「何よ」


「別に」





本日、白石蔵ノ介・・・機嫌が悪いようです。


というのも、10分前。

蔵にせがまれて、口論。アイツの美顔を引っ叩いて
「しないって言ってるでしょ!」と怒鳴り散らしたところ
どうやら機嫌を損ねたらしく、蔵はムスッとした表情をして
ベッドに腰掛けている私から離れ、距離を置いて
書斎から持ってきた植物図鑑を読んでいる。



だけど、チラチラと視線をこっちに移して私を見るものだから
「何よ」と問いかけると、本人は「別に」とぶっきらぼうに返した。



嘘ばっかり。

何か言いたい事あるくせに・・・と、私は心の中で呟くも
それをバカ正直に口に出す度胸もなく、本のページを捲る。





別にね、別によ!
そりゃあ、アイツがその・・・え、えっち・・・したいのは分かるけど
時間とか雰囲気とか、状況とかをね
よく読んでからして欲しいわけ、私的にはね!

そんな雰囲気も減ったくれもないような時に
「えっちしよ」とか言われても、正直恥ずかしいだけだし
時間帯を考えてよ!とか思うわけ!!


唐突にそんな言葉零すなんて、ただの盛りの付いた犬じゃない!!


もう少しよ・・・顔イケメンなんだし
そういうのを考えて言って欲しいものよ!!

パーフェクター(完璧主義者)が聞いて呆れるわ!




と、心の中でイライラさせていると・・・またしても、蔵の視線を感じる。

思わず自分の考えてた事にドキッとして
同時に見られた視線に感じてしまい、その気持ちを悟られないように。





「だから何よ」




と思わず強気に言葉を放ってしまった。





「何でもないわ」




私の言葉に、さらにぶっきらぼうに返した蔵。
だが、すぐさま大きなため息を零し―――。






「あー・・・もうアカン。無理」


「は?」




そう呟いて、いきなり本を床に置いて立ち上がり
私のところへとやってくる。

ちょっ、ちょっと・・・な、何よいきなり・・・っ!





、気づいてへんやろお前」


「は?な、何が?」


「無自覚。のそう言う所・・・ちょっとキライやなぁ俺」


「へ?」






この場合、蔵にキライと言われても傷つきはしない。


だって、いつもこういうときに言う蔵の私に対する「キライ」は
性格とかそう言うのとかじゃなくて、何かに対しての事だ。
文字で表現するなら、漢字の方じゃなく・・ひらがなとか、かたかなとか・・・可愛い表現をするほうだ。






「イヤ言うてた割りに、よぉそない顔できるな


「だから、何が?」


「ほな、ちょっと体に聞いてみよか?」


「えっ・・・ちょっ!?」





すると、いきなり蔵が目の前で屈み
スカートの中に顔を入れ、太もも辺りにキスをし始めた。

しかも、やだ・・・っ。

音・・・キスをする、リップ音が聞こえる。


別に、秘部に触られてるわけじゃないのに
聞いてるだけで・・・恥ずかしいっ。



自分の顔が真っ赤になって熱くなっていくのが手に取るように分かる。


目を閉じて、必死にそれを防ぐものの
耳に生々しい音が入ってくる。

耳を塞ぎたいのに・・・蔵の頭を押し退けようとするので出来ない。






「くっ・・・蔵っ・・・や・・・やめっ・・・」


「別に真ん中触ってないからえぇやろ。太股にちゅーしてるだけやん」


「そ、それでも・・・やっ・・・やだぁ・・・っ」


「あ。此処・・・一昨日付けたキスマークやんな。もっと色濃く残しといたるわ






私の拒否の言葉も耳に入れず、蔵は太股に
唇を寄せ、強く吸い上げる。

それだけで、私は羞恥に顔を赤らめ
リップ音に体が震える。





「やっ・・・蔵っ・・・リップ音・・・やめっ・・・」


「何か言うたか?」


「だから・・・んっ・・・リップ音・・・やめてって・・・やだぁっ・・・」


「ふぅーん。、イヤなん?・・・こんな音されるんは?」





そう言うと更にリップ音が大きく聞こえてきた。


やだ・・・もっと聞こえちゃう。


廊下にまで聞こえるわけないのに
まるで本当に外にまで響きそうなくらい、蔵はイタズラに
太股にキスをし、生々しくリップ音を立てていく。






「蔵・・・・蔵ぁ・・・やっ・・・何で・・・なん、で・・・こんな、こと・・・っ」




私は目を薄っすらと開け
脚の間に顔を埋める蔵を見る。

すると、蔵が顔を上げ笑みを浮かべ――――。




























が・・・キスして欲しそうな顔してるから・・・やな」





「!!」





蔵の一言で、思いっきり顔が真っ赤になり
思わず自分の口を塞いだ。


ち、違う・・・!!

私、わたしそんな顔・・・してない!!








「さっきからずーっと、キスして欲しそうな顔してんで・・・


「わ、私・・・してな」


「してる。俺には分かんで・・・のお口。めっちゃキスしてって俺に言うてる」


「だから、してないって!」


「せやから無自覚やー言うてんねん。ホンマはしてほしいクセに・・・こんな風に」








瞬間、蔵が私をベッドに押し倒してきた。


突然の事で口を塞いでいた手が退き
変わりに私の口を塞いだのは蔵の唇だった。



まるでそれを求めていたかのように、蔵の唇が
私の唇を吸い寄せ、彼の舌が口の中を激しく動き回り唾液を絡めていく。



それだけで、体が痺れて・・・動かない。


ようやく何十秒と絡めあった唇が離れる。






「んっぁ・・・はぁ・・・ぁっ・・・く、らっ・・・」


「目もこないに潤ませて。・・・ホラ、やっぱりキスしてほしかったんやろ?」


「ち、がっ・・・だからっ・・・」


「素直になったらどうや、?ホンマは・・・」
























「もっと、色んな所にキスして欲しいんやろ?」











耳元で低く囁かれ、体が更に痺れ震える。



どうして、私・・・こんな・・・っ。







「・・・し、て・・・」


「ん?」


「もっと・・・キス、して・・・蔵」


「ようやっと観念したな。えぇで、色んな所にキスして・・・俺の跡、ぎょうさん残したるわ。
俺の可愛いお嬢様」





結局、彼から与えられる愛に負けてしまい
全てを委ねてしまう自分が居る。




彼のクチビルには私を陥れる魔力がある。

確信的な罠を仕掛けて、私の心を、愛を奪って吸い尽くしていく。




だけどそれでも足りないとばかりに、彼のクチビルは今日も私を求めてくる。





(キスから始まるエクスタシー)


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