収めた。









「僕は今も、そしてこれからもずっと君を愛しているし、愛していたいんです。
”まだ愛されてる“なんて言葉はやめてください。まるで君を捨ててしまうような言葉に聞こえます」






”まだ“なんて言葉はやめてほしい。


そんな言葉を聞いてしまい、まるで僕が彼女を見放したかのように思えてしまった。


僕はこれからもを愛していたい。

僕もに愛されていたい。



だから僕らの関係は”まだ“で終わる関係ではないはずだ。








「バニー。・・・・うん、ゴメンね」



「いえ、僕の方こそすいませんでした。ですから・・・あの・・・っ」



「ん?」



「この後、いいですか?今日はうんと、優しくします。至る所まで、君を愛し尽くしたい」








僕がそう言うとは顔を真っ赤にして、こちらを見上げた。






「今日は加減してね。明日も、学校だから」



「もちろんですよ、







むしろ、この有給は君と愛しあう時間として消化してしまおう、と
頭の中でそんな事を思いついてしまった。





さて、今日は優しくたっぷり愛してあげるとして。


明日はどんな風に愛してあげようか。




有給消化−休み−は始まったばかり。
正しく、効率よく、使−愛しあ−わなければ。



正しい有給の使い方
(それは君と過ごす甘い愛の時間に注ぎ込むつもり) inserted by FC2 system

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