「はぁ・・・やっと、何か落ち着いた感じです」
「今日もお疲れ様でした」
僕とは同じベッドに寝て、いつもの様に僕は彼女を抱きしめている。
虎徹さんは簡易ベッドで寝てくれて、ものの数分でいびきをかきはじめ眠っていた。
やっと訪れた2人の時間。
この時間をどれほど待ちわびたことだろうか。
「バニー、狭くない?大丈夫?」
「狭くありませんよ。確かにマンションのベッドより広くはありませんが、平気です。
それよりもは大丈夫ですか?ちゃんと毛布は足りてますか?足りてなかったら言ってくださいね」
「ウフフ、平気だよ。だってバニーが抱きしめてくれてるから全然平気」
「」
そんな風に言われただけで、疲れが一気に吹っ飛ぶというもの。
本当には僕にとっては無くてはならない存在だ。
なくてはならない存在ではあるが、実のところ今回ばかりは反省している。
「こんな形で、君に迷惑をかけてしまったこと・・・僕なりに、反省してます」
「え?」
「本来ならちゃんと向こうに帰りつくところなのに、こんな場所で足止めしてしまった挙句君の手を煩わせてしまったのが」
「バニー、気にしなくていいんだよ。だってこういうのも仕事の内だってロイズさんが」
「ですけど・・・やっぱり・・・・・・すいません」
唯でさえ、今抱えてる一件でを巻き込んでいる。
だからコレ以上の迷惑をかけないため、自分なりに努力はしていたつもりだ。
けど、結局はに迷惑をかけてしまった。
「もう謝らないでバニー。私、気にしてないから」
「君が気にしなくても、僕が気にしてしまいます。本当にすいません」
「バニー・・・どうして、そんなに謝るの?」
「え?」
「だって、私別に気にしてないし・・・それに、こういうのも何か楽しいし。
それなのにさっきからバニー、私に謝ってばっかりだから」
に問いかけられ、僕はため息を零し彼女を見た。
「正直、妬いてます」
「え?誰に」
「君に話しかけてきていた男性スタッフと虎徹さんに」
「え?!」
「、声が大きいです。虎徹さんが目を覚ましてしまいます」
「あ、ご、ごめん」
のほんの少しの大きな声に、僕は軽く注意を促した。
一旦は手で口を押さえすぐさまそれを口から離した。
「バニー、ヤキモチ妬いてたの?」
「はしっかりしてますし、気配りも出来る良い子だとロイズさんが言ってました。
もちろんそれは僕や虎徹さん、アニエスさんだって思っていることです。ですけど、君のその誠実さが他人には良い印象を与えて
結果、声を掛けるという行為に走ることになるんです。君に興味を持たない人は、居ない。
それにさっきも楽しそうに虎徹さんとオセロをしてて・・・‥っ」
自分のに対する独占欲と嫉妬心がまた酷い感情を生み出していた。
今の現状を申し訳ないと思う反面、取材先でのに向けられる視線を考えたら
頭の中はグチャグチャになっていた。
反省と嫉妬。
相反する気持ちに、頭の処理能力は付いていっていない。
「バニー」
「妬かない方がおかしいんです。僕はが好きだから、誰にも渡したくないんです」
今だから強く抱きしめる事ができる。
そして、肌から伝わってくる体温が僕だけのものだと安堵できる。
ふと、胸に感じる温かな雫。
「?・・・泣いてるんですか?」
「だ、だって・・・っ」
が涙を流していた。
あまりの事で僕の心は焦りの方向へと向かう。
「泣かないでください。本当にすいません。僕が、僕が君にこんな思いを」
「違うよバニー、違うの」
「え?」
「何か、その気持が凄く嬉しくて・・・泣いちゃった」
「」
は自分の指で涙を拭いながら、ポツリポツリと言葉をこぼし始めた。
「だって、私・・・今はバニーのマネージャーだからしっかりしなきゃって思う反面
やっぱり知らない人に声かけられたりすると、怖かったりするし。バニーには迷惑かけれないと思って。
だけど、貴方からそんな風に想われてたと思うと・・・凄く嬉しくて、泣いちゃったの」
「」
「ごめんね、すぐ、泣き止むから」
そう言う彼女は涙を拭うも、嬉しくて溢れ出てきた涙は留まる所を知らないらしい。
僕はゆっくりと彼女の顔に近付き――――唇を軽く重ねた。
「バ、バニーッ・・・ダ、ダメッ」
「ダメ、だなんて嘘ですよね。君の体は熱いですよ?頬だって、林檎のように赤い」
そして、今度は頬に優しく唇を落とし
段々と唇を上へと向かわせ、瞼に落とした。
其処に落とし終えると、目が合う。
潤んだ瞳が愛らしい。
「何か、ホッとしました」
「え?」
「が僕を必要としてくれていた事が嬉しいです」
「バニー」
「あまり、声を漏らしてはいけませんよ?」
「バニー?・・・んぅっ」
軽く触れ合うだけじゃ飽きたらず、と唇を重ねた。
セミダブルのベッドが僕の重みで軋む音を出す。
角度を変えて。
舌を絡め合わせ。
唾液を交え。
何度も、何度もキスを繰り返す。
「んっ・・・ぁ、バ、バニィ・・・ッ」
「ダメですよ、あまり声を出しては。虎徹さんが起きてしまうでしょ」
「で、でも・・・ぁんぅ・・・んん・・・っ」
聞こえてしまいそうな唇を塞いで、声を押しとどめる。
「んっ・・・は・・・、好きですよ。大好きです」
「はぁ・・・あっ・・・バ、バニー・・・」
一旦唇を離し、を見た。
呼吸のままならない目の潤みが僕の欲望を掻き立てる。
「この顔は、僕だけが見れる顔ですよね」
「え?」
「その顔は、僕だけの前にしてくださいね。他の男の前でしたらこれだけの嫉妬じゃ足りないくらいになるんですから」
「それって、どんな顔よ・・・ウフフフ」
笑うに、僕は頬に触れた。
「バニー?」
「頬を赤く染めて、潤んだ目をして・・・僕を、誘っている顔のことですよ」
「やっ・・・べ、別に誘ってないもん!」
「僕には、そういう風に見えるんです。困った顔や笑った顔、いえ、がする全ての表情が僕を誘ってるように見えるんです」
「バ、バニーのエッチ」
「そういう事を言う子には、帰ってからたっぷり・・・お仕置き、してあげないといけませんね?ねぇ、」
「うっ!?」
僕だけしか知らない顔
(後は帰ってからのおたのしみ、ってことですよ)