「パイロ、キネシス?」


「そうだ。発火念力って言ってな。お前にはテレキネシスのほかにもう1つ能力があったんだ」




ある日病室でタイガーさんに聞かされた。
タイガーさんの後ろでバーナビーさんも黙って聞いていた。


話の内容は、私にはもう1つNEXTとしての能力が開花していた。
それが【パイロキネシス】という、発火念力という能力らしい。

私はそれを聞かされ自分の手元を見て、タイガーさんを見る。





「じゃあ、何もないところで勝手に火が出たのは・・・」


「お前の能力だ」


「まだ制御が上手くできない分、感情とシンクロしてるみたいなんです」


「感情と・・・シンクロ」


「気持ちが怒りや悲しみで一定の興奮状態の時に起こるみたいです。
一番近くで君を見ていた僕が感じたことで、直接医師の判断とは言いかねませんが」




後ろでバーナビーさんが苦笑を浮かべながら私に言ってきた。

この人が私の近くで見ていて感じたこと・・・つまり、やっぱり私は無意識に
自分の知らないところで大切な人を傷つけていたと思うと胸が締め付けられた。





「それと、お前はどうやら爆弾付らしい」


「爆弾?」






タイガーさんは頭を掻きながらめんどくさそうな表情をしていた。
爆弾とは、一体・・・?

困惑した表情でタイガーさんを見ていると、後ろのバーナビーさんが
私に気づいたのか「虎徹さん」と促してくれた。

その声にタイガーさんは盛大なため息を零し、真剣な表情で私を見た。





「お前は、能力の加減次第で・・・体に何かしらのダメージがくるんだ」


「能力の加減って・・・あの、どういう?」


「僕や虎徹さんのように5分しか能力が使えない人もいれば、ブルーローズさんのように
無限大に能力が使える人たちがいることは分かりますよね?」


「え?・・・あ、はい」





タイガーさんの説明じゃ事足りないと分かったのか
すくさまバーナビーさんが補足に走り、私に説明をしてきてくれた。




「分かりやすく言えば、は中間的な部分なんです。能力は無限大に使える、しかし
能力の力加減次第で、体にダメージを負ってしまうことになる。君の今までの腕の怪我は全部能力が原因なんです」




バーナビーさんの説明で、私は自分の右腕に巻かれた包帯を見る。
この腕の傷は、全部自分が能力で起こした傷だと今更ながら理解した。

すると、突然頭に優しい感触。

タイガーさんが私の頭を優しく叩いていた。





「ごめんな。今までこんな大事なこと黙ってて・・・ツラかっただろ、怖かっただろ。
本当に悪かった・・・・ごめん」


「タイガー・・・さん」





タイガーさんの言葉に、目から涙が自然と流れ出た。
すると、頭を叩く手が止まりゆっくりと、タイガーさんは私を抱きしめてくれた。

泣き続ける私の背中を、タイガーさんは「ごめんな」とずっと言いながら宥めていた。



本当に怖かったのは、能力じゃない。


能力と向き合おうとしない、自分自身が怖かっただけだと・・・泣きながらそう思った。











「目は、大丈夫ですか?」


「平気です。すいません、お見苦しいところを見せて」




ようやく私は泣き止み
タイガーさんが病室から居なくなり、バーナビーさんだけが残った。

バーナビーさんは心配そうな面持ちで、私の頬を優しく撫でる。




「ぁ、あの・・・っ」




突然頬を触れられて私は焦った。

前はこんな風に触れられても、緊張も焦りもしなかったのに
今となっては互いが好きだと分かった仲になったから
こんな風に触れられるのは当たり前の事・・・なのに。




「え?・・・あ、あぁ・・・すいません」


「いえ、あの・・・私こそごめんなさい」




頬に触れる手が恥ずかしいと気づいたのか、バーナビーさんは手を離した。






「頬に触れたら落ち着くかと思って。・・・すいません、何か図々しいことして」


「いえ・・・あの・・・大丈夫です。私が、その・・・」


「はい?」


「まだ・・・実感が沸かなくて・・・バーナビーさんが本当に私のこと、好きだっていうのが」







本当に、この人が私を好きだという実感が
未だにないからきっと何もかも緊張してしまうんだろう。

それに・・・――――――。







「私、やっぱり貴方を無意識に傷つけていたことが・・・何だか申し訳なくて」



「・・・・・・・」






さっきの話で、バーナビーさんが一番に私の能力が
感情とシンクロしているんじゃないかと言ってくれたところ。

あの時・・・彼は笑って私に言ってくれたけど、本当は凄く痛くて辛い思いをさせていたのかもしれない。

それなのに・・・私は。





「本当に貴方を好きになっていいのか分からないんです。あの日、好きだと分かって嬉しかった。
だけど・・・色々考えたら、私・・・きっと、バーナビーさんを傷つけてしまう。能力の加減も分からなくて
大切な貴方を傷つけてしまうんじゃないかって思ったら・・・」


、そんな風に思わないでください。僕は大丈夫ですから」



「でも・・・っ」





泣きそうになるとバーナビーさんは私の手を優しく握ってくれた。
温かいこの人の手。

大きくて、優しい、いつも私を包み込んでくれる手。






「僕は、傷ついても構わないと思ってます。の傷を同じ、いやそれ以上、負う覚悟もあります。
君を好きになったことを後悔したくない。だからも、僕を好きになったことを後悔して欲しくないんです」



「バーナビーさん」



「傷ついたのなら、僕が癒してあげます。君の側に居て、僕が君を癒してあげます。
だからもう二度と・・・自分を好きになってよかったのかと言わないでください。
僕が必ず君を守ります。守ります・・・だから、僕の側に居てください、僕の隣で笑っていてください。
の笑顔が・・・僕は大好きなんです」



「私の、笑顔が・・・好き」



「笑顔だけじゃなく、の色んな表情が大好きです。もっと近くで、もっと側で見ていたい」




握られた手がそっと頬に触れる。

さっきまであんなに緊張していたのに、何故だろう。
今は凄く心が落ち着いて鼓動している。

そしてゆっくりとバーナビーさんが私を抱きしめてくれた。






「能力の制御の仕方が分からないなら、僕も思い出せる限り教えます。だから、
もう泣かないでください。君が涙を流したら・・・僕は辛くてたまりません」



「バーナビーさん」



「というか、僕以外の人の前で・・・泣かれると、凄く・・・嫌なんです」



「え?」





抱きしめていた体が放れ、バーナビーさんと顔をあわせる。
ほのかに彼の頬が赤い。


バーナビーさん以外の人の前で泣かれると、嫌って・・・。







「はっきり言って・・・その、嫉妬してます。虎徹さんの前で泣いていたから」



「え?」





さっきの、アレで?





「こんなの本当にかっこ悪くて・・・君に言いたくなかったんですが。あの・・・・僕、こういう感じで
を好きだと意識する前から、他の人の・・・特に虎徹さんの前でのの表情が、僕の知らない顔をしているから
あの・・・その・・・」



「ヤキモチ・・・ですか?」







言うのが恥ずかしいのかバーナビーさんは頷いた。
顔を上げることも出来ないのか、彼は顔を俯かせていた。




「その・・・出来たら、泣くのは、僕の前だけにしてください。弱音を吐くのは僕の前だけにしてください。
でも、ブルーローズさんは幼馴染ですし・・・同姓ですから構わないんですけど、その、あの・・・他の男の人の前では・・・あの」






きっと、こんな彼の姿を見れるのは
彼を好きになった私だけかもしれない。


そっか。

彼が私を好きだから・・・こんな姿も見せてくれる。


テレビに映ってる、スーパーヒーローじゃなくて・・・ただの、バーナビーさんという1人の男の人。


私が本当に好きになった・・・たった一人の・・・・。






「分かりました」



「え?」



「泣く時も、弱音吐くときも、全部バーナビーさんの前だけにします」







「だから、貴方も同じように・・・泣く時も、弱音吐くときも私の前だけにしてくださいね。
私の前ではスーパーヒーローで居なくていいんですから」






私の隣に居るときだけは、カッコよく振舞わなくていい。

普通にしててほしい。



傷ついた私を優しく包み込んでくれた・・・貴方のままでいてほしい。






「バーナビーさんにもっと、私を好きになって欲しいから・・・ありのままのバーナビーさんで居てください」



。そう言ってくれて、とても嬉しいです・・・ありがとうございます」





バーナビーさんは本当に嬉しそうな笑みを浮かべ私に言ってきた。


本当に好きになったらこの人の笑顔は、多分私が一番近くで見れるんだ、と思うと
なんだかそれだけで嬉しくなった。






「あの、



「はい?」





すると、バーナビーさんは少し躊躇いがちに私を呼ぶ。
返事をして数秒、躊躇いがちな表情をしていた顔が引き締まる。

先程とは違う、真剣な話をするのだとすぐに理解した私も釣られて身を引き締めた。






「その、しばらく僕考えたんです」



「はい」



「僕と・・・・」



「はい」




























「僕と一緒に、住みませんか」





「え?」






「僕の、マンションで・・・・君と一緒に、住みたいんです。ダメ、ですか?」






『好き』だという告白もさることながら
バーナビーさんの口から放たれる言葉は、本当に私に驚きの連続を与えていた。



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