アレから何日経った?


俺はピアノも弾かんと、ただ、普通に過ごしとった。



はぁ〜・・・俺なんであんな資料見たん?とか
今更後悔しても、時既に遅しっちゅうやつや。


どないしたら、俺のこの気持ち・・・愛のカタチ・・・に届くん?


伝えたいんやけど、上手くいかへん。



もう、辛くて俺泣きそうや。





どうするかと、考えた結果・・・俺はの家の前に来とった。


いつもどおりにインターフォン押して
運転手さんが出て、の部屋に行って・・・・・・・・。









--------コンコン。







『はい?』


「お〜れ〜や〜」


『蔵?ちょっと待ってて』




ノックをして、やる気のない声で返事をすると
はこっちにやってくる(スリッパの音すんねん)。

「ガチャ!」とノブを下げる音がして、扉が開く。





「どうしたの?やる気のない声出して」


「うー・・・〜」


「とにかく、入りなさい。こんなとこでめそめそされたらこっちが恥ずかしいわ」




相変わらず、この毒舌。
俺ホンマに泣きそうや・・・。


とりあえず、の部屋に俺は入り扉を閉めた。





「で、どうしたの急に?何か用?」


「用もないのに、来たらあかんのか?」


「連絡もなしに急に来るからビックリしてるの」





の言葉「ビックリしてる」って・・・冷静に言う言葉か?

驚いてるんやったら、もうちょっとこう何や、焦ったような声出して欲しいわ。



俺って・・・おれって・・・。

















「そういえば、聞いた話なんだけ・・・・・・・・・ちょっ、ちょっと、何泣いてんの蔵っ!?」




〜・・・俺、もう涙止まらへん・・・っ」






俺の愛のカタチ、に見えてるん?

見えてないから、俺にこういう態度なん?

俺やっぱりの彼氏として失格なん?

好きやのに・・・こんなにも、俺、の事好きなんやけど――――。













の愛が


俺の目に見えんくて


俺の手に触れれんくて


俺の心に伝わってこん。





ホンマに愛されてるん?ホンマに俺のこと好きなん?




そう考えたら、何や頭ん中わやくちゃになってしもて
涙腺崩壊・・・ダムが決壊したように、目からしょっぱいものが零れてきよった。






「ちょっ、ちょっと・・・私、何か言った?ねぇ、私酷いこと言った?」


「ちゃう・・・ちゃうねんけど・・・けど・・・っ・・・涙、止まらんっ」





必死で零れる涙、拭ってるはずなんやけど
アカン・・・止まらへん。

こんなことで泣いてたら、俺めっちゃ見っとも無いしカッコ悪いわ。





「と、とにかく・・・ホラ、ベッド座って・・・ワケくらい話して」

「・・・は、はい・・・」






に背中を押され、俺は大人しくいつもの特等席(ベッド)に座る。
俺が座って、向かい合うようにも座る。

俺は未だに包帯の巻かれた左手で、目元を拭う。





「何があったの、蔵?」


「・・・、俺のこと・・・好きか?」


「は?」


「俺・・・自分に、ホンマに好かれてるか・・・よぉ分からん。この前かて、ピアノの先生と一緒に
演奏してる見とっても・・・俺にはあんな顔、せぇへんし・・・俺、の事めっちゃ好きなのに
・・・全然、俺の気持ちに応えてくれへんっちゅうか・・・」





















「不安だらけで、辛いんや」







こんなにも、好きで

こんなにも、愛してるのに


君の心が、気持ちが、俺にはまったく伝わってこない。


俺はこんなにも君に伝えたい気持ち溢れてるのに・・・どうして、俺・・・こんな・・・。








「バカね」


「なっ?!」





すると、は一言俺にそう言い放つ。
思わず俺は驚きの声をあげた。






「何やねん、俺こんなに悩んでんのに・・・っ」


「蔵・・・そのすっからかんの脳みそでよく聞きなさい」





相変わらず毒含みな言葉で俺に言う。
せやけど、膝の上に置かれた俺の手に、は自分の手を重ねてくれた。





「これくらいが、丁度いいのよ」


「え?・・・な、何で?」


「アンタ・・・私が口下手だって、知ってるでしょ?蔵みたいに上手く・・・気持ち伝えれないし」








は笑いながら俺にそう言ってくれた。


触れられた手が・・・とても、温かくて
もやもやとしていた、もどかしい気持ちが、優しい気持ちに変わって行く。


そうやは、自分のこと上手く人に言えへんねん。
せやけど、あったかい手のぬくもりとか、言葉にならない想いも





それは全部、の俺への愛のカタチなんや。





「恥ずかしいから私、一回しか言わないわよ。耳の穴かっぽじってよーく聞きなさい」


「あ、は、はい」




の言葉に、思わず出ていた涙が止まったわ。
そしては深呼吸をして、俺を見る。







「別にピアノ弾けなくても良いの。見栄張らなくてもいいの。
私はね、テニスを一生懸命やってる蔵が好きなの。
もちろん、普段の蔵も好きよ。まぁ時と場所と状況さえ考えてくれたら私としては一番いいんだけどね。
だからね・・・貴方は、貴方のままでいいの。私はそういう蔵が好きなんだから」













難しい事、考えんとよかったんや。


飾らん自分で、俺、居ってよかったんや。








無理して、背伸びして・・・俺、そうすればに見合う男になれるって思てた。
でもそれはちゃうねん・・・の望む、俺とちゃうんやって。





「も、もうこれで十分でしょ・・・」


・・・やっぱ好きやー!」


「ちょっ、こ、こら!抱きつかないでよ!!」





この世界中探したかて、見つかるわけないねん。


の愛のカタチは、俺のすぐ近くに、すぐ側にあったんや。



せやけど、・・・不器用やから
それが俺には上手い事、伝わらへんねん。

でも、ちゃんと・・・俺に伝わってたんや。


見えへんカタチで、小さく、輝きながら。






ー、ー、好きやー」


「も・・・もう。甘えるの、今日だけだからね」


「毎日に甘えてたいわ」


「やだやめてキモイ」


「んんーっ、その毒も俺への愛やって分かってる。分かってんで、〜・・・せやから、
もっと俺に甘えてぇーな」


「あー、鬱陶しい!!やだって言ってんでしょ!!」




は恥ずかしそうに俺の体を離そうとする。
もう、恥ずかしがり屋さんやなぁ。と思いながら、体を離し
の手を握った。







「こ、今度は何よ」


「ん?んー・・・せやなぁ」






俺の胸、透明になんかならんでもえぇわ。



せやけど・・・せやけどな――――。







「この手は離さんように、ずーっと握っとくわ」


「え?」


「それが一番、見えやすい愛のカタチなんやねん」






そう言うて、俺はにキスをした。





世界中探しても、愛のカタチは何処にもない。

なくて当たり前やったんや。
それはずーっと俺の側にあったんやから、なくて当然やねん。


不安やったけど、が手ぇ握ってくれただけで・・・不安が優しい気持ちに変わる。


やっぱり、の全てが俺にとっては大きな愛のカタチなんやって、実感した。



せやからな、俺この手だけは絶対に離さへんわ。




いつの日か、目に見える愛のカタチ、2人で作っていけたらえぇな。





(キミこそがボクにとっての愛のカタチ。ボクこそがキミにとっての愛のカタチなんだったんだね)


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