「あー・・・やっと合同練習終わったわ〜」


「ちゅうか、明日で夏休み終わりとかありえへん。宿題終わったか?」


「終わってないわ〜。白石〜ノート見せてくれ」


「何で見せなアカンねん。自分らでしなさい」







ようやく、短期間ではあるが青学さんとの合同練習が終わった。


途中、まぁ波乱ありまくりな練習やったけど
何気にテニスの練習内容としてはオモロイもんやったから

2年・1年にもえぇ刺激になったんやないかと俺は思た。



そして、練習が終わり・・・・俺らはジャージから制服に着替えをしとった。


ふと、携帯が点滅しとったのに俺は気づき
カバンの中から携帯を取り出し、開いた・・・・・・・メールやった。



受信BOXを開いて、メールを見ると・・・―――――。



















思わず口から名前が出てもうた。




そう、メールの差出人がやった。

せや・・・今日が約束の3日目や・・・3日したら、連絡するって言うてくれてた。


俺は急いで、メールを開けた。









Date:××/08/30
From:
Title:無題
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逢って話がしたいから学校に来てる。

もしかして、部活終わってたりする?
もし、まだ学校に居るなら
テニス部の門の所にいる。
学校に居ないなら、電話して。

--------------END----------------









学校に・・・が、来てる?



そう思った瞬間、俺は携帯を投げ出し、荷物を置いて駆け出した。
俺の突然の行動に誰もが驚き
そして、今から宿に帰ろうとしとった青学さんのメンバーすら
スゴイ速さで駆け抜けていった俺を見て驚いとった。


皆俺の行動見て、何事やろ?とか絶対思てるに違いない。


せやけど、今の俺には説明なんてしてる暇ないねん。






が・・・が、俺のこと待ってんねん。


3日間・・・どれだけ苦しくて、寂しい思いしたか。
きっとは同じやろうなぁとか思ってたり。





早く・・・はやく、の顔見たい・・・の顔見て、話がしたい。




逸(はや)る気持ちを抑えきれず
俺はテニスコートにから外に続く門を開け、飛び出した。

誰も居ない・・・首を横に振って、辺りを見渡した。





















「蔵」











ふと、後ろから聞き慣れた声で呼ばれた。

俺はゆっくりと振り返る。




其処には・・・・・・私服姿の




門の壁に体を預け、俺の姿を見るなり体を壁から離し・・・俺を見とる。


俺はゆっくりと彼女に近づき・・・――――。









・・・・・・っ!」









思いっきり抱きしめた。







「ちょっ!?く、蔵っ・・・痛っ、痛いってば!!」



っ、や!ホンマに、ホンマにが居るっ、俺の所にが居るわ」



「死んだ人が生き返ったみたいな言い方しないで!離れなさいよ、痛いじゃない!!」



ーっ、が帰ってきたでー!!皆に知らせたいくらい嬉しいんやって」



「人の話を聞かんかこのバカタレ!!痛いって言ってるでしょうが!!」







瞬間、みぞおちにのコブシクリンヒット。



あまりの痛さに俺はその場に屈みこんだ。
すると「何やなんや?」と言わんばかりに、謙也たちが門の所から顔を出してきた。










「あ、や」



「ホンマやや」



「蔵リン、相変わらずちゃんにラブ特攻していったん?」



「特攻のなれの果てがみぞおち一発陥没って・・・ダサいっすわ」



「ねーちゃんやー!久しぶりやでー!!」





「ご無沙汰。相変わらずコイツ暴走してなかった?」




『しとったわ』



「やっぱりか」



「何やねん、お前ら。えぇやろ別に!!とは3日ぶりで寂しかったんやから」







俺は何とかみぞおち一撃から復活し、立ち上がった。



3日ぶりの再会が嬉しすぎて、俺の気持ち舞い上がって当然なんやから。

どんだけ寂しかった思てんねんこのお嬢様は。









、でもホンマ・・・寂しかったんやって。アレから・・・ずっと、待ってたんやから」



「ゴメン」



「あのままどっか行ってまうんやないかとか・・・心配してたんやで」



「うん、それもゴメン」










「あいつ等なんかあったんか?」とか「またケンカしたん?」とか
外野からヒソヒソとやかましい声聞こえてきてるけど、今は無視や無視!


ちゅうか、無視する余裕すらあるわ。





・・・・俺の目の前に居るんやから。




そんなん、外野の声とか耳に入らへんで。
が俺の目の前に、側に居るだけで・・・嬉しくて、幸せなんやから。







「でも3日間・・・・・・何してたん?」






とりあえず、3日間。
彼女が何をしとったのか俺は尋ねる事にした。

気になるやろ?
「3日間だけ待って」とか言うて待ってたんや。
あの時は理由を聞ける状態やなかったけど、今なら理由聞いたかてえぇやろ。








「え?あっ・・・えっと・・・」




「何してたん3日間。俺、それだけが気になってしゃあないねん。なぁ、何してたん?」




「あの・・・えっと・・・そ、の・・・っ」






突然、俺が何をしてたのかを尋ねると
の口がこもり始めた。


ふと、俺の心の中・・・さっきまで晴れてたんやけど、急に曇りだしてきよった。


風が木々を揺らして・・・ざわついてる。
そうまるで今の俺の心みたいに・・・ザワザワって、言うてるわ。







・・・なぁ、答えてぇな。何してたん?あんだけ、俺らの関係危ない状況やったのに
3日間だけ待ってくれ言われて、俺待ってたんやで?理由くらい教えてくれてもえぇんとちゃうんか?」



「そ、それは・・・。あっ、あのね!・・・言わなきゃいけないことが」



「言わなアカンことの前に、3日間何してたのかを話してくれ。自分の話はその後や」



「蔵」






彼女の言葉を遮るように、俺はとにかく「3日間何故俺を待たせたのか」を前に持ってきた。

確かに、の話も重要や。
せやけどこれ以上、の話のペースに持ち込まれてしもたら
きっと悪い方向にしか向かわんような気ぃしてならんのや。



もう、を手離したないねん。



そのためにも・・・・・・。










、話してくれ。3日間・・・何してたんや?」




「・・・・・・・・・・」







俺は彼女に必死に問いかける。


すると最初は無言だったやったけど、一呼吸置いて・・・・・・ゆっくりと口を開く。






































「・・・・・・・・・東京に、行ってた」








「は?」







の言葉に、心臓に思いっきり鋭利な刃が突き刺さってきた。


東京に・・・行っとった?








「どういう意味や。東京に行っとったって・・・どういう意味や?」



「あの・・・・・・だから・・・・・・」



「ちゃんと説明せぇよ!何で東京に行ってたんやって、俺聞いてるやんか!!」



「ゴメンっ・・・ゴメンね、蔵っ・・・ゴメンなさい」



「謝っても分からんやろ。ちゃんと説明してくれっ!!」






俺はの肩を掴んで、彼女を問い詰める。


せやけど、はただ「ゴメン」とだけ言うて理由を言おうとせん。






っ、答えてくれって!!」



「白石はん落ち着いて」

「白石、落ち着けって」

「取り乱してどないすんねん、泣いとるやろ」




銀とユウジ、謙也が取り乱す俺を押さえ、小春と金ちゃんが泣いてるの隣で彼女を慰める。


泣いてるを見て・・・俺は、口を開く。









「お前・・・・・・あの時の約束破るつもりで、東京行ったんか?」



「ち、違うっ!!そんなつもりで行ったんじゃない!!」



「じゃあ何で東京行ったんや!!そうとしか思わへんやろ、そうとしか、考えられへんやんか」



「違う・・・違うよ。違うの、蔵・・・っ」



「何がちゃう言うねん。間違いやっちゅうんなら、話してくれや



「・・・・・・・・・」







は黙り込む。

俺は唇を噛み締めた。






「やっぱり、破るんやな・・・・・・お前」



「!!・・・違う、蔵っ・・・話を聞いてっ!!」



「聞きたないわ!!お前の話なんて・・・聞きたない。あの約束も、ナシや・・・3日前の事も、全部・・・ナシや」



「蔵・・・っ、待って・・・・違うよっ」



「やっぱり俺ら・・・・・・離れた方がえぇねん。住む世界も・・・ちゃうんやから」








「離してくれ」と俺は取り押さえてた3人に言うて、から背を向け、歩きだす。

は泣きながら「違う、待って」という嗚咽を含んだ声で
俺を呼びとめようとするけれど・・・俺は、もうその声すら聞きたなかった。




門をくぐり、テニスコートに戻ると青学さんたちが驚いた表情で俺を見とった。




俺は「どうもお騒がせしました」と、笑いながら後ろ手で扉を閉め
そのまま早足で、部室へと向かう。









「白石」






瞬間、手塚クンの隣を横切ると名前を呼ばれた。
俺は進ませていた足を止めた。

顔は、彼に向けぬまま。













「白石・・・このままだと・・・」





「なぁ、手塚クン。俺、分かったんや」





「何をだ?」





「離れた方が、幸せやっちゅうこともあんねん。誰も、自分も傷つかんからな。
その方が・・・・・・普通に、幸せやって・・・・・・俺、分かったんや」






「白石、だがっ」





「ゴメンな。せっかくアドバイスしてくれたんに・・・ホンマ、ゴメン」




「白石っ!」








手塚クンの声を振り切るように、俺は部室へと駆け
中へ入り、扉を閉め・・・扉に寄りかかりながら俺は座り込んだ。






きっと門の外では泣いてるんやろうなぁ。
皆が・・・の事、慰めてるんやろうなぁ。





もう、俺・・・の事、慰める力ないわ。

抱きしめてやる力も、ないわ。









結局、こうなる運命で・・・・・・の居らん未来迎えることになるんやな。











「神さん・・・・・・ホンマ・・・・・・残酷、すぎるっ・・・・・・っ・・・・・・」










泣きながら、蹲って・・・・・・・神様を、運命を、未来を・・・恨んだ。







ただ、1つ・・・恨めへんのは、やっぱり大好きなだけやった。







全てを恨んでもだけは・・・
(神を、運命を、未来を恨んでも・・・愛しい君だけは恨めはしない。だって、大好きだから)


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