あの日から、どうも伸び悩んでいた。

そして、疑惑の言葉が頭を過ぎる様になった。

だから、それを今、確かめるために私はある場所にいた。



















「・・・・もしかしてって思って、来たんですが」
「・・・・ちゃんの予感的中ってことだよ」
「・・・・そうでしたか、やっぱり」








大石の叔父さんの病院に私は居た。
診察の結果で私だけでなく叔父さんまでも不安な表情を見せていた。










「もう既に完治しているはずなんだ・・・どうして今頃になって」
「しょうがないですよ、再発って有得ることでしょ」
「しかし、アレはもう6年前なんだよ。おかしいと思わないのかい?」
「叔父さん、それでも秀一郎を責めないで下さい。アイツあれでもまだ根に持ってますから」












6年前、私は不慮の事故に遭った。
といっても私は被害者で加害者は他にいる。
道端で私と秀一郎が遊んでいるところに車が衝突し、私の両足を巻き込んだ。
奇跡的に助かり、手術をすれば直るとされる怪我で済んだ。
だけど、しばらく走ることを止められていたのは覚えている。

そして、道端で遊ぶのを誘ったのが秀一郎で、今でもアイツはこの事故のことを根に持っている。












『うっ・・うっ・・・ ちゃん、ゴメンね・・・僕の、僕のせいで・・・』
『秀一郎くんが泣くことないよ。私は大丈夫だよ、』
『うっ・・・で、でもぉ・・・』
『大丈夫!ちゃんと手術したら治るんだから、泣かないの!男の子でしょ!!』
『ぅ、うん』













「アイツ、結構デリケートだからすぐに心配するんですよ。特に私の足のことになると」
ちゃんは陸上選手だからね、秀一郎も心配はするさ。もう少し、様子を見たいからしばらく入院してくれないか?
まだ詳しく診察してみないとやっぱりわからないからね」
「・・・・はい」







重い返事を返して、私はしばらく秀一郎の叔父さんの病院に入院することになった。


















-5日後-









、大丈夫なのか?」
「手塚、久しぶり。もー平気だよ」







5日間入院をしていたので、あまりのことで手塚が心配して
家まで様子を見に来てくれた。






「そうか。お前は一人暮らしだからな、親御さんには電話したのか?」
「うん。そしたら兄貴たちが出てさぁ〜もう大変大変。今すぐ帰国したほうがいいか!?とか言って大騒ぎ」
「お前のお兄さんたちらしいな」








手塚は私の足の病気のことは知らない。
いや、正直私が話したくないだけだ。
これ以上・・・・手塚にまで心配かけたくないし・・・・。










・・・・?」
「ほへ!?あ、いや・・・どうした?」
「さっきから何だか複雑そうな表情をしているから、何か悩んでいるのかと思って・・・」














そう言って、手塚は私の頭を優しく撫でてくれた。
私はにっこりと手塚に微笑んだ。













「大丈夫、何でもない。」





-心配をかけちゃダメ-







「ホント、手塚・・・私のことになるとすぐ心配するんだから」
「だが、・・・」







-弱味を見せちゃダメ-







「はいはい、大丈夫ですよ。私おばあちゃんになるには早い歳だってーの。大丈夫だよ、手塚」
「・・・・・・お前が、そう言うなら」














-これ以上、誰かを悲しませちゃダメなんだ-
















「手塚」
「どうした、お前から俺に抱きつくなんて・・・どういう風の吹き回しだ?」
「いいじゃん、たまには」












私は手塚に抱きついた。
すると、手塚は易々と私の体を抱き返した。
胸が心が、体が・・・・足が、痛い




また足が痛み始めると、秀一郎が泣きそうな顔をする。

そんな顔が脳裏に浮かぶ。

そして、手塚にそんな話をしてしまえば・・・・。










手塚まで悲しんでしまう。













誰も悲しまずに済むには、このまま
病気のことも、何もかも黙っておけばいいんだ。
そう・・・何もかも・・・・・・。


























----パン!













「ハァ・・・・ハァ・・・・ハァ・・・」







部活の終わったとある日の放課後、私は一人で走っていた。
足が・・・・元に戻らないことが苛立つ為に。










『え?伸びない・・・・』
『はぁ〜どうしたものかね。 、やっぱり足悪いんじゃないの?』



つい、先日も部活で走りこんだ
タイムを計っていた部長と話し込む。



『・・・・・・』
『医者には診せに行ったの?』
『・・・・はぃ』
『そしたら、何て?』
『・・・・異常はなかったそうです』






嘘をついた。
本当はかなりの異常を見せていた自分の足に
私は本当のことを言えなかった。








『まぁ、次期部長がちょっと重荷かな?気にすることないさ、楽にしてれば』
『え、・・・えぇ、そうですね』










嘘だ・・・・嘘・・・・だ。









「走れなくなるのは・・・・いや」








タタタタタタタタ・・・・・・。








どうして、神様は・・・・こんな惨い運命を私に与えたんだろうか・・・。












「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」











あの、ゴール向けて走るために・・・・私は・・・私・・・は・・・・・・・・・・・・。








ズキン!!









「うっ・・・・」










そんなの嫌よ。


二度と・・・・走れないのなんて・・・・・・・っ。































「手塚、どうした?」
「いや、何でもないが・・・今日は陸上部は終わったのか?」







俺は不二と廊下を歩きながら、会話をしていた。









「今日は陸上部は早く終わったみたいだよ」
「そうか」
「運がよければ、ちゃんと帰れたのにね・・・残念、手塚」
「・・・・・・」









不二の言葉に俺は返すことが出来なかった。
図星を言われたからだ。
がまだ残っていれば一緒に帰れたのにと、自分の中で思っていたのだが・・・それも今日は出来ないか。











「ん?手塚・・・・アレ、ちゃんだよ」












不二の声で俺は、すぐさま窓の外を見る。
すると、其処には が必死に走りこんでいる姿だった。
俺は窓越しでじっと彼女の姿を見ていた。













「どうしたの?」
「いや・・・・アイツも、いつかは俺から離れていくのかと思って・・・・」
「まさか。ちゃんが手塚から離れていくわけもないし、手塚も離す気ないだろ?」








不二の言葉に、俺は不二の姿を見る。
すると、不二はいつもと変わらぬ表情をしている。俺はフッと笑い廊下を歩き始めた。











「手塚」
「今度は、どうした?」
「急いで校庭へ行こう・・・・」









すると、また不二が俺を呼び止めた。
しかし、さっきとはなんだが様子がおかしい。












ちゃんが・・・・倒れてる」
「何っ!?」












不二の言葉で俺は急いで校庭へ出る。

すると、倒れこんでいる の姿を見つけ、俺はすぐに駆け寄り、抱き上げる。












!しっかりしろ」
「手・・・塚・・・・」
「どうした?何があった?」
「大、丈夫・・・・心配しなくても・・・・平気だよ」











はにっこりと笑って俺に言った。
でも声が弱々しい








「大丈夫・・・大丈夫だから」
「もう喋るな、とりあえず病院に行くぞ」



















2年生の冬。

徐々に君が離れていく気がした。

でも、気づきはしなかった。いや、気づこうとしなかった。

彼女が俺から離れていくなんて

思いもしなかったから。




-あかし- 〜君とんだ跡〜
(冬の寒さで・・・もう君の温度が感じれなくなってきていたのを俺は気づかないふりをした)



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