「すまんな、エライ遅なって」

「いいよ。たまにはこんな遅く帰るのも悪くないし。それに」









「見てみ!あのお星さんめっちゃ綺麗や!!あれが一番星やで!!」

「ちゃうぞ金ちゃん。アレが一番星や!・・・あの一番星小春にプレゼントするで」

「ん〜そのお星様もえぇけど、私の見つけた星が一番星やんなぁ」

「アホ、一番星は俺やろ」

「忍足先輩、解釈間違えてません?」






「皆でワイワイしながら帰るのも悪くないよ」

「さよか」





辺りが暗くなり、俺と・・・そしてメンバーの何人かで
暗くなった道を歩く。


空には星がぎょうさん散りばめてあった。

部活が遅なって、の迎えが来ないっちゅうので
一緒に帰る予定やったけど、色々してたら明るい空模様が
黒いベールを纏っていた。






「せやけど、こない星久々やな」

「へぇ。東京の空ってあんまり綺麗じゃないから、こういうの見たことない」

「大阪もあんま変わらんで。お星さんもこないに綺麗に見えへんって」

「何処も一緒か」




俺はと肩を並べながら他愛もない話をする。








「あっ!流れ星や!!」





すると金ちゃんが大きな声上げて、すぐさま黙り込んだ。


全員が空を見上げると、もう流れ落ちた後で
空には何もなかった。




「何してん、金ちゃん」

「流れ星が見えてる間に3回お願い事言うたら、お願い事が叶うって漫画に書いてあったからしてんねん」

「金太郎さんのお願い事って」

「どうせ、たこ焼きがぎょうさん食いたいいう願いやろ」

「うっ!?」

「図星かいな」






全員の声に金ちゃんの願い事は的中。

側にいた俺らは笑う。
俺が隣に目を向けると、珍しくも笑みを浮かべとった。

俺の視線に気づいたのか、が俺の方を見る。






「何?」


「いや、別に」




珍しく笑った顔、とか言うたら
確実に怒られそうやから俺は言葉を濁した。




「でも、私も小さい頃よく流れ星見たらお願い事してた」

「あら、お嬢様珍しい。意外にメルヘンなことしてたんやね」

「何がメルヘンよ。小さい頃だったら誰だってするでしょうが」

「まぁそう言われたら、俺もしてたかも」

「ほら見てみなさい」




に言われ、まぁ俺もちっちゃい時はしてた。
子供ながら自分でも可愛えぇことしてたんやなぁとかしみじみ思てしもた。






は」


「何?」


は、何流れ星にお願い事してたん?」


「え?・・・・・・内緒」


「ちょっ、何やねんそれ」





俺はが流れ星に何を願掛けしてたのか
気になり、聞きだすもは「内緒」と言葉を濁して俺に返してきた。

な、何やねん・・・内緒って。





「別にえぇやん、教えてくれたかて。減るもんとちゃうんやし」


「何で教えなきゃいけないのよ、イヤよ」


「教えてぇな、気になる」


「ダメ」


「教えてくれんと気になりすぎて眠れん。、教えてくれ」





別にやましい事やなかったら教えてくれるはずや。

でもどうしてがこうも「ダメ」と一点張りをするのか分からん。
もしかして、他に好きな子が居ってそんな願い事とかしてたとか?


何や、色々考えたらキリがない。


ホンマに聞き出すまで俺、眠れんぞ。


するとが一つため息を零し、空を見上げる。
俺はそんな彼女の表情を見る。






「迎え」


「え?」


「おかあさんが迎えに来てくれますようにって、お願い事してたの」


「ぁ・・・・・・す、すまん」


「ホラ、そういう反応が返ってくるから言いたくなかったのよ」




の口から零れた言葉に俺は申し訳なく謝った。


一番の心の傷に俺は触れてしまい、申し訳なくなる。
アホ・・・何してんねん、俺。

が一番触れてほしくない傷に、俺・・・自分から触れてしもた。








「謝る反応が返ってくるから、言いたくなかったの。
蔵、私がこの話するとすぐそういう落ち込んだ顔するんだから」


「いや、マジ・・・スマン。、自分のおかあちゃんのこと気にしてるのに」


「やめて、昔の事よ。アンタが落ち込むほど、もう私弱くないんだから」


「せやかて」


「謝らないで。言ったでしょ・・・昔の事なんだから」








はそう言いながら少し笑った表情を俺を見せる。

少し見せると、は再び空を見上げた。







「確かにね・・・昔は、おかあさんが迎えに来てくれますようにってお願い事してた。
流れ星が消える前に3回唱えて・・・でも間に合わなくて、流れ星は消えていったの」





「でも、今は流れ星消えて行ってくれて・・・・良かったって思ってる」


「え?・・・何で?」




願いが叶うはずなんに、何でそれがよかったっては言えるんや?

俺はそう思いながら彼女を見ると
視線に気づいたんか、は俺を見る。



















「皆に会えたから」















「もし、本物のおかあさんが迎えに来たとしたら・・・私、多分皆に会えなかったと思うの。
だからね、流れ星はきっと・・・私をこうやって、此処に居させてくれるために消えていったんだって」


「そうか」





の言葉に、俺は何となくホッとした。


辛い彼女の過去の傷に触れてしまい
また悲しませてしまうのかと思てたけれど・・・の言葉や安心した声を聞くと
俺が不安に思てた気持ちが全部消え去っていきよった。






「久しぶりに、私も流れ星見つけようかなぁ」


「何お願い事するん?」





空を見上げるに、俺は問いかけた。





「そうね」


「?」






















「ずっと蔵と一緒に居れますように、かな」




・・・おまっ」









「よし!私もお願い事しよう!!・・・・・・金ちゃん、私も流れ星見つけてあげる」

「あー!ねーちゃん」

が意外や」

「えぇやん。女の子は常にロマンチックな事思てんねん」

「お嬢様どないしたんやっちゅうねん」

先輩が珍しいっすわ」







俺の言葉を聞かんように、は金ちゃんたちの輪の中に入っていきよった。







「(はぐらかされたわ)」





ちゃんと聞こうしたら、はぐらかされた。

多分今聞いてもはまともに答えてくれんやろう。
お嬢様は恥ずかしがり屋な性格してるし、しゃあないわ。


俺はふと空を見上げる。


お星さんがぎょうさん散らばってて、どれがいつ流れ星になって
空から流れるか分からん。


でもな、そのぎょうさんある中で・・・お星さんが空から落っこちるんやったら
俺もお願い事するわ。












とずっと一緒に居れますように』








ってな。






君の笑顔も、声も、その吐息でさえも
永遠に俺の側にあってほしいから。


俺もお願い事してみるわ。


空を流れる、あの星に。



(流れ星。僕らの願い叶えて)

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