お遊び当日。
は数日前、謙也にメールで
電車での行き道や、降りる場所を教えてもらい
予定よりも少し早めに道頓堀川流れる、心斎橋に着いた。
「うわっ、グ○コ・・・本物だ」
心斎橋に着いたの真っ先に目が止まったのはグリ○の看板。
テレビで見るものが今現在、生で彼女の目に映っている。
「確か、向こうにカニがあるって。・・・って動いちゃダメじゃん」
カニ・・・つまり【カニ道楽】の事である。
それも見に行こうとしたは、思わずその場に立ち止まる。
自分が動いてしまえば、待ち合わせをしたクラスの女子達が困ってしまう。
それに、あまり大阪の地理を知らない彼女にとって
動いてしまえば迷子になる事は確実。
「此処は大人しく」と自分に言い聞かせ、石橋にもたれる。
ふと、携帯を開きメールボックスを開ける。
「・・・・はぁ」
メールボックスを開けた途端、はため息を零した。
出掛ける前に白石とケンカしたまま
それから彼との連絡を数日と途絶えさせていた。
いつもなら毎日と言っていいほどメールのやりとりをするのだが
今回に限って、白石からのメールもなければ
自分から彼にメールを飛ばす事もなかった。
「・・・蔵のアホ」
そう呟くと、の携帯がメールを受け取る。
受信ボックスに入ったメールを開くと、出掛けるのを計画したクラスの子から。
20××/○○/△△
From:*****
Title:
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ごめんな〜、電車に乗り遅れたわ
あと20分くらい待ってて
ホンマすぐ行くから!!
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「20分か・・・まぁ大丈夫だし、いいかな」
は笑みを浮かべながら、自分は怒ってない、大丈夫と
知らせるため返信メールを彼女に打ち込み、すぐさま送信した。
「うん、これでよし」
「なー、お嬢ちゃん一人かぁ〜?」
「お、めっちゃ可愛ぇえ子やん。いや、美人さんかなぁ〜?」
「高校生?あ、それとも中学生か?」
「え?」
メールを送り、携帯を閉じて
バックの中に入れると、に声をかけてきた男3人。
あからさまに「遊んでる」という人たち。
「暇してるんやろ?俺らと遊ばへん?」
「ちょっとでえぇから、な」
「お嬢ちゃん可愛えぇし、なぁどない?」
「え・・えーっと・・・」
突然すぎる事で、いつもの言葉や毒舌の威勢が出てこない。
「どうしよう」と考えて
思わずの脳裏を過ぎったのは―――。
『・・・蔵・・・・・助けて・・・』
白石への助けだった。
(ふと、思い浮かんだのは・・・蔵の姿だった)