「、相当アンタに対しての拒絶反応酷いわよ」
「・・・すいません」
「まぁ事情を話してなかったこっちにも原因があるんだけどね」
アニエスさんに言われ、僕は彼女と一緒にさんが居る病室から出た。
居なくなって虎徹さんからアニエスさんに連絡が入り
病院に居るとのことで、僕達は急いでやってきた。
皆、彼女を心配して駆け寄ったり話しかけたりとしていたけど
僕は・・・出来なかった。
駆け寄って話しかけるどころか―――――――。
『来ないで、ください・・・・出て行ってください』
拒絶された。
「まさか調べてるなんて思わなかったわ」
「何かあるとしか思えないじゃないですか。虎徹さんはヒーローの時は絶対に顔を見せないし
アニエスさんだって、やけにさんの事となると虎徹さんとのやりとりがいつもと違ったりしてるし。
何かあるんじゃないかとしか思えなくて」
「だからって、あの子を怖がらせるまでしなくてもよかったはずよ」
「反省してます」
「事情があって、色々と私やミスター鏑木で手を打ってたの。もう理解したでしょ、話したんだから」
「はい」
此処に来る前。
アニエスさんから大事な話があると言われ、休憩室で僕を含めた
残りのヒーローにある話がされた。
さんの事だった。
そこで、僕は自分が今まで何をやっていたのかというのを気づかされた。
僕は・・・・さんを怖がらせていたんだ。
さんを追い詰めるようなことをしてしまったばかりに
彼女の心に、事件の事と・・・それ以上の深い傷を作ってしまったのだ。
「悪ぃ、遅くなった」
すると、さんの病室から虎徹さんが出てきた。
僕は座っているソファーから立ち上がり、アニエスさんと共に出迎える。
「は?」
「大分落ち着いた。今はブルーローズたちが付いてるから大丈夫。
それより何で、バニーのこと怖がってんだ?最初あんなにお前ら笑いあってただろ?」
「それは・・・・あの・・・・」
虎徹さんを見て、アニエスさんを見る。
アニエスさんの視線は「自分から言いなさい」と言わんばかりの目だった。
僕は深呼吸をして、虎徹さんを見た。
「すいませんでした」
「お、おい・・・なんだいきなり?」
「さんをあんな風に怖がらせたのは僕なんです。彼女があんな態度をして当然なんです」
「何だって?」
「アニエスさんから聞きました・・・さんの事」
そう言うと虎徹さんは僕を見て
アニエスさんに視線を向ける。するとアニエスさんはため息を零した。
「他のヒーローにも話したわ、の事。事件の日の事とか、あの子が心に負ってる傷を」
「・・・・そうか。んで、バニーはどうしてに怖がられるようなことをしたんだ?」
再び、僕の元に会話が戻ってきた。
「絶対に人に素顔を見せないと言った貴方がどうして一般人に素顔を見せたのか気になったし。
アニエスさんと普段のやりとりが、どこか違うと感じたんです。二つとも、関係したのが・・・さんが現れてからの事でした」
「それで気になって、の事調べてたんだな」
「虎徹さんもアニエスさんも、事情を聞いてもきっとはぐらかすだろうと思って。
でも、本当に知らなかったんです」
「彼女が義理の父親から犯されそうになっていたなんて」
アニエスさんから聞いた話で、僕は自分の間違いに気づいた。
さんがどうして家出を続けていたのか。
それは父親からの性的欲求を感じ取っていたから、あの子は家に帰ることを拒んでいた。
事件の日のことをどうして言わなかったのか。
義理の父親に犯されそうになったから何も言わなかった、違う言えなかったんだ。
あの時の感触が多分、体に残っているから。
覚えていなかったりしているのは、そのときのショックが原因だとアニエスさんが教えてくれた。
だから変わりに虎徹さんやアニエスさんが警察の事情聴取を受けていた。
僕は間違っていた、誤解していた・・・さんの事を。
「本当にすいません。今日、彼女を見失ったのは・・・僕が追い詰めたせいなんです」
「そう、だったのか」
「拒絶をされたのは、多分僕が酷いまでに追い詰めたせいで・・・・今のさんは僕を見るだけで
あんな風に反応してしまうと思うんです」
「なるほどな。それで、出て行ってくれか」
「さんに謝りたいんです・・・一言」
「いや、謝りたいとか言っても・・・・」
「がアンタのこと拒絶してるんじゃ、謝るも何もないわよ」
虎徹さんとアニエスさんの言葉に、僕は声が出なかった。
自分が悪いのは十分に分かっている。だからこそ、謝りたい気持ちが大きい。
しかし、あんな風にまで拒絶されてしまった以上
謝りたいのに謝れないから、どうすることも出来ない。
「まぁ・・・お前が”謝りたい“って気持ちを見せたら、が応えてくれるんじゃね?」
「謝りたい、気持ち?」
すると、虎徹さんが僕の肩を叩いてきた。
「今までの事悪いほうにしか考えてなかったんだろ?あいつの事情が分かったんなら
怖がってねぇで、自分の気持ち・・・ぶつけてやれよ。お前が怖がってると、だってお前のこと怖がったままだ」
「虎徹さん」
「どうするかは自分で考えろ。お前が頑張れば、だって応えてくれるはずだ」
「・・・・・・考えてみます、自分が出来る限りの力で」
今は、僕にはさんを笑顔にするだけの力はない。
でも少しずつ少しずつ・・・僕があの子の心に作ってしまった傷を癒してあげることが出来たら
きっと、僕にも・・・笑いかけてくれる、手を握り合った・・・あの日のように。
「能力のことは話してないんだな」
「当たり前でしょ。自身がただでさえ一番戸惑ってることなんだから」
「そっか。・・・まぁ、家の事とか事件のことを理解してる人間が増えたら大分いいかもな」
「どういうことよ?」
「いやな・・・の能力で、ちょっと厄介な事になって」
「話して頂戴、何なの?」
「実はな―――――」
Failure is the hightroad to success.
(”失敗は成功の元“失敗しても必ず成功する日は来る。例え真実をまだ知らずとも)