「せ、精市くん!!」



「あぁ、。どうしたの?」






目の前に、俺の彼女であるが恥ずかしそうに立っていた。
しかも手を後ろに隠して、何やらもぞもぞと体を少し動かしていた。










、どうしたんだい?そんなに恥ずかしそうにして」



「えっ・・・あ、あのな・・・その・・・っ」



「どうしたの?」








俺が問いかけると、は「精市くん!」と今度は大きな声で俺を呼び
勢いよく後ろに引っ込めていた手を、俺の目の前に出した。


俺の目の前に出てきたのは・・・・・・植木鉢に入った、花。









「え?・・・お、俺に?」








そう言うとは、何も言わずただ頷く。

俺はビックリしながらもが差し出してきた植木鉢を受け取った。







「ありがとう。でも、どうしたの急に。こんなプレゼント、ビックリだよ」




「いや、あの・・・プレゼントなんやけど」



「え?」







の言葉に俺自身、さらに驚く。

するとは頬を染めながら俺から目線を逸らすように
ボソボソと何か言い始める。






「せ、精市くん・・・今日、誕生日やんか。・・・せやから、あの・・・プレゼント、思いつかんかってん。
ちゅうか、精市くん何が欲しいとか考える余裕なかった・・・って言うたら言い訳にしか聞こえへんかもしれへんけど
と、とにかく・・・何かあげたいって思たら、花しか・・・思いつかん・・・かったんや」













は焦りながら、俺に告げた。

俺は目を細め、彼女が俺にくれた植木鉢に植わった花を見て・・・を見た。









「ありがとう、



「え?」



「気持ちだけで嬉しいのに、こんなに素敵な花を植木鉢で貰えるなんてすっごく嬉しいよ。本当にありがとう」



「精市くん」






気持ちだけでも、言葉だけでも、彼女からもらえれば嬉しいのに
こんな素敵な花が植わった植木鉢を貰えるなんて・・・これは、大事に育てなきゃなと思いながら
俺は目の前にいるを見て言った。


その言葉にはホッとしたのか、「喜んでくれてよかったわ」と本当に
嬉しそうな顔をしていた。



あぁ、俺はそれだけでも最高のプレゼントになるのに・・・・・・なんて、思ってしまった。








「この花、何ていうの?」



「アスターや。日本じゃ蝦夷菊(えぞぎく)って言うたら分かるやろ」



「名前は聞いたことあるね。へぇこれが蝦夷菊なんだ」







が俺にくれた植木鉢の花は蝦夷菊(えぞぎく)。


中心の黄色を包むように、紫色の無数の花弁が咲いていた。

分かりやすく言えば、真ん中に小さな花粉を持った菊の花があって、更にそのまわりに菊の花弁をした
花びらが無数に重なっているって言えば分かるのかもしれない。








「でも、何で紫色?」



「え?・・・紫、あかんかった?嫌いな色やった?」



「そういうわけじゃないけど、何で紫かなぁ〜って。普通なら赤とかピンクとか
そういう色があるのに、何で紫かなぁって思ったんだ」







そう、俺が気になったのは花弁の色だった。



普通なら、赤やピンクといった祝い花にはもってこいのような色合いだ。
しかしが俺に誕生日プレゼントとしてくれた花の色は・・・・・紫。


別に嫌いなわけじゃないけれど、何故この色をチョイスしたのか不思議でならなかった。








「あっ・・・あんな、紫にしたんは・・・理由が・・・あって・・・」



「どんな理由?」



「い、言わなアカンの?」



「知りたいから聞かせて」







俺がにこやかに問いかけると、は頬を赤く染めて目を左右に泳がせていた。


緊張しているのかすごく可愛い。








「む、紫にした理由は・・・」



「理由は?」



「あの・・・その・・・っ」



「うん、何?」

































「わ、『私の愛はアナタよりも深い』っちゅう意味があんねん!」





「え?」






俺が驚いた表情を見せると、は茹ダコみたいに顔を真っ赤にして――――。










「あ、アカンっ!言うてもうた・・・っ!!も、もう恥ずかしくて死にそうや!!!」




「あっ、っ!?何処行くの!?」









は恥ずかしさの余り、顔を両手で隠しながらスゴイ速さで何処かへと走り去っていった。
俺は彼女に静止するよう声をあげるも、俺の声は届かず。


マズイ事を言わせてしまった・・・と思いながら、ふと腕に抱きかかえたエゾギクの花を見る。











「『私の愛はアナタよりも深い』か。そうかもしれないね、











俺は腕におさめた植木鉢のエゾギクを大事に、そして愛おしく抱きしめた。




分かっているよ。

君の愛は、他の誰よりも俺に対する愛が深いということ。



恥ずかしがり屋な君だから、こんな風に俺に素敵なプレゼントを届けてくれたんだね。







君の愛は、俺よりも深くそして優しい。



君の愛は、俺よりも深くそして愛しい。





まるで、植木鉢に咲く紫色したエゾギクのようで。
妖艶な色とは裏腹に込められた愛の花言葉で、君の愛をより深く感じる。






ふと、植木鉢に刺さったプレートに気がつく。

其処には――――――。




















【Happy Birthday Seiichi】


















「ありがとう。俺の大好きな」














最高の恋人。








君の愛は俺よりも深く










そして――――――。












枯れる事のない永遠の証。









(深い愛情にして最高の誕生日プレゼントありがとう)
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