一つ一つの仕草がたまらなく愛しい
「・・・・・・」
「どうしたの、バニー?私の顔に何か付いてる?」
「え?い、いえ・・・何でもありません」
訊ねられて、言葉を濁し
は再び目を、本へと向ける。
そして、今度は気付かれないように目線だけを彼女へと向ける。
真剣に文章を捉える目。
時々小さな声で文字を口に出す声。
その声が出てくる唇。
の仕草から、目線はかすかに動く唇に。
昨日もキスをしたばかりだというのに
やり過ぎると彼女に嫌われてしまうかもしれない。
視線を収め、ため息。
「(自粛、自粛・・・キスは一日一回って決めたはず)」
心で自分でそう、言い聞かせるも・・・・目線は、彼女の唇に。
重ね合わせたい、あの柔らかな唇に。
自分のと重ねて、甘い時間を堪能したい。
啄むように優しくして。
いや、むしろ―――――。
「(噛みつきたい)・・・!!・・・ああ、僕はなんて事を」
「バニーどうしたの?気分でも悪いの?」
「いえ、ホント、自分を呪いたいです」
「え?」
愛されたいなら己を律しろと、自分自身に言い聞かせているけれど
欲望というものは常に自分に正直であるから、本当に情けなく思えてしまった。
噛みつきたい・・・!!
(でも噛みつきたい衝動が抑えられなくなる日が来る事を僕はまだ知らない)