「へ?心斎橋への行き道か?」
「何や、ねーちゃん心斎橋行くん?」


「うん、皆に教えて欲しいと思って」




白石と居た屋上を後にし、は食堂にやってきた。
其処にはいつもどおりのテニス部のメンバーが揃っていた。





「蔵リンに聞けばえぇんとちゃう?」

「蔵のヤツ。”行ったらアカン“って言って教えてくれなかった」




小春が尋ねると、は先ほどのことを話した。
すると小春の隣に座っていたユウジが笑みを浮かべ――。





「ははぁ〜ん、白石・・・嫌なんや」

「え?何が?」

「そりゃあね。何たって心斎橋やから」

「え?・・・ねぇ、どういう意味?心斎橋に何かあるの?」








は白石の言葉や、ユウジ、小春の言葉に困惑する。

何故白石は「心斎橋に行くな」と言ったのかがよく分からなかった。


普通ならクラスの友達のところで「男か?それとも女か?」と聞くところなのだが
白石本人が食いついて来たのは「心斎橋」という言葉の部分だった。






「何や、ねーちゃん心斎橋の事知らんのん?」

「金ちゃん。コイツ大抵送り迎えやから、あんま場所場所に止まる事ないんや」

「へぇ〜そうなんや」




金太郎の疑問の言葉に謙也がすぐさま答えた。





「あんなー、心斎橋っちゅうのはな・・・んぐっ!?


「金ちゃ〜んお喋りが過ぎるで」


「蔵っ!?」


「白石、いつの間に」







心斎橋の事を喋ろうとした金太郎の口を
白石がやってきて塞いだ。






「おーまーえーは。俺が喋らんからってこいつ等に聞くなや」


「アンタには関係ないでしょ。教えてくれたら私だって此処まで足運ばないわよ」


「せやったら行かん方がえぇねん。ホレ、クラスの子の名前教え。待ち合わせ場所変えてもらうよう俺が言う」


「イヤ」


「えぇから言え


「イーヤ」





頑として自分の意見を譲らない

白石との周りの空気が冷たくなっていくのが
他のメンバーには手に取るように分かっていた。





「あーそうか、そーですか。なら勝手にせぇ・・・もう知らんわ」

「アンタに言われなくても勝手にするわよ、毒草バカ」





彼女の言葉に、白石の口端がピクッと動いた。







「世間知らずのお嬢様が。・・・これやから困るわ」

「何ですって?・・・もう、あったまきた。・・・・謙也!」

「え?!な、何や!?」







白石の言葉はの逆鱗に触れ
彼女は怒りながら、謙也に声を掛ける。

あまりに突然の事で謙也は驚く。






「後で心斎橋の場所教えて」


「え?・・・お、おお。えぇで」


「謙也、教えんな。部長命令や、教える必要ない」


「こういうとき権力振りかざすなや白石。分かった、後で教えるわ


「さすが謙也ね。誰かさんとは大違い」




は「誰かさん」とワザと強調して白石を見る。
完璧に2人の間が空気最悪状態に陥った。







「後で泣いても、俺に頼ってくるなや

「ご心配なく。その時は謙也にでもユウジにでも小春ちゃんにでも銀さんにでも光にでも、金ちゃんにでも
誰かに慰めてもらいますから、別に頼る相手アンタじゃなくてもいいし」




「うわっ!」

先輩言い張りましたわ」

「矛先が俺らに来たで」

「まぁ、ウチは全然OKよ〜ん」

「話を聞くくらいなら、ワシでもえぇですわ」

「んんんんん〜(ワイもやで〜)」



「おーまーえーらぁあぁああ・・・・・・知らん、勝手にせぇ!」




の言葉と、メンバーの言葉に
白石の怒りのゲージがマックスを迎えたのか
その場に怒りを投げつけ、金太郎の口から手を離し
其処を去っていった。

嵐が去り、その場が少し静まり
再び元の騒がしい食堂に戻る。




「しっかし、ホンマにえぇんか?」

「何がよ?」



白石が去ると、謙也がに尋ねる。





「場所は教えるけど、ホンマに行くんか心斎橋」

「だって待ち合わせ場所其処って言われたんだもん。今更”変えて“なんて言えないわよ」



は少し怒りっぽく謙也に言う。




「ほな後で電車の経路とか書いて、メールで送るわ。それでえぇやろ?」

「助かる。じゃあよろしくね」

「おう」






謙也との会話を終え、も自分の教室へと帰っていった。

彼女が去った後、メンバー同士で話が弾む。






「ウチら・・・やっぱり付いてった方がえぇんとちゃう?心斎橋知らんで行くと、ヤバイと思うし」


「いや、小春。此処は俺らは手ぇ出さんと本人に体験してもらったほうがえぇで」


「でも、囲まれたらアウトですよ。待ち合わせ言うたかて・・・多分先輩の事やから
時間よりも早ぉ心斎橋着くと思いますし」


さん一人にしてたら、ほんに危ないですな」


「せーやーかーら」




「ちょぉ皆耳貸せ」と謙也が何やら
怪しげな顔で手招きで皆を集め何やらヒソヒソと話を始めるのだった。




(素直に”はい、そうですか“何て聞くもんですか!)

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