実はこの舞台の裏・・・とある陰謀(笑)が働いていた。
その事実を白石本人知ったのは
埋め合わせデートin心斎橋の後日の事だった。
「なっ!?謙也とのクラスの子でこの計画立てたやと!?」
「せや。お前の慌てる姿見とぉなってな・・・まぁまさかケンカに発展するとは思もてへんかったけど」
「あ、もち、他の奴等も知ってるでー」とニヤニヤしながら
謙也は白石にそう言う。
自分はおろか、多分も騙されたのだ。
だが―――。
「お前・・・俺騙すだけならまだしも、まで巻き込むなや」
「いや、お前の慌てる姿見るにはどーしてもが必要なんや。せやからしゃーないねん」
「あー・・・何やしてやられた気分で胸クソ悪いわ。とりあえず――」
そう言って白石は立ち上がり。
「ツラ貸せ、謙也」
「へ?」
「ちょぉツラ貸せ言うてんねん」
「え?・・・えーと、それはつまり」
「何度も言わすなや、ケ・ン・ヤ・ク・ン」
笑顔で、だが背後に何やら黒々しいオーラを背負った白石の姿を見て
「あぁ、話すんやなかった」と謙也は後悔したのだった。
「今日、それクラスの子から聞いた。謙也と考えたって」
「ホンマ悪知恵だけは一人前に働くから勘弁ならんわ、あのスピードバカが」
昼休み、屋上で一人昼食をしていたのところに
まるで餌(昼食)を求めてか、それとも彼女を求めてかやってきた白石が居た。
「せやから、アイツ締めといたわ・・・玉子焼き貰うで〜」
「どうぞ。・・・部員だけは減らすなよ、しかもレギュラーメンバーを」
「大丈夫や・・・程ほどに締めといたわ。まぁしばらくは悪さはせぇへんやろ。
おぉ!おにぎりが雑穀やん!!貰てもえぇか?」
「どうぞ。ていうか、全部上げる」
「え?」
すると、は自分の食べていたお弁当箱(3段重)を白石に渡した。
あまりに突然の事で白石は驚く。
「いや、誰も全部はいらんわ」
「食堂のあのくいだおれ丼じゃ栄養の偏りが激しいわよ。炭水化物の塊じゃないあんなの。
健康オタクなら外だけじゃなくて、内側も綺麗にしなさい・・・毒なんて盛ってないから」
「貰ても、えぇのん?」
「つまみ食い程度で食べられちゃ困るのよ。食べるなら全部食べて・・・・・・せっかく、私も手伝って作ってるんだから」
「え?作って・・・、料理できるん?」
「お嬢様だからって料理も出来ないと思われちゃ困るわ。それなりに料理できるわよ。
私、自分のお弁当は大体自分で作ってるの・・・そっちは大体お手伝いさんたちにしてもらってるけど
私のお弁当の余り物とか、アンタや他のメンバーが食べても良いように作ってるの。
それに・・・」
「それに・・・何なん?」
白石の問いかけに、は顔を白石から背けながら――――。
「大分前に・・・蔵、言ってたでしょ」
「え?」
「お好み焼きは作って、食べさせてもろた。せやから次は」
「の作ったお弁当、食べてみたいわ・・・・・・やな。なんや覚えてたんかい。めっちゃ嬉しいわ、ありがとう」
「ど、どういたしまして」
白石は笑顔で重箱を持ち上げ、にお礼を言う。
「あ、せやったら今度大阪城行こうや。の作ったお弁当持って」
「え?」
「もうそろそろ桜見ごろやし・・・まぁ別に他のところ当たれば桜なんてぎょうさんあるけどな。
花見デートでもしようや・・・自分の手作りお弁当持って」
「・・・うん」
「決まりやな」
新たなデートの約束を交わすと、春が訪れる風が柔らかく吹き
髪の毛を優しく揺らし、風の行方を二人は目で追い、止むと見つめあった。
「好きやで」
「・・・ゎ、私も」
「間ぁ置かんとすぐ言うてや、もっかい。好きやで」
「私、も」
「ま、えっか・・・しゃあない、コレで許したるわ」
「え?」
そう言って白石はに近づき、唇を重ねた。
触れあったその唇は、約束を交わした誓いの口付けだった。
(「次から心斎橋・・・行かんといてな」「でもあそこお店多いから行きたい」「ほな、俺付いていく」「え、目障り」「酷っ」)