『ごめんな、俺・・・付き合てる子がおんねん』
そんな振られた・・・中2の夏手前。
私の1年間の片想いは儚く散っていきよった。
「いつまでヘコんでんねん、」
「せやかてー・・・ヘコむわ!白石君に振られたぁ〜」
先日、私は1年のときから片想いしていた
同い年で学校ではそらぁもうイケメンって言われてるくらいの人気男子
白石蔵ノ介君に告白したが・・・見事に粉砕。
「まぁしゃあないとちゃうんか?」
「何がやねん!」
目の前の友達が落ち込む私に呆れた声で言う。
「だって、白石君の彼女・・・何でもめっちゃ美人らしい」
「え!?誰!?自分知ってんの!?白石君の彼女っ!!」
「白石君と同じクラスの・・・名前は知らん。ただ、東京の方から転校してきた温室育ちのお嬢様らしいで。
男子が”むっちゃ可愛えぇ“とか言いよったわ。敵うわけないやん・・・お前とお嬢様は」
「更に追い討ちかけんといてぇな」
私は机に突っ伏した。
片想いやった。
入学早々から、白石君を見た瞬間「こ、この人はウチの王子様や!」って
思って片想いを募らせて・・・学年が上がったら、イケメン指数上昇な白石君に
私はときめかずにはいられへんかった。
せやけど・・・――――。
「知らんやんかぁ〜・・・・・・彼女居ったとか」
「白石君が相当惚れこんでるって噂やで」
「・・・更にへこむ」
「諦め。お前の王子様はもう他の人の王子様や」
友達の言葉に、もうへこむしかない。
振られたんなら、しゃあない・・・こうなりゃ・・・っ。
「出る」
「トイレか?」
「ちゃうわ!府外に出る言うてんねん!!」
「はぁ?・・・あんなぁ。いくら振られた言うたかて、四天宝寺中退して」
「誰が中退する言うたん?高校は府外受ける言うてんねん!」
「何でそうなんねんや?それと白石君と何の関係があんねん?」
友達の声に私は鼻息荒く答える。
「府外の高校入学して、白石君よりもえぇ男見つけんねん!」
「実家の花屋どないするつもりなん?」
そう、私の家は花屋。
一応弟が居んねんけど、跡は継がんとか
あほな事抜かしよるから私が継がなアカン状態。
せやけど、そんな事今は――――。
「知らん」
「後先考えず突っ走るのどうにかせぇ。ちゅうか何処に入学すんねん?」
「まだ分からん」
「。お前ど頭カチ割るぞ」
「とーにーかくや!ウチは高校は府外に入学すんねん!お父ちゃんとお母ちゃんはちゃんと説得する。
白石君よりもえぇ男見つけんねん!!やるで、ぜーーーったい見つける!!」
「はいはい、まぁ頑張りよ」
最初は、白石君と同じ高校・・・とか考えとったけど
未練引きずったまま白石君と関わるのは嫌やし・・・多分向こうに顔が覚えられた。
これじゃあ同じ高校になった時、未練たらたらのまま
引っ付いてストーカー呼ばわりされてもおかしくないわ。
せやったら外に出て・・・新しい男、白石君よりもえぇ男見つければえぇねん!
お父ちゃんにもお母ちゃんにもとりあえず「府外出て、社会勉強や!」ちゅう名目で
出してもらうしか方法はない。
「見ときや、白石蔵ノ介ぇー・・・ウチを振ったこと思いっきり後悔させたるわ!
大阪出てお前よりもえぇ男見つけたる!」
「ライバル視してるやん・・・ホンマに、大丈夫なんか」
「やるっていったらやんねん!」
そう決意した中学2年の夏前。
自宅の店の中に置いたビバーナムの花が、蕾からようやく花を咲かせようとしていた。
ビバーナムの花が咲いたら・・・
(花言葉は大いなる期待。そう私は大いなる期待を胸に高校へと足を進めた)