物語が全て、ハッピーエンドならば
どれだけ幸せで、どれだけ素敵なことなんだろう・・・と小さいとき思っていた。


彼女の物語は、ハッピーエンドに終わった。



じゃあ、私の物語は・・・どこで終わって、どのような風に終わるのだろうか?




終わる場所は決まっているけれど
どんな風に幕が下りていくのかが、今でも気になって仕方が無い。







来年の3月で、私と彼の物語が終わる。






そのとき、私はどんな顔をして彼を見ているのだろう?


そのとき、彼はどんな顔をして私を見ているのだろう?





その時が来たとしても・・・・もう少し、物語を続けてはくれないだろうか?





それは、私の・・・身勝手なお願いにしか過ぎないけれど。











「ごめんね、急に呼び出して・・・その」





は私の手を握りながら、申し訳なさそうな顔を浮かべて言った。
私はそんな彼女の手を握り返す。






「いいの。の物語がハッピーエンドで終わったことが私は何よりも嬉しいから」







「よかったね。彼氏クンと仲直りできて」



「うん」



「早くお家に帰ってゆっくりしなさいよ」



「じゃあも一緒に」





ふと、目線をを迎えに来た車のほうに向けると
のお母さんと、の彼氏クンと思われる子、それから運転手さんがこちらを見ていた。

なんか、流石に私が居たら話したいことも話せない空気になりそう。
私は苦笑いを浮かべてに言う。




「私はいいよ」


「で、でも・・・っ」


「いいから。ほら、行った行った!」






私はの背中を押して、車に追いやる。


きっと・・・一緒に帰ったりなんかしたら、泣いてしまいそうになる。


彼女の物語がハッピーエンドで終わったのが嬉しいのもあるが
自分の紡いでいる物語が「そうでない終わり方」をすることが分かっていることが、辛く思えてしまうからだ。



幸せが詰まった中に、私は・・・居ないほうがいい。





「本当に、いいの?」



「大丈夫だって。お母さんも、彼氏クンも待ってるから行った行った!」




そう言うとは「ありがとう」と言葉を言って
車に乗り込み、施設を去って行った。

其処に残されたのは、施設の園長先生と私。





さんも今から帰るの?」


「はい」




車が見えなくなるまで見つめていた私に園長先生が話しかけてきた。







・・・幸せそうでしたね」



「そうですね。・・・・さんだって幸せじゃない、ご家族が居て」



「さぁ、どうでしょうね」



「え?」





家族が居るからと言って、必ずしも幸せとは限らない。


のところは、多分幸せだと思うけど
私のところは・・・きっと、私のせいで少しめちゃくちゃになってしまった。


当たり前だ・・・血の繋がりのない子をキョウダイとして迎えるには、お互いが幼すぎたのだから。






さん。ご家族とあんまり上手くいっていないの?」



「え?・・・ああ、いいえ」





園長先生に心配をかけまいと、私は嘘をついた。


完全に上手くいってない、ワケではない。
精市さんとは上手くいってるわけだし・・・分かりやすく言えば、私と幸村家の人たちとの仲はまだ未完成の状態というわけだ。




「帰ります」


「大丈夫なの、さん?」


「平気ですよ。じゃあ失礼します」


「気をつけて」





そう言われ、私は精一杯の笑顔で返し施設を去る。


駅に行く道・・・1人で歩く道で考えていた。




私の物語はハッピーエンドで終わるのだろうか?



は、あの関西弁の彼氏クンとハッピーエンドで終わった。
とてもツライ気持ちや苦しい思いをしたに違いない。

だからと言ってそれに張り合うつもりはない。

自分の人生と他人の人生は天秤にかけても、どちらが重いなんて言えたものじゃないから。


家族と多少上手くいかないことは、怖い。


だけど、もっと怖いことが私の目の前にある。





雅治とずっと、一緒にいれるかどうか・・・だった。





私が今もっとも恐れているのは、それだ。




彼との物語が、ハッピーエンドで果たして終わるのかどうか・・・ということだ。

つまり・・・期限付きの恋人を延長して欲しいというのが、ハッピーエンド。
逆に想いを告げて、砕けてしまえば・・・バットエンド。


どちらも、自分にとってはツライ選択にしか過ぎないが
失うよりか・・・目の前で消えてしまうよりか、ずっと・・・辛くない。




本当は・・・本当は、雅治に・・・好きだって伝えたいのに。







「いざというときに、いつも私は・・・・」







足がすくんで、泣いてしまうんだ。














・・・



話しかけられて顔をあげた。
上を見上げると、雅治が其処に立っていた。

辺りを見渡すと、自分の部屋。
知らず知らず私は辿り着いたのだろう・・・そして、そのまま膝を抱え泣いていたんだろう。
目が何だか腫れぼったくて、重いことが分かる。


何だかそんな顔で雅治の顔を見るのが申し訳なくなり、再び膝を抱え顔を伏せた。






「随分と、酷い顔じゃな」


「ごめん。試合、最後まで観れなくて」


「いいんじゃよ。それに、負けてしもたからなぁ・・・こんな惨めな俺を見んで正解じゃったわい」


「負けたあんたを慰めてあげたいのに、ホント・・・ゴメン」


「何かあったんか?」






雅治にそう問いかけられたが、私は黙り込んだ。


分かってる。

そうよ、最初から分かってた。






「雅治」



「何じゃ?」



「何も聞かないで。でも、私の事抱きしめて欲しいの」



「普通は逆じゃろうが」



「ゴメン」





今、弱っている私は・・・雅治を包み込んであげれる力がない。


本当は、雅治が一番ツライのにそれが出来ない自分が凄く・・・嫌。








「構わんよ。俺も、お前さん抱きしめたら気が楽になるからのぅ」







雅治の言葉に、私は膝を抱えた状態を解いて彼に抱きついた。
「おっと」と彼の小さな声が聞こえたが、すぐさま私の体に雅治の腕が絡み付いてきた。

それだけで、また・・・涙が止まらなくなる。






「何があったとか、俺は最初から聞くつもりはないきに・・・気にしなさんな」



「あり、がとう」







分かってた。


最初から、分かってたんだ。



私の物語はどんな道に進もうとも、終わりはきっとハッピーエンドじゃない。



全て自分を苦しめ続けるバッドエンドしか迎えない。




私が幸せな結末-ハッピーエンド-を迎えようだなんて・・・大きな間違いなんだ。





そうだよね、龍二。
雅治を好きになってしまった私を許すはずない貴方が用意している結末なんだよね。





Anhappy end-用意された結末-
(許されるはずのない恋をした私に用意されている幸福とは呼べない結末) inserted by FC2 system

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