-------------カタッ・・・カタンッ・・・・・・。
「んっ」
不思議な音で目が覚めた。
目を開けると純白のシーツの波が広がっとった。
部屋が少し暗いけど、体を外に向けると
月明かりが窓から部屋に差し込み、部屋を少し明るくしとった。
「・・・?」
体を元に戻し、目の前を見る。
いつもなら其処にの姿があるはずやのに
今日に限ってその姿がない。
思わず隣にないぬくもりを探すように俺は体を起こした。
「・・・何や、其処居ったんか」
「蔵。・・・・・・ゴメン、起こした?」
「いや、起きたから丁度えぇわ」
体を起こすと、部屋の隅。
小さなダンボールの入った箱の前に
白いワンピース一枚を着たが立っとった。
彼女の姿を確認できて俺は、肩を撫で下ろした。
夢、かと思た。
いや、今でもそう錯覚してまう。
とホンマもんの恋人になれた・・・・・・それだけで「これは夢とちゃうんか?」と思うほど。
夢やないやろ?と何度も
確認するように、俺とは体を重ねあった。
いつもと同じようにしている行為なんに・・・なんだか今日は
一段と心が温かく、俺の気持ち全部・・・に伝わってるように思えて・・・嬉しかった。
「何してるん?」
「アルバム整理。こっちに来てやたらと写真増えたから・・・東京にいたときの写真捨てようかなぁって思って」
俺はちょっと見てみたいと思い
床に脱ぎ捨てた、下着とズボンを拾い上げ
それらを全部身に付け、ベッドから抜け出し彼女の背後に行く。
「東京にいたとき、ちゅうと・・・自分が氷帝居ったときのか?」
「まぁ大半は。でもあんまり氷帝に居て面白い事なんてなかったなぁ〜って思って。
この際だし、全部捨てちゃおうかなぁって」
「ふぅーん」
の肩越し、手に持たれた写真を見る。
「お!のロングヘアーや・・・可愛いな」
写真に写っていたんは、ロングヘアーの。
こっちに来たときよりも、表情は冷めており
桜の花びらが悲しく散ってるようにも思えた。
「そう?まぁお母さんの要望で髪の毛伸ばしてたんだけどね。こっち来る前に切っちゃった」
「何でロングヘアーのままでけぇへんかったん?あ、でも誰もが振り返る美人さんやから、やっぱセミロングでえぇわ」
「どっちよ。ホント私こんな顔してたんだ・・・何かヤダ」
「何で?可愛いやん。・・・コレ捨ててまうんか?」
「そりゃあね。ていうか、こんな顔の写真残しておくつもりないし」
それをゴミ箱に捨てようとしたの手から
俺は写真を取り上げた。
「せやったら俺にくれ。の昔んときの写真とかめっちゃ貴重やん」
「アンタ、私の幼稚園のときの写真も持ってるでしょ?気持ち悪いわよ、やめなさい」
「えぇやん。お嬢様の大切な記憶やで。・・・俺の全然知らんときのの記憶や、貰っとかな損や」
「別に写真で損得勘定しなくても」
「写真はな・・・記憶を残しておいてくれんねん。そのとき何があったとか、そのときの自分の事とか・・・色々な。
楽しい事も、悲しい事も、辛い事も・・・写真はそのときの自分を物語ってんねん。撮ったときは
辛かったかもしれんし、楽しかったかもしれん。せやけど何年後、何十年後、振り返ったときそのときの事が笑い話になんねん」
「蔵」
箱に入ったアルバムに目をやる。
するとアルバムケースの中から少しはみ出た写真が目に入る。
その写真に写ってるらしき小さな女の子は
ホンマ楽しそうな笑みを浮かべとった。
そして冷たい表情をしたの昔の写真を見る。
「今はにとって・・・この写真のとき、辛かったかもしれん。まぁ俺はそん時の自分の事とかよぉ分からんけど
昔と今・・・んでもって、未来。振り返ったときな、きっと笑って”あー、そういえばこんな時も自分にはあったなぁ“って
そう言える日が絶対来んねん。せやから、捨てたらアカン。まぁ憎たらしいヤツとかの写真はな捨てるに限るで。
俺もそういう写真あって、破り捨てた事あるわ」
「そうなの?」
「当たり前やん。俺かて、の知らん昔があんねん・・・って言っても教えたらんけどな」
「アンタ・・・人の昔の写真持っておきながら、そういうこと言うの?じゃあ今度蔵のお姉さんかお母さんに頼んで
蔵の昔の写真でも引っ張り出してもらおうかしら」
「ちょっ!?や、やめぇや。・・・ホンマ、お嬢様には敵わんで」
そう言うて、俺はを後ろから抱きしめた。
「く、蔵?どうしたの?」
「今、この瞬間・・・何かに残しておきたい気分や」
「え?」
「俺らがようやく、ちゃんとした恋人同士になれたっちゅう・・・・・・証が欲しいわ」
体を離し、の体を俺の方に向けた。
もちろんは何も抵抗せず、俺を見上げる。
月明かりで見えたの表情・・・頬がほのかに赤い。
「好きや・・・」
「私も、好き」
俺は手から、写真を静かに床に落とした。
今俺の前には・・・冷めた表情の彼女という花はなく
棘を払った、美しい花が咲いていた。
「・・・っ、やっ・・・やだっ、蔵・・・・立って、らんなぃ・・・んぅう!」
「ん?あぁ、の足・・・めっちゃ震えてるな・・・可愛えぇ」
ベッドに戻るのも面倒。
俺はと立ったまま、情事をしとった。
は壁を支えに立っとるけど、快楽で足が震えとるわ。
そのままの体勢で俺のアレをのナカに挿れ、そこで激しく律動をする。
動くたびに、は甘い声で啼き
同時に足が震え、絡み合う体液が太股を伝い床に零れる。
「あっ・・・あぁあっ・・・く、らっ・・・激しっ・・・んっ、あ・・・あぁん・・・!」
「激しいの好きなんやろ?立ってても、感じやすいんやな。コレもある意味バックで攻めてんのに」
「それは・・・あぅ・・・顔、・・・あっ、ああ・・・見える・・・から・・・んぅ、あぁあ」
「バックでも・・・鏡とか使えば、俺の顔見えるやろ?・・・変わらんと、ちゃうん?」
「わ、私のか、顔・・・い、らない・・・は、恥ずかしいっ・・・あぁん!」
「そういうの顔見るのも、俺は・・・えぇんやけど・・・なぁ」
深く突き上げた途端、は壁に爪を立てて甘く喘ぐ。
それを見た俺は、のナカに挿れてた自身を抜いた。
「えっ・・・や、やだぁっ・・・抜いちゃっ」
「体勢変えるだけや。こっち向いてしよ・・・壁に爪立てて、自分の指の爪でも割れでもしたら、綺麗な手が台無しや。
それよりかは・・・俺に爪、立て。背中にの爪跡が残るんなら大歓迎や」
俺の言葉に、がこっちを向く。
瞬間俺はを床に押し倒し、足を開かせた。
先ほど抜いたばかりで、蕾は潤んどった。
「あっ、やぁあ・・・み、見ないでっ・・・!」
「えぇやん別に、俺しか見てないねんから。さっきイキそこねたからな・・・思う存分イき」
そう彼女に告げ、再び挿入。
離れていた、少しの時間を取り戻すべく
俺は挿れてすぐ腰を動かし、のナカを犯す。
「あぁっ・・・あっ・・・く、らっ・・・蔵・・・好き・・・大好きっ」
「・・・もっとや。・・・もっと俺に言うてくれ、」
「好きっ・・・あぅ・・・あっ・・・蔵ッ、好き・・・大好き・・・大好きっ」
「まだ足りん、もっとや」
喘ぎながら、に言葉を繰り返させる。
去年、が俺にそれをさせたことを
俺は繰り返させた。
夢やない。
俺ら・・・ホンマに、恋人同士になったんや。
せやけど、何や幸せすぎて怖いわ。
「好き」っちゅう言葉がない限り、俺の幸せな恐怖は取り除けん。
腰を動かし、愛を注ぎながらに繰り返させる。
そうすることで
「あぁ、俺・・・ホンマにコイツと恋人同士になれたんやな」と思うことが出来る。
「蔵っ・・・蔵・・・好き・・・大好きっ・・・大好き・・・!」
「俺も大好きや。・・・俺ら、ホンマに恋人同士・・・なれたんやな」
俺がそう言うと、は言葉も出てけぇへんのかただ頷いた。
その姿を目に焼きつけ、俺はを抱きしめ
快楽で零れる涙を舌で拭う。
それが終わると、と目が合う。
「自分にぎょうさん、恋人同士っちゅう証・・・残したるわ。外だけやない、ナカもや」
「く、ら」
「それも毎日な。ホンマ、此処に一人にしとくのは嫌や・・・自分のお父ちゃんとお母ちゃんが帰って来るまで、俺も此処に居るわ」
「でっ、でも・・・蔵、練習あるし・・・ご家族も心配する・・・」
「ウチに連れてきてもえぇとか思たんやけど、ウチやと出来へんやろ・・・こないなこと。んトコやったら
毎日たっぷり・・・俺のモンやっちゅう熱、注いだる」
さっき、に言いかけた言葉。
こないなでっかい家に一人やったら、危ない。
ホンマはウチに泊まらせてもえぇねんけど――――。
「ウチは邪魔が多いからな。しばらくの間・・・俺も此処居るわ」
「蔵」
「大事な俺の恋人、放っとけるわけないやろ?それに、此処やったら・・・毎日、と出来るし」
「やっ、やだっ・・・毎日は、やだぁ」
「毎日やないとアカン。毎日せんと・・・すぐに消えてまう。消えんよう、離れてても、俺のこと思い出せるようにしとかなアカン」
そうでもせんと・・・俺の1年間の片想い、埋まらんわ。
が俺のこと、いつから本気になってたのか知らし
でも、俺はずっと前からの事好きになってた。
ずっとずっと、想いを伝えるまで・・・片想いのままやと思てた。
ようやっと、両想いになれたんや。
そう簡単に他のヤツに取られるなんて有り得へんけど
自分はずっと俺んモンやって・・・シルシも、証も、熱も―――。
「自分の全部に残しといたるわ。言うとくけど、フライングで告白したんやから、・・・自分に拒否権ないで」
「えっ、あっ・・・・・・んぅ・・・はぃ」
「えぇ返事や。もう・・・・・・絶対に離さん。好きやで、」
「私も、蔵のこと・・・好きだよ」
そう、交し合って・・・唇を重ねて
この気持ち全部が本物である事を確かめて・・・・愛を、熱を注ぐ。
なぁ朝、起きたら恋人らしい事しようや。
笑いながら話すもヨシ。
二人でじゃれあいながら、風呂に入るもヨシ。
台所立って、飯作るもヨシ。
色々、恋人らしい事・・・しような。
ようやっと、叶えられたんやから・・・これくらいせんとアカンやろ?
それが【恋人】っちゅう関係なんやから。
Love⇔Love
(今、僕らの新たな関係が始まった。正真正銘『恋人』という関係に)