『君が側に居てあげたほうがプレゼントよりも、バーナビーにとっては十分価値あるものだと思う。
気持ちはお金には、変えられないからね』






マーベリックさんの言葉が頭から離れずにいた。


確かに、と思う部分はある。

バニーにとってクリスマスは苦い思いしかない。
だからこそ、側にいてあげたほうがプレゼントよりも彼にとっては
宝石よりも何よりも価値のあるものだとは思う。




だけど、やはり”何か“あげたい気持ちがある。



あげたい気持ちはあるのに、品物が何も見つからない。








「もー!・・・どうしたらいいんだろう」







頭がパンクしそうになり、私はリビングに寝転がり天井を見る。



自分でも分かっている。

彼が私以外の何も望まないことくらい。


それでもやっぱり何かしてあげたいし、少しでも落ち込みそうな気持ちを晴れやかにしてあげたい。








----------ピンポーン!







「誰だろ?」





すると、インターフォンが部屋中に鳴り響く。
私は寝転ばせていた体を起き上がらせ、呼び出しを取りに行く。






「はい?」


『宅急便です。さんにお届け物です』


「え?・・・あっ、すぐ開けます!」







やって来たのは宅急便。


一瞬自分宛の小包が来たことに「誰からだろう?」と思ったが
すぐさまソレが何処から届いたものか分かり、慌てて玄関先へと走る。


簡単な押印を済ませ、小包を受け取り
再びリビングへと戻ってきた。



もしバニーが今此処に居たらどうしようかと思っていたが
相変わらず彼は仕事で留守。

宅急便さんもタイミング良く来てくれたことに感謝しなければと思いながら
ガムテープで密閉された箱を開ける。




差出元は、とある通販サイト。




中身はもちろん―――――。












「うわぁ〜可愛い」











ミニツリーの一式だった。


こっそりバニーのパソコンを再び拝借し、金額と相談し
手頃のクリスマスツリーを通販サイトから購入したのだ。

もちろん、サプライズで行うものだから
大きさや高さを考えて、隠しやすいミニサイズに収めた。


実際組み立ててみたら、リビングに置かれているテーブルと同じくらいの高さで
これならばクローゼットに布に包んで隠してもそう簡単にはバレはしないはず。



無事目的の物が届き一安心。

飾り付けもされていないもみの木が、テーブルの横にちょこんと立っていた。




その姿に私は思わずため息が出る。







「買ったのいいけど・・・飾り付け、やだな・・・」






買うまでは良かった。


箱を開けて、組み立てて、直接見るまでは楽しい気分だったのに
実際のモノを見た瞬間気分が一気に下がり、飾り付けをするのが億劫になり始める。




理由は分かっている。



今まで一人でツリーを飾り付けていた・・・そのせいだろう。





昔は、パパも居てママも居た。
そんな幸せな中で、クリスマスの飾り付けをしていた。



パパが私を抱き上げ高いところの飾りをさせてくれたり。

ママがツリーの周りに沢山のプレゼントや靴下を用意していた。



でも、パパが死んで、ママが仕事ばかりで居なくなった年から
毎年毎年、ツリーを一人で飾りつけて・・・帰ってくる連絡も入れないママの帰りを待っていた。



そして何度も毎年のようにサンタに願っていた。







『ママが帰ってきますように』・・・と。






結局願いが届くことなく、月日だけが過ぎ・・・私はクリスマスが嫌いになった。

聴きなれたクリスマスソングを聴くだけで
寂しい記憶だけが頭の中を駆け巡り。

何の飾り付けもされていないもみの木を見るだけで
外見上楽しく取り繕って、本当は寂しい気持ちを隠している自分なんだと・・・そんな風に思うようになった。







「う・・・こんな事なら買うんじゃなかったかな。・・・ダメダメ!そんな事言っちゃ」






気持ちが下がるくらいな買うんじゃなかった、と思うけれど
私がそんな事を言ってしまえば、バニーのクリスマスまで落ち込んでしまう。



だけど、一人で飾り付けをするのは出来る事ならしたくはない。



じゃあ、どうすればいいのだろう・・・?と考えを頭の中で必死に
張り巡らせていたら・・・―――――ピンと、閃いた。









「バニーとすればいいんだ。そうよ、バニーと一緒に飾り付けすればいいんだよね。
そしたら彼だって落ち込んだ気分を少しくらい明るく出来るかもしれない」








バニーと一緒にツリーの飾り付けをする事をひらめいた。





一人がダメなら、二人で・・・ってなったけれど
彼の気持ちを考えたら、ツリーの飾りつけを一緒にすれば
気分を少しだけ晴れやかに出来るかもしれない。



苦い日に、少しでも楽しい記憶を埋め込んであげなければ。







「そうと決まれば!有言実行!!」







出していたミニツリーを箱に片づけ、布を被せクローゼットの奥へと隠した。
布で覆い隠せばバニーがクローゼットを全開に開けても分からない。



私は暖かい服装の準備をして、リビングを忙しなく動く。



ふと、テレビから流れる聴きなれたクリスマスソング。
耳に痛いほど入ってきて、心が締め付けられるくらい苦しいけれど・・・大丈夫。



色々考えていたら音楽なんて耳に入らないし、作業するためのモノとして聴けば問題ない。



点けていたテレビを消して、出かける準備は出来た。







「よし!飾り付けの材料、買いに行こう!」






ミニツリーの一式に入っていた飾り付けの材料だけじゃ足りない。

気分を明るく、晴れやかにするにはもっともっと多くの飾りが必要だと気付いた。
それをバニーと一緒に飾るため、それには多くの材料がいる。



少しでも、彼のために出来る事があるなら、私はそのためならば頑張れる。


聴きなれて嫌いになったクリスマスソングも
何だか晴れやかに聴こえてくる。




24日。
彼に「一緒にクリスマスツリーの飾り付けをしよう」という誘い文句を考えながら
街に出て、彼の気分が晴れやかになる材料を探しに出掛けるのだった。




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(生命の樹、貴方と共に飾ってこそ、新たな生命が生まれる)
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