『好きや』と、どれほど言い続けたら
その気持ちがお前に伝わるんやろうか?
『愛してる』と、どれほど言い続けたら
その想いがお前の中に入っていくんやろうか?
言うだけじゃ・・・気持ちも、想いも
お前に届いてるか・・・分からへんのに。
なぁ、どうすれば・・・・・・届くんや?
「んぅ・・・くっ!・・・あふっ」
「・・・っ」
「く、らぁ・・・あぁっん!」
今日、部活がオフでよかったことはないな。
昼間の約束どおり、俺はを
チャリの後ろに乗せて、彼女の家に来た。
来て、部屋に着いたら・・・其処からは
もう互いを求め合うだけのモノとなってしまった。
カバンを放り投げ、服を脱ぎ捨てて
ベッドで体を重ねあう。
もう、何度・・・同じ快楽を味わってるか、よう分からん。
「あっ・・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・」
「ちょぉ、体勢変えようや。何や今日・・・深くの事、感じたいわ」
「えっ?・・・ああっ・・・や、何?!」
今までずっと正常位だった体勢を変えるべく
一旦のナカから、アレを抜いて
仰向けだったの体勢を、うつ伏せに変えた。
「え?・・えっ・・・な、何?・・・蔵?」
「ちょっと深く行くで。良すぎて、気絶しなぁや」
「え、え?・・・あっ・・・あぁああああ!!!」
うつ伏せに変え、彼女の腰を持ち上げ
再びナカへと入り込む。
瞬間、は甘い声を上げて啼く。
せやけど、先ほどまで出していた声とは比べ物にならんほど・・・甘い声。
「ひゃあっ・・・あっ・・・ああっ・・・く、らっ・・・ああっ・・・!」
「バックは一番深いトコまで行くし、それに」
「や、あっ!・・・動いちゃ、あっ!・・・動いちゃ、ダメェ!!・・・あぅ、あっ、ああっん!!」
「攻めてる側が、一番動きやすいんよ」
先ほどとは比べ物にならないほど、快楽が押し寄せて来よった。
男の俺としては、動きやすいこの体位のほうがえぇ。
「あっ、ああ・・・く、ら・・・蔵っ・・・あぅ、あぁん!」
「何や、?」
腰を動かして打ち付けていると、が俺の名前を呼んだ。
「んっ・・・あっ・・・あ、ああっ・・・こ・・・怖ぃ・・・はっぅ・・・怖いよぉ」
「え?」
甘ったるい声で呟かれた言葉に、俺は動きを止めた。
怖いって・・・今更?
いやいや、それやったらもっと前から言うてるはずや。
せやったら、何が怖い?
「・・・何が怖いん?俺、側に居るやん」
「はぁ・・・はぁ・・・・違ぅ・・・蔵の・・・・・・顔が・・・・・・見えない」
「」
「蔵の、顔が・・・見え、ないの・・・怖いよぉ」
今にも泣きそうな声で、は俺にそう言った。
確かに、正常位と違うて
バックは攻め側重視の体位やし・・・それを受け止める女の子としては
好く者も居れば、そうでない者も居る。
は、後者のほうやったか。
俺は呼吸を戻し、ため息を零して
のナカに挿れとった俺のアレを抜き
うつ伏せの状態から、再び仰向けの状態へと戻した。
仰向けに戻したとき、の目には大粒の涙が溜まっていた。
アカン・・・相当怖がらせたみたいや。
「怖かったな・・・スマン」
「・・・蔵っ」
俺の顔を見ると、はホッとしたのか
首に腕を絡め抱きついてきた。
絡み付いてきた腕と、密着してくる体の柔らかさ。
髪の毛から微かに香る甘いシャンプーの匂いと、それに混じる汗の匂い。
それら全てを左腕一本で抱きかかえた瞬間
彼女を本当に手に入れたような錯覚に陥る。
でも、コレは・・・ホンマもんやない。
コレは・・・恋人のフリをするだけの・・・それだけの浅い関係のはずなんや。
マジで手に入るなんて・・・・・・到底無理な話や。
「はぁ・・・ぁっ・・・蔵」
「、すまんかった。怖かったな・・・もう、せぇへんから安心しぃ」
「・・・・・・ぅん」
2人っきりの時だけ。
そう、誰もいない・・・2人の世界のときだけ、は素直になる。
1ヶ月、恋人のフリしてそれに気づいた。
皆の居る前じゃ、素直になろうとせぇへん。
せやけど、俺と2人っきりになれば少しずつ素直になっていった。
「ホンマ・・・自分、こういう時だけ素直になんねんな」
「こ、こういう時って・・・べ、別にそうじゃ・・・っ」
「ちゃうちゃう、俺と2人っきりのときだけ。自分気づいてへんやろうけど・・・めっちゃ素直なんやで。普段とは大違いや」
「そういうの、蔵は嫌い?」
「別に。逆に俺しか知らんような表情あるから、その方がえぇ。その方が・・・・・・えぇねん」
「蔵?」
他の誰にも、見せとぉない。
俺だけしか知らん、の素直な声。
俺だけしか知らん、の甘えた表情。
俺だけしか・・・俺だけしか・・・――――。
「なぁ・・・きっと、俺だけやろ?・・・の全部、知ってるんは」
「蔵・・・・・・ぅん」
自惚れてもえぇか?
お前の全部知ってるんは、俺だけやって。
お前の事全部分かってるんは、俺だけやって。
そして――――。
「自分の全部愛してるんは・・・俺だけやろ。なぁ、」
「えっ・・・あっ、やっ・・・あぁあっ!い、いきな・・・挿れちゃっ・・・ああぁあん!!」
正常位のまま、俺は再びのナカへと入り込んだ。
突然すぎる事では甘く啼く。
俺の肩に手を置かれ、少し力が入ったのが分かる。
爪立てられて、痛いけど・・・・・・コイツから付けられてるキスマークと思えば、可愛えぇもんや。
「・・・、好きや・・・好きやで」
「あっ・・・蔵っ・・・蔵、ぉ願いっ・・・もっと、もっと言って。・・・好きって・・あっ、ああっん・・・言ってっ」
「えぇで」
俺が「好き」と言い始めると
がその言葉を求め始めてきた。
俺は腰を動かしながら、に囁く。
「好きや・・・、めっちゃ好きや・・・っ」
「もっと・・・ぉ、願いっ・・・んっ、くぅ・・・ああぁ・・・・・もっと、言って!」
「何べんでも言うたるわ。お前が、好きや・・・好きや・・・めっちゃ好きや」
「ゎ、私も・・・私も、好きっ・・・好き、だょ」
甘い声で囁かれる「好き」という言葉に
俺の胸は締め付けられる。
それを知られるんが怖くて、俺は彼女を酷く求めるように
体を動かし、愛を注いだ。
「あっ・・・あああっ・・・だ、めっ・・・ま、またっ・・・蔵ぁ・・・イッちゃぅう・・・!」
「もう・・・何べんイッたか、分からへんやろ。えぇで、何べんでもイき・・・俺も、もうイくから」
てっぺん近いせいか、がイくサインを出す。
俺もそれに乗っかるように、腰を激しく動かし彼女を攻めあげる。
何度、体を重ね
何度、快楽を味わい
何度、偽りの姿に隠した愛の言葉を囁いているか。
数えんのも、疲れたわ。
でも、を手離すつもりはない。
それだけは、絶対に。
「あっ・・・ああっ・・・んっ!」
「・・・っ!」
「んぅっ!!―――あぁああああん!!」
何度目か分からない快楽を共に味わう。
全てを受け止めたは
目を開き、俺をジッと見つめ―――。
「・・・・・・好き・・・・・・」
そう呟く。
俺は一旦目を閉じ、すぐさま開く。
「俺も、好きや」
そして、熱いキスの雨で
また快楽の底へと堕ちていくのだった。
気ぃついたら、夜。
の部屋の置時計見たら、完璧に人様の家に居る時間やない。
携帯を開くと、家からの着信が数件。
電話すんのも面倒やから、適当に姉ちゃんにメールした。
返ってきたメールに―――。
『遅くなるんやったら最初っから連絡せぇ!』
とお怒りの言葉が書いてあった。
こらぁ、家帰ったら完璧・・・雷落ちるな。
俺はため息を零しながら携帯を閉じ
隣で寝むっとるを見た。
かなりの疲労で、最後の最後気絶しよった。
まぁもう片手指本数超える以上ヤッたからな・・・気絶して当然や。
俺は手に持っていた携帯を床に置いて
の隣に体を潜らせ、後ろから彼女を引き寄せ抱きしめた。
「(ぬくいわ・・・コイツ)」
抱きしめた体は、生の体温そのまま。
まるで子供体温のようで、いつでもこのまま眠りに落ちそうなくらいやった。
腕に収めた柔らかい体には
所々、所有の証である赤い斑点が見え隠れしていた。
「・・・、好きや・・・」
ふと、俺はそう言葉を零す。
延々、俺はに囁き続けた。
「好き」だの「愛してる」だの・・・愛の言葉を並べた。
せやけど、俺の気持ち、想い・・・の心には絶対届かへん。
恋人のフリ、してるだけなんや。
せやから・・・・・・の中で俺は、本命やない。
忘れたい気持ち、忘れさせてやるまでの・・・ただの、出来合いの人形にしか過ぎん。
それでも――――。
「・・・好きや・・・・・・めっちゃ好きや・・・好き、なんや」
俺は、が好きや。
恋人のフリでも、もうえぇわ。
お前とずっと繋がってれるなら・・・ネックレス外さんといてくれ。
お前の忘れたい気持ち、きっとそのお星さんのネックレスに閉まってあるんやろ?
せやったら・・・外さんといてくれ。
「・・・・・・好きや」
俺は、お前をずっと―――好きでいたいんや。
Love→
(気付いてもらわなくても良い。だって一方通行の想いだから)