「おかえりなさい、バ、バニー」
「ただいまです」
仕事や出動を終え、マンションに帰ると
が僕を出迎えてくれた。
ようやく呼び方を彼女自身、変えたようだけれど
「バーナビー」と呼ぶ期間が少し長かったせいもあるのか、愛称の方で
呼ぶのには少々ぎこちなさを感じる。
だが、それも時間が経てば慣れていくものだろうと思い
の向けて笑みを浮かべる。
「食事はもう済ませましたか?」
「う、ぅん。バニーと一緒に食べるつもりだったんだけど・・・ごめんなさい。
お腹すいちゃって」
「いいんですよ。僕のことは気にせず、お腹が空いたのなら先に食べててください」
「うん。ごめんね、バニー。あ、でもバニーの分はちゃんと作ってあるから。
そうだ!今からご飯あっためてくる。それから何か軽く作り足すね」
「え?いいですよ、そんな。作ってある分だけでも十分ですし」
「いいの、いいの。バニーは座って待ってていいから、すぐ作ってくるね」
そう言っては嬉しそうにキッチンへと走って行く。
一方の僕はといえば、頭を掻きため息。
無理をさせるつもりはない言葉を選んで言ったのだが
どうやら僕の言葉は虚しく宙を舞い、消えてしまった。
待っているのも何だか申し訳なくなり、僕は彼女の居るキッチンへと向かう。
其処に向かうと鼻歌交じりでテキパキと動くの様に心臓が脈打った。
冷蔵庫に入っていた材料で、簡単に見繕れていく料理。
楽しそうに、まるで踊るように
キッチンを動く彼女の姿に、目が離せず、心が奪われていく。
嗚呼、可愛い。
嗚呼、なんて愛らしいんだ。
気配を消して、ゆっくりと近づく。
今にもこの腕の中に収めてしまいたいくらいの愛しさが
僕の中から溢れでている。
そっと、手を伸ばし・・・・そっと、触れたい。
可愛い君をこの腕に、僕のこの腕の中に―――――。
収めようとした瞬間だった。
僕の気配に気づいたのか、顔がこちらに振り返ろうとしていた。
咄嗟に僕はというと―――――。
「きゃっ!?びっくりした。どうしたのバニー、こんな所に?ていうか、それ何のつもり?」
「・・・・・・お手上げ、です」
「え?どういうこと?」
「お手上げ、なんです」
「?」
バレないよう、悟られないよう、両手を上げて、お手上げのポーズを取ったのだった。
もどかしさに手を上げた
(あと少しだったのに、嗚呼、惜しい・・・!!)