を連れて、電車の少し乗り継ぐ。





「ね、ねぇ・・・蔵何処に行くの?」


「えぇから黙って付いてきぃ」



電車を降りて、梅田。
俺の家の近くを少し通り過ぎて、少し人気のない公園にやってきた。






「蔵?何で、此処」


「此処でな、俺・・・ちっちゃい頃、テニスの練習してん」


「え?」


「ほれ、あそこの壁見てみ」





俺が指をさした先にが見る。


壁に少しくっきりと残るボールを叩いた跡。
何度も何度も其処にボールと叩きつけたのがあった。


俺はを連れて其処へと向かう。

其処に着くとの手を離し、は壁をマジマジと見つめる。






「スゴイ・・・こんな、跡残るんだ」


「ちっちゃい頃やけどな・・・壁打ち、結構やりまくったなぁ」


「そうなの?」


「ちゅうか、基礎を叩き込むにはえぇ相手や。なんべんも壁打ちやって基礎を体に染みこませて・・・その繰り返しや」


「四天宝寺の聖書様の始まりは此処なのね・・・皆努力してる。すごいね」





は視線を其処から離すことなく、壁に触れ言葉を零す。

俺はそんな彼女の姿を後ろで見ながら――――。







「なぁ


「ん?」



























「ホンマに引っ越すんか?」





「・・・・・・・・・」






俺の言葉にが止まった。



辺りに人気はなく、ただせわしく蝉が鳴き続ける。







「ホンマに・・・引っ越すん?東京に・・・戻るんか?」


「・・・・・・」


「なぁ、答えてくれ。せやないと・・・俺・・・おれ・・・っ」








何が何でも、お前を俺の側に縛り付けてしまいそうや。





ようやっと、分かり合えた。

ようやっと、通じ合えた。



それやというのに・・・神さんは残酷すぎる。



同じ未来、いけるって・・・信じてた。
信じて、ずっとずっと・・・居れるって。




こんなにも好きやのに。

こんなにも愛してるのに。



どうして、一分と一秒も・・・神さんはを俺の側に置こうとしてくれんねん。







「蔵は・・・」







すると、が俺に背を向けながら言葉を零す。







「蔵は・・・私が居なくなったら・・・寂しい?」



「何言うてん!当たり前やろそんなん!!」



「私が居なくなっても、泣かない?」



「泣くに決まってるやろ!俺にはが必要や」



「私以外の人でも好きになったりできる?」



「できるかそんなん。俺、以外の誰も好きになったりせぇへん!」



「私が・・・」



「もうえぇ!」





俺はの肩を持ち、こちらへと向かせた。

すると、の表情に俺は言葉が出なかった。




泣いてる。


目から涙を零しながら、は俺と顔を合わせた。





・・・お前」



「私だって・・・できないよ」



「え?」





は顔を横へと逸らし、ゆっくりと・・・でも震える声で俺に言う。





「私だって、出来ない。寂しいし・・・蔵が居ないなんて・・・蔵以外の人好きになるなんて。
私・・・出来ない・・・出来ないよ・・・っ」









目の前で顔を手で覆い隠し、泣き出したを俺は抱きしめた。


強く、きつく・・・抱きしめた。






「いや・・・蔵から離れるなんて・・・私・・・出来ないっ・・・出来ないよ・・・っ。
此処から離れたくない・・・皆とも離れたくない・・・蔵とも・・・ずっと・・・ずっと・・・っ」
























「一緒にいたいよ」

















の震える声が俺の耳に入る。

俺は一旦、唇を噛み締め、息を吸って――――。












「行くな」




「え?」




「行くなや・・・東京なんて。、行くなや」




「く、ら」




「行くな・・・行くんやない・・・行かんといて・・・行ったら、行ったらアカン!
何で・・・何でまで行かなアカンねん!!行くなや・・・行かんといてや、っ」








俺は必死でにそう言う。


行って欲しくない・・・行かんといて。

ずっと側に居る・・・ずっと一緒に居る。


俺は約束したんや・・・約束、したんや。

それなのに、何でこんな・・・離れんとアカンねん!







「お前は俺が守る。絶対に俺が守る・・・守ったる・・・せやから、・・・行くな!行くんやない」



「蔵」



「自分のお父ちゃんとお母ちゃんには俺が説得する。俺、嫌や・・・と離ればなれになるなんて
俺は・・・俺は絶対に嫌や!せやから・・・せやから・・・っ」



「分かってるよ」









すると、が俺の頬に手を差し伸べ触れる。

は笑みを浮かべながら俺に言う。
そんな顔せんといて・・・辛くなるやん。







「分かってる・・・うぅん分かってた。蔵は絶対に離れないって・・・私のこと離さないって」





「ねぇ、蔵・・・一つ、私からのお願い聞いて」


「何や?」




























「私を攫って。私をどこかに連れ去って・・・お願い」








の口から零れた言葉に、俺は驚きを隠せんかった。





・・・自分で言うてること、分かってんのか?」


「分かってる。分かってるよ・・・でも、蔵と離れるくらいなら・・・何処か遠くに逃げたい」





「お願い・・・私を攫って・・・お願い、蔵」




























「貴方と離れるくらいなら、死んだ方がマシ」














俺は、こんなにも彼女に想われてたのかと思うと・・・嬉しくてたまらんかった。





出逢った頃はこないまでお互いを
求める関係やなかったはず。ただお互い・・・友達として
良いクラスメイトとして・・・過ごすはずやった。




恋人ごっこを始めるまでは。




すぐに俺は彼女に好きという想いを募らせ


彼女はいつしか俺に好きという想いを募らせていった。




知らず知らずにお互い、好きになってて。



時に傷つけあったけど・・・それでもお互いが必要と感じて。







気づけば・・・こんなにも―――――。


















、愛してる」


「蔵・・・くらぁ・・・っ」


「愛してる。俺はお前を愛してる・・・せやから」


































「逃げよう・・・・2人で。誰も、知らんところに」




「・・・ぅん」











赤い糸で強く結ばれてとった。




誰にも・・・もう誰にも切られたりせぇへん。

いや、切られんように。



俺がコイツを守ったる。



もう神さん・・・・邪魔せんといて。


俺、多分今日・・・許されんことしてるのかもしれん。
せやけどもう・・・こないな方法しかないねん。




でも、でもな・・・。




と離れるんは、俺も同じで・・・死にそうになんねん。

































ちゃん・・・」



「奥様いかがなさいましたか?」


「え?・・・いいえ、何も」






Time:××/08/××
From:ちゃん
Title:ごめんなさい
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お母さんゴメンなさい。
やっぱり私・・・蔵から離れたくない。

-----------END-------------






未来まで繋がっていたい赤い糸
(切らせやしない。僕と君の赤い糸。未来までずっとずっと)

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