究極のピンチが僕達に襲い掛かってきた。






「バ、バニー・・・お、おば様が」


「や、やばい。これは、ちょっと」






非常にまずい状況が今、目の前にある。

虎徹さんだけの訪問ならまだしも、まさかサマンサおばさんまで
やってきていたとは。


エントランスの認証なしで入れるといえば、誰かが其処を出入りしたときに開く瞬間を狙う。
そうすれば例え鍵が無かろうが、こちらの受け答えなかろうが無条件では入れることが出来る。


ゴールドステージにあるマンションのクセに、セキュリティのほうは
そこらへんのものと変わらないじゃないか!と思わずツッコミを入れていたが
今はそんなのを考えている暇じゃない。







「ど、どうしよう・・・っ、おば様にバ、バレたら・・・・」


「とにかく、君は浴室に隠れててください。サマンサおばさんが帰るまで出てきちゃダメですからね」






僕はを抱きかかえながら、浴室に向かう。
其処に着き、僕はそっと彼女を浴室前の脱衣室の床にそっと降ろした。







「バ、バニー」


「泣かないでください。大丈夫ですから」







床に降ろしたの顔は本当に焦ってて、心配している。
おまけに色んな気持ちが湧き上がってきたのか目が潤んでいた。

僕はそんなの瞼にキスをした。









「此処は僕が乗り切ります」



「大丈夫?」



「大丈夫です。元はといえば僕が撒いた種・・・君を巻き込んでしまったこと、本当に悪く思ってます。
君は僕に心配を掛けたくないから色々と考えてくれただけですよ、だから心配しなくて大丈夫です、必ずこの場は乗り切ってみせます」



「無理しないでね」








僕の言葉に少しがホッとしたのか、首に手を絡め抱きついてきた。
抱きついてきた彼女の背中を僕は優しく叩き、すぐさま離れ廊下に戻る。

扉を閉める前、振り返りを見る。








「すぐ終わらせます。終わったら一緒にお風呂、入りましょうね」



「う、うん」






そう告げ僕は浴室の扉を閉め、すぐさま玄関に向かい鍵を開けた。








「すいません、電話をしてたもので」


「あ、悪ぃな」


「夜分遅くにすいません」


「大丈夫ですよ」





扉を開け、僕は二人を招きいれた。
僕がリビングに向かうと、二人も一緒に入る。


とりあえず、さっさと要件だけを済ませて帰ってもらおう。
をあまり待たせると、ダメだ・・・早く処理してあげないと体を壊してしまう。






「虎徹さん、それで斉藤さんからの伝言って?」






一番手っ取り早い虎徹さんからまず片付けていこうと思い
僕は声をかけた。







「あ?あー、俺後ででいいよ。まずそっちのご婦人と話してやれ」







こんな時に限って、貴方という人は・・・っ!!

なんて空気が読めない人なんだ、と思いながら
暇を持て余したのかリビングから出て行く。

虎徹さんから片付けるのを諦めた僕は、サマンサおばさんを見る。







「あの、それでおばさん・・・何か?」


「いえ。さんとその後どうなったのか気になりましてね。すいません、悪いと分かっていながら
マンションまで押しかけてしまって」






どうって・・・・そりゃあ此処に帰ってきましたよ、2人で。


なんて口が裂けても言える状態じゃない。
むしろあんな他人のフリをしたままでおばさんの家を後にしているから
付き合ってる、同棲してる、なんて言えたもんじゃない。

僕はため息を零し、おばさんを見る。






「無事に彼女を家まで送り届けました」



「それだけですか?」



「車中の会話は弾んでましたよ。とても楽しい方で、清楚だし、苦手なタイプじゃないです」



「では好みのタイプなんですか?」



「え?・・・・・・えぇ、まぁ」







曖昧に答えたがぶっちゃけ、は僕の中ではドストライク。

初め、会った頃はどちらかといえば大人しい感じだったが
付き合い始めたら、明るいしこっちがリードしてあげればちゃんと付いて来てくれた。
もちろん清楚な部分もあるし、ちょっと楽しいことがあるとすぐ可愛らしい笑顔を振りまくし。
頬を染めるた表情とかはもう・・・言葉に出来ないくらい、僕の心を掴んで離さない。
ベッドの上じゃあ・・・・・・。






「・・・・・・・・・」



「いかがなさいましたか坊ちゃん?」



「いえ、何でもないです」







これ以上考えるのをやめた。

口に出来ないからって、何を僕はの事を延々心の中で言ってるんだ。
確実にこんなのを虎徹さんやカリーナさんの前で喋りだしたら
虎徹さんからは「お前・・・にベタベタだな」と言われ、カリーナさんからは「そろそろ氷漬けにされたい?」と
言われそうな気がしてきた。

考えるのはやめよう・・・おばさんの前ではさすがにそんなこと言えない。






さんが坊ちゃんにとって好印象な方だったのなら安心いたしました」



「そ、そうですか。それはよかったです」



「あのお嬢さんはとてもしっかりして良い子ですからね。坊ちゃん、決して離してはいけませんよ」





分かってますよ。って思っていたが
おばさんの手前、そんなこと言えない。









「あら、坊ちゃん」



「何ですか?」



「お食事をされてたんですか?」



「え?・・・・・・!!」








サマンサおばさんの言葉に僕は驚きを隠せなかった。

テーブルの上に、食べかけの夕食。



しまった・・・!!

中途半端のまま、僕はとキッチンで情事を行っていた。
終わってから食べようとか思っていた矢先
おばさんに食事の最中のものを見られてしまった。





「どなたが?」


「え、えーっと・・・」





問いかけられたら何と答えていいのやら。
下手にの名前を出したらまずいかもしれない。

まだ出逢って一日の設定。
そんな出逢って間もない女の子が、男の子に食事を作ったりしない。
何となくそこらへんは世間一般と同じくらいに僕にでも分かる。





「坊ちゃんがおつくりに?」


「え・・・あ・・・・・・・そ、そのぉ」




「なぁ、バニー。話してる最中悪いんだけどさぁ」





こんな時に・・・また空気を読まない人が登場。

しかし、こういうときにこそ虎徹さんの存在はありがたい。
切り抜けたい言葉が見つからないなら、この人と話してその言葉を見つけ出そう。








「何ですか虎徹さん」


「お前、
ああああああああああああああああああああああああ








虎徹さんがの名前を口に出した瞬間
僕は大声を上げて、虎徹さんの口を塞ぎに行く。

そして後ろに居るサマンサおばさんのほうを見て「びっくりさせてすいません、ちょっと待っててくださいね」と
笑顔で答え再び僕は虎徹さんのほうを見て
小声で話しかける。







なら浴室です。今此処での名前は出さないでください。会いたいなら浴室に居ますから
さっさと行ってください」


「お・・・・お、おう」







僕の気迫やら何やらで虎徹さんは苦笑しながら
「ト、トイレ借りまーす」とだけ言ってその場を離れた。







「あ・・・あのぉ・・・ぼ、坊ちゃん?」







声を掛けられて我に返る。
そういえば、サマンサおばさんがいたんだった。

僕はゆっくり振り返り、おばさんを見る。






「しょ、食事は・・・ちょっと頑張って僕が作ってみたんです」


「あら、そうでしたの!坊ちゃんも成長なさったんですね」


「僕ももう大人ですから。さんとのことはまた追々」


「まぁ!さんのこと、本気で考えてくださっているんですね!」








口が滑った。

思わずの名前を出してしまった。
目の前のおばさんはそれはもう嬉々とした表情で僕を見ている。

僕は自分で墓穴を掘ってしまったことでため息を零した。







「坊ちゃんがさんの事を考えてくださっているので安心しました」


「は・・・はぁ」


「もう遅くなりますので、これにて失礼させていただきます。坊ちゃん、ファイトですよ!」


「あ・・・ありがとうございます」






そう言って玄関まで付いて行き、笑い去っていくおばさんの姿を見送った。
「な、何とか切り抜けた」と思い安堵のため息を零す。











「おい、おいバニー!!バニー今大丈夫か!?」








すると、浴室のほうから虎徹さんの声が聞こえてきた。
僕はハッと思い出して、すぐさま其処へと駆け出す。

脱衣室に向かうと、虎徹さんに抱えられたがぐったりしていた。






!!」


「何かえらい苦しそうだぞの奴」


「・・・・あ」


「どうしたバニー?」







虎徹さんの言葉で僕は更に思い出す。






「す、すいません・・・虎徹さん」


「何だ?」


「とりあえず此処から出てください」


「は?」


「とにかく出て行ってください!!すぐ終わりますから!!」






僕が大声を上げると、虎徹さんは「んだよ」と言いながら
脱衣室から出て行った。僕はその姿を見送ると、を抱きかかえ脱衣室から
浴室へと入る。







・・・苦しかったんですね、すぐ終わりますから」






そう言いながらシャワーを取り、の体を丁寧に洗う。
もちろんナカに吐き出した僕の欲望を取り除くのも忘れずに。























「お前なぁ・・・」


「自分でも反省してます」




の体を綺麗にすると、苦しかった彼女の表情も晴れ
僕はもう一度に同じ服を着せ、浴室から出る。

虎徹さんは壁に体を寄りかからせ、出てきた僕と抱きかかえたを見る。


「し、寝室にまずを寝せに行きましょう」と言った僕は
彼女を抱きかかえたまま寝室に行く。
その後ろを虎徹さんが歩いて、僕はベッドの上にを寝せた。


そして、彼女を寝せるや否や「とりあえず、今までの事情ぜーんぶ話せ」と
虎徹さんに言われ僕は今までの事を話した。





「ちったぁの体のことも考えてやれ?いくらお前より早く起きたからって
それで疲れが取れたってわけじゃねぇんだぞ?コイツはまだ子供なんだし」


「わ、分かってます。その、行為のことは・・・僕が悪いですし・・・知り合いのことだって
僕が撒いた種ですから、自分で何とかするつもりです」


「まぁ良い大人なんだから、考えるところは考えろよバニー」


「貴方だけには言われたくないですね。空気を多少なりと読んで欲しいです」


「うっせ」






僕はの頭を撫でる。

小さな体に、今日一日僕は無理をさせすぎた。
もし・・・またこんな無理をさせてしまうのではないか・・・そうなってしまえば怖い。

を失うことは、僕にとって何よりも怖い。





「んっ・・・」





「目が覚めたか?」



「バニー?・・・タイガーさん?」




くぐもった声と共に、が薄く目を開かせた。
僕や虎徹さんが認識できたのか、僕達は肩を撫で下ろした。





が目を覚ましたことだし、俺帰るわ。斉藤さんからの伝言はメールしとく」


「すいません虎徹さん」


「じゃあなバニー、






が目を覚ましたのか虎徹さんが立ち上がり帰り支度をして
そのまま去っていった。

寝室にはもちろん僕との2人だけ。
目を覚ました彼女の頭を僕は撫でる。






「疲れている体に、無理をさせてしまったこと深く反省してます・・・ごめんなさい


「大丈夫だよ。私のことよりバニーのほうがうんとお仕事してるんだから。サマンサおば様は?」


「大分前に帰りました。何とか乗り切りましたよ」


「よかった」






僕の言葉にが笑みを浮かべて答える。


この笑顔を僕は失いたくない。

ずっとずっと、近くで、側でを感じていたい。


だったら・・・もう、決めるしかない。











「何?」



「君が意識を取り戻す間、考えてました。もしかしたら、これは君にとってもそして僕にとっても
つらい選択になると思います。でも今は・・・こうするしか僕は・・・君の笑顔を守る自信がない」



「バニー」



「僕は、の笑顔をの全てを受け入れたいし守りたい。だから・・・」










コレが悪い決断とは言わない、ただ、一時の間だけ――――――。











「少し離れましょう」



「バニー」



「大丈夫です。僕の考えた方法です、今から言うことを必ず聞いてくださいね。
君を嫌いになったわけでもないし、君を遠ざけるつもりでもないです。ただこれは作戦です」



「作戦?」







辛いと思わず、未来の自分達ために。








「僕の考えた作戦、聞いてくれますか?」



「・・・聞かせて。バニーの考えた作戦って言うのを」








今は、知恵を絞って切り抜けるまでだ!




Two heads are better than one.
(意味は”三人寄れば文殊の知恵”。まぁ三人寄らずとも、僕一人の知恵さえあれば十分だ) inserted by FC2 system

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