徐々に距離が短くなって

アイツが近くてとても嬉しかった。

でも、私たちの別れが

少しずつ近づいていた。




















夏以来、本当に手塚との距離が近づいた。
今でも初めて体を重ねたことを思い出すたびに顔が赤くなってしまう。





それよりも今でも手塚は制御が効かなくなると
悪魔的な部分を見せていつもほだされて、なし崩しになってしまう・・・。

あれは犯罪だ・・・重罪に値するぞ!!!と言いつつも、本人の前では言えない自分が居た。













さ〜」
「ん〜?」












とある昼休み。

前の席にいる が私に話しかける。
私は買ってきた雑誌を黙々と読み、紙パックのジュースを口に含みながら浅い返事をする。

















「アンタ、綺麗になったね」
「へ?」
「いや〜ホント、綺麗になった。何ていうか・・・・顔つき変わった?」
「え?何ソレ?」












の言葉に私は多少の疑問を浮かべる。

ていうか・・・・もしかして、コイツ・・・・・・・。












「あ、もしかして・・・・手塚君とヤッた?」
っ!?・・・ブッ!!・・・・ゴホッゴホッ・・・ゴホッ・・・・!!!
「え、ま・・・マジ?」










あまりの予感的中に私は口に含んでいたジュースが詰まり咳き込む。
そして、あまりの答えに問いだしたも驚く。











「ちょっと・・・アンタ、それ・・・・いつ頃?」

「えっーと・・・・その・・・・な、夏頃?」

「今は秋として・・・・はぁ〜ざっと3ヶ月前か?あんた達・・・進んでるよ」

「アハハハ・・・実は2日前も・・・手塚の家で・・・」

「おぃ!ちったぁ考えろ、中学2年生」

「言うなら手塚に言え!!!」










私は思わず机を叩いて立ち上がった。
辺りはビックリした表情で私を見ている。私はどうにか平静を装い、再び椅子に座る。










「ったく・・・程ほどにしなよ。アンタこれでも陸上部のエース兼次期部長なんですから」

「善処します」

「向こうも向こうでありゃ次期部長だよ・・・・ホントに青学始まって以来のビックカップルか?」

「大袈裟過ぎだって











私は夏ごろの大会で優秀な成績を残し、次期部長として先代の部長からお墨付きを貰った。
手塚も1年のときからの経歴があるお陰か、次期部長だろうと言われている。











「お陰で今は逢う時間ないんだよ・・・・向こうは生徒会長もしてるんだから」
「そっか。それで手塚君はかなりの禁止をしてるわけね。そらぁ〜シたくなるわ」
「だから、堂々とそういう言い方やめてくれる?かなり恥ずかしいのはこっちなんだから」
「あ、ごめん」









正直クラスが離れていることも苦しい。
どうして、こうも遠いのかな・・・もどかしい。















「ん?秀一郎・・・どうした?」










すると、幼馴染のいつの間にか水泳キャップのような頭になった大石秀一郎がやって来た。









「すぐ生徒会室に行ってくれないか?」
「え?私なんかした?」
「違う」












すると、秀一郎が耳打ちして私に言う。
その言葉を聞いた瞬間、私は秀一郎の顔を見た。
秀一郎は安堵の顔を見せて、頷いた。










、ゴメン!ちょっと行ってくる!!」
「え?あぁ〜・・・・うん、行ってらっしゃい」













どうやら、 も気づいたらしく私は急いで生徒会室に走っていった。
秀一郎は・・・私にこう言ってくれた。
























『手塚がお前に逢いたいから、今すぐ生徒会室に行けよ。アイツ、今相当息詰まってるからさ・・・・』

















私は高鳴る鼓動と共に生徒会室前の扉に立つ。
そしてドアノブを握り、捻って開ける。









開けて、其処には・・・・・・。

























「早かったな、
「・・・・手塚」













まるで仔犬が主人に駆け寄るように、私は手塚に抱きついた。
2日前も逢って体を重ねたのに、どうして少しでも離れたらこんなにも苦しいんだろう。










「あの後・・・大丈夫だったか?」
「うん、大分慣れたから平気。でも、もうやめてよね・・・太腿ギリギリにキスマーク残すの・・・」






本気でやっているのか、それともワザとやっているのか
手塚はいつも見えるギリギリにマークを残す。








「じゃあ何処に残せって言うんだ?」
「・・・・・目立たないところにしてよ・・・恥ずかしい・・・」
「恥ずかしがることなのか?お前は俺のモノなのに」
「そんなストレートで言わないでよ(しかも若干無表情で)」












嫌いではないんだが・・・見つかったらどう隠していいのか分からない。











「分かった・・・少し考えよう」
「エヘヘ・・・ありがとう。手塚大好き」
「俺も好きだ、









こうやって抱き合ってるだけでも、お互いが分かり合えてとても幸せに感じてしまう。



















キーン、コーン、カーン、コーン・・・・・












「あ、予鈴」






すると、昼休みが終わりを告げる予鈴が学校中に鳴り響く。

私はしょうがなく手塚から離れようとした瞬間・・・・・・・。







「何処へ行く」
「は?だって・・・予鈴、なったじゃん。授業、行かなきゃ・・・」
「行かなくていい」
「は?な・・・何言ってるんでしょうか生徒会長殿?」







突然の手塚の発言に私は驚きを隠せない。
しかし手塚は無表情のまま。














「次の科目は何だ?」
「え?・・・・す、数学・・・」
「俺は、化学だ。は数学が嫌いだろ、俺は何となく化学に出る気はない」
「あの、手塚」
「だから、俺はこの時間は生徒会室にいる。だから、お前も居てくれないか?」
「えっと・・・その・・・・」












この人なんですか?!

若干私を道連れにするつもりですか!?

まぁ、確かに数学大嫌いだし・・・あんまり聞いても身に入らないし・・・。







「少し、お前を充電したいんだが・・・」
「手塚、お前その言葉何処で覚えてきたんだ?」
「いや、乾が・・・疲れた時は充電に限ると・・・・」








あの黒縁眼鏡がぁあああ!!!

手塚に至らないことを吹き込みやがって!!!











「まぁ、いい機会だ。何処に残したらお前が満足するか・・・試すか」
「ちょっ・・・?!アンタ、今から・・・ココで?!」
「構わないだろう」
「いやいやいやいや!!!!どこからその発想が浮かぶんでしょうか?!やばいって!!!」
「お前が口を塞げばいい話だろ?それとも、俺に塞がれたいか?」















くそぉおお---また、コイツは恥ずかしいことをサラッと言いやがって!!!!











でも、またしばらく・・・逢えないんだったら・・・・コレは、チャンスなのか?












「・・・・・手塚」

「?」

「が・・・頑張って、声、抑えるから・・・・お前も・・・・努力は、しろよ・・・・」

「あぁ」












いけないと頭をよぎったけど・・・・やっぱり一緒に居たい気持ちだけは・・・抑えれないよ。



































パーン!!












ピッ!



「ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・・」








、どうした?」
「優衣部長・・・何ですか?」






部活の練習中、タイムを計っていた部長の加賀美優衣部長に声をかけられた。







「お前・・・夏頃は結構いいタイム出せたのに・・・・此処最近、下がり気味だよ?」
「え?」
「もしかして・・・・足、どうかしてるのか?」



優衣部長に言われ私は固まる。










もしかして・・・・あの時の・・・・傷が・・・?




でも、あれは確かに完治したはず・・・再起するはずがないって・・・・。




考えすぎ、考えすぎだ。きっと疲れてるんだ・・・昼休み、あんなことあったから。











「大丈夫です。きっと私疲れてるんですよ。そんな足が悪いなんて変なこと言わないで下さい。すぐタイムも上がりますって」
「そ・・・そうか。私の気のせいでいいんだけど」
「えぇ」























でも、この時

私の足は・・・既に壊れ始めていた。

古傷が蘇り

私の足を蝕んでいく。

そして、別れへと・・・・進めていくのだ





-あかし- 〜君とんだ軌
(寒さが近づく秋頃、冷たい風とともに別れの風も吹いてやってきた)




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