「こらぁ!兄ちゃんたち、何してん!!」
「あ?・・・何や?」
「き、金ちゃん!」
金太郎は相変わらず
凄まじい速さでの元に来る。
金太郎の登場で、を取り囲んでいた男達は怪訝そうな顔を浮かべ
一方の彼女は、顔見知りの登場にホッとした。
「ねーちゃんに手ぇ出すんやない!」
「何やこのチビ。彼氏気取りか?」
「ちっちゃい彼氏やな〜・・・お子ちゃまは、ウチに帰り」
「何やとー!」
「き、金ちゃん。挑発に乗っちゃダメよ・・・それに、暴れちゃ」
「たこ焼きのためにワイ、やるでぇええ!!!」
「え?」
金太郎の言葉に、は一瞬固まる。
「た、たこ焼き?何の話?」と思うも、金太郎は
彼女に絡んできた男達に向かっていく。
「金ちゃん、ダメ。暴れないの、おまわりさん来るよ」
「せやけど、ねーちゃん!」
「こんの、クソガキがぁあ!」
瞬間、男の一人が金太郎に殴りかかろうとする。
「金ちゃん!」
「ね、ねーちゃん!?」
万里は金太郎を庇うように前に出て抱きしめる。
元はといえば、自分がちゃんと白石の忠告を
聞いておけばこんなことにもならなかったのにと
彼女自身後悔し、その償いというわけでもないが
大切な弟のような存在の金太郎を傷つけるわけには行かない。
その思いで金太郎を抱きしめた。
「女、子供に手ぇ出すやなんて・・・お兄さん、男として最低ですねぇ」
瞬間、聞き覚えのある声には思わず
金太郎を抱きしめていた体を離し、後ろを振り返ると
男の振り下ろされる手を包帯の巻かれた左手一本で握り止めた白石の姿があった。
「く、蔵っ」
「だ、誰やお前!!」
「俺?・・・自分らがナンパしとった子の彼氏やけど?・・・何か文句あるんか?」
「ひっ!?」
怒りを纏った白石のオーラと目つきに、男はたじろぎ
フラフラと後ろに下がり、他の仲間を連れて
その場を去っていった。
「金ちゃん、怪我ない?」
「ぅ・・・ぅん。せやけど、ねーちゃん・・・何で、ワイの事」
金太郎の言葉に、は笑みを浮かべ
彼の手を優しく握った。
「そりゃあ、大事な私の弟分に、大切な四天宝寺テニスの大切な仲間よ。この手はね
人を傷つけるためにあるものじゃないでしょ?金ちゃん、テニスをする手でしょ?」
「ぅん」
「だったら・・・大切にしなさい。人を傷つけるためのものだったら、私・・・悲しいわ」
「ぅん・・・ごめんなさい」
の言葉に、金太郎は素直に謝った。
白石が金太郎の肩を叩いて―――。
「向こう行き。・・・ちょお、俺、と話するから」
「おう。約束守れや、白石」
「分かってる。ホレ、行き」
そう促して、金太郎は明るい表情で
向こう・・・つまり、謙也たちの元へと戻っていった。
「立てるか?」
「ぅ、ぅん」
指し伸ばされた手をは握り
白石はそれを受け取り、勢いよく引っ張り―――。
抱きしめた。
(王子様はな、お姫様のピンチには颯爽と現れる。コレ基本中の基本やで?)