「綺麗な月ね」


「せやなぁ」




夜。

周りも暗くなり、俺とは寝巻き用の浴衣を着て
縁側で月を見とった。



せやけど、珍しくが「ひ、膝枕してあげてもいいわよ」とか
ホンマ珍しい事言うもんやからビックリしたんやけど「ほな、お言葉に甘えて」って事で
俺はの膝の上に頭を乗せたまま、空に浮かぶ月を見とった。





「なぁ、


「何?」



















「 
キ ス し て ほ し い 」














俺はの頬に触れ、そう言う。


すると彼女は少し頬を赤く染めながら――――。









「ぅん・・・いいよ」








そう返した。



いつもなら、絶対「いや」言うんやけど
今のは否定の言葉すら出てこん。



分かってんねん。


もしかしたら、これが最後かもしれんって。
別に俺はそれを利用してるとちゃうねんぞ。





俺かて、覚悟してんねん。



いやその準備が欲しいんや。







ふと、視界が暗くなる。



の顔がゆっくり降りてきて・・・・・・・・・唇が触れた。



数秒間、唇が触れて・・・・・・離れた。





離れたとき、の表情がやけに切ない。
俺は突然起き上がり――――。








「蔵・・・ちょっ、きゃっ!?」






を押し倒した。







「ちょっと、何す」




「何ちゅう顔してんねん、




「え?」




「そんな悲しい顔せんといてや。何でするん?」




「だっ・・・だって・・・」






みるみるうちにの目から
涙の粒が溢れ、頬をそっと伝った。


俺はそんな彼女の頬に優しく触れた。







「ベッドに行くか?」



「・・・ぅん」


「よっしゃ。ほな、今日はサービスで抱っこしていったるわ」


「バ、バカ」




そう言うて、俺はを抱きかかえた。


は落ちないように、俺にしっかりと抱きつく。





あぁ・・・もう、ホンマにこのお嬢様は・・・無自覚で何でも俺にこうやってしてくるんやから。



せやから、離したくないねん・・・離れたくないんやぞ。




と、俺は心の中で呟きながらを抱き上げたまま寝室に行く。









寝室に置かれた、ダブルサイズのベッド。

俺はゆっくりと彼女をベッドへと降ろし、そのまま体をゆっくりと倒した。



色素の薄いの髪が、白いベッドの上で綺麗に広がる。


かすかに赤くなった目で、俺を見る。

まだ少し・・・目に涙が溜まっとるわ。ホンマに泣き虫やな。




「く、蔵」



「泣くんなら、俺の見とる所で泣き。俺の胸ん中で泣き。俺の・・・俺の・・・――――」



















感じる愛で泣いてくれ。







その他のモノで泣くなんて・・・そんなん、許さへんぞ。





















―――――ギッ・・・ギシッ・・・ギ・・・ギシ・・・。













「あっ・・・ん・・・く、ら・・・や、あぁん!」


、可愛えぇ・・・もっと、感じてや」






浴衣なんて、脱がすには他愛もない。




裾から手を忍ばせ、滑らかな足を撫で

息苦しい帯を解くと、もう残るは布切れだけ。



露になるの肌に欲情・・・・・・なんて、いつもの事や。







「ふぁっ・・・ぁ、ん・・・蔵っ・・・あぁ・・・っ」


・・・ホンマ、可愛えぇで」





キスをして、愛撫をして、繋がれば

後はお互いを求め合うだけのもんになる。人間、人を好きになったらそんなもんやって。




深くふかく、のナカに入り込んでいく俺の熱。


律動すれば、それこその口からは甘い啼き声だけが零れ
それらは全部俺の耳を犯し、腰の動きを早め、彼女を壊すだけの存在になる。







「ひゃっ!?・・・あっ・・・んん・・・く、らっ・・・や・・・あぁん!」



「何が・・・いや、やねん。のナカ、俺のこと離してくれへんやないか。
それで、いやとか・・・よぉ言えるなぁ」



「蔵っ・・・だっ・・・あぁん・・・激しっ・・・ひゃ、あぁん!!」



「昼間と同じスピードや。激しくないでこんなん」






ウソばっかりやな。


此処来て早々、と体を繋げた。



せやけど、はるかに昼の時よりも腰の動きは早い。
自分で攻めてるからな・・・そこんとこ、分かっとるつもりや。




何度も、何度も、のナカに愛を打ち付ける。


何度も、何度も、のナカに愛を吐き出す。




それで何かが生まれればえぇとか・・・やましい事考えてんねん。



まぁ無理な話やけどな・・・。








「く・・・蔵ぁ・・・あっ・・・はぁ・・・」



「ん、どないした?」






すると、俺の下で愛を受け取るが胸板に触れた。

直接感じる彼女の体温で、動きが止まった。






「何や?」


「もっと・・・深く、蔵を、感じたい」


「充分やろ。これでえぇ」


「や、やだ。もっと・・・深く、感じたいよ」









の言葉に、俺は戸惑う。


彼女が要求してきたんは、要するにバックの体位になろうっちゅうことや。
せやけど、はあの体位が嫌いや。


俺の顔が見えへん・・・って、たったそれだけのこと。


それやっちゅうのに・・・ホンマにこのお嬢様は・・・。






「ホンマ、お嬢様はワガママばっかりで困りモンやで」


「えっ?・・・あっ、ひゃぁあっ!?」





そう言いながら、俺はのナカから一旦、熱の昂りを引き抜き
彼女の体勢を仰向けからうつ伏せへと変えた。





「後悔したりすんなや。自分から言い出したことなんやから」


「ゎ・・・分かってる・・・」




がそう答える・・・せやけど、ベッドのシーツを握る手が震えとる。



あぁ、なんやろ。

今からにとっては悪いことすんのに、ちょっと・・・いや、結構欲情したわ。


熱の昂りがドクドクと唸ってるのが聞こえてくるわ。





・・・・震えてんで?」


「・・・っ・・・だ、大丈夫・・・怖く、ないもん」






声も震えて・・・怖がってるやんか。



せやけど、がしてほしい・・・言うんやったら・・・するしか、ないねん。





心の中でそう言いながら、のナカの入り口に
熱の昂りを密着させ・・・――――挿れた。






「んぅあぁああ!!!」


「っは・・・結構、締まってんなぁ・・・」







挿れた途端、俺を襲って来たのは・・・のナカの熱と、締め付け。


しかも普通の体位よりも・・・締め付けキツイわ。
俺これだけでもイキそうなくらいや。






「動くで」





俺がそう言うと、はただ頷いただけやった。


分かってんねん・・・こうなっても、彼女に来るものはただ1つ・・・。








俺と感じる快楽だけや。








「あぁあっ・・・あっ、ぁンッ!・・・んぅ・・・あ、ぁあっ!!」



・・・っ」





ゆっくりとした出し入れから・・・徐々に緩急つけて・・・ナカへと愛を打ち付ける。

そのたびに、ナカからは卑猥な音が出て
肌の触れ合う音が聞こえ、の甘い声が・・・耳を、支配する。





快楽だけが支配するこの部屋で・・・俺の耳は、鼓膜が破れそうなくらい・・・痛くて、熱いわ。








「っは・・・ああぁぅ・・・んぅ・・・あ、あぁ・・・はぁっ、く、らっ・・・蔵っ」


「大丈夫や・・・俺、此処に居るから・・・ずっと側に居るで」


「蔵・・・はぁ・・・あっ、ん・・・あぁあん・・・蔵、蔵ぁ・・・!」


「そんなん、何べんも呼ばんでも聞こえてる。俺は此処や、自分の側に居るで」





腰を動かし、快楽をに与えるたびに
彼女は俺の名前を呼び続ける。



ちゃんと聞こえてるで・・・ちゃんと届いてるで・・・自分の声。



聞こえてるから・・・・・・・・・―――――。









「蔵・・・っ、んっ、ああっ・・・く、らぁ・・・」



「せやから、何べんも呼ばんでえぇんとちゃうんか・・・



「ひゃぁん!?あっ、・・・ぁ」






俺はのナカから、昂りを抜き彼女を再び元の体勢に戻した。


仰向けにしたの目には・・・涙溜まってて、ものごっつ怖かったっちゅう表情しとった。







「そんなん泣くくらいなら、最初から」



「違う」



「え?」







泣いてることに、俺は体位の事と思ってを宥めようしとった。

だが、俺の思ってる事とはまったく別の言葉をが放ってきた。












「なら、何で?」



「このまま・・・繋がって、いたいよ」







「最後なんてやだ!これが・・・最後だなんて・・・ヤダよ蔵っ。・・・離れたくない・・・離れたく、なぃ」






そうか。


彼女の涙はこれやったんか。




俺はそっと、泣き出すの瞼にキスを落とした。







「俺かて・・・離れたないわ」



「く、ら」



「このまま、ずっと・・・夜が明けんでほしいくらいや。それやったら・・・ずっと、と繋がっておれるのにな」



「蔵・・・蔵っ・・・」



・・・泣かんといてや。頼む、泣かんといて」









今日はずっと、側に居るから。


夜が明けるまで、ずっと。


自分と繋がったままで居るから。









「蔵っ・・・く、らぁ・・・ふっ、うっ・・・っ」



・・・大丈夫や。俺が守る・・・守ったるから、泣かんといて」







泣きじゃくるの涙を拭うように、俺は何度もなんども、彼女の瞼と
涙伝う頬にキスをした。









ホンマに、このまま夜が明けんほうがえぇねん。

そのほうが・・・俺もも、幸せやねん。





ずっと、ずっと・・・一緒に居れるから。










「蔵」



































「愛してる。ずっと、ずっとや」


「私も愛してるよ」









涙を掻き消すように、俺はに愛を注いだ。








夜の神様。

居るんやったら・・・その月のまま、永遠に夜を明けんようしといてください。


愛する人との時間を、繋ぎとめといてください。


まだ、朝を迎えないでください。





このまま、彼女と離れるなんて・・・俺には、出来ひんのや。







俺は・・・朝を迎えたと同時に「サヨナラ」なんて・・・言えへんのや。






せやから、お願いします。




この夜を、永遠のものに・・・・しといてください。











ツクヨミへのネガイ夜よ明けないで
(月の、夜の神様。どうか、この夜を永遠に。朝を迎えないで)

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