「!!・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ」





目を開けると、見慣れた天井。

首を横に動かすと自分の部屋。


自分が今まで見ていたモノが「本当に悪夢」だと安堵した。


随分と酷い夢だった、と心の中で
呟きながら体を起こす。









「・・・っ、痛!」








体を起き上がらせると、胸の辺りに激しい痛みを感じ
それを抑えるように布団の上に蹲った。

ズキズキと痛む体。おかしい事に気づく。


自分の体の状態くらい自分で理解している。健康そのものだ。


だが何故こんなにまで胸が痛いのか分からないでいると
目に映る白い布切れ。


寝間着の着物の裾を捲ると―――――。









「ナニ、コレ」








幾重にも巻かれた白い布切れ。つまり、それは包帯。


一体何があったのだろうと困惑する脳内。
誰かに事情を聞かなければ、と思い声を上げようとするも
胸の痛みが酷いのか声が上がらず蹲る。












「お姉ちゃん、おは・・・・・お姉ちゃん!」




「はぁ・・・はぁ・・・?」










痛みを抑えていると、部屋の襖が開きが入ってくる。
は慌てて私の体をゆっくりと起こし、そのまま布団にと寝かせた。










「お姉ちゃん・・・・・お姉ちゃんっ」







私を呼ぶの顔は酷い程の泣き顔だった。
ようやく痛みが引き始めたのか、私は手を伸ばし涙を零すの頬に触れる。









「何泣きそうな顔してるの。まるで死人が生き返ったのを喜んでるみたいじゃない」





「何言ってるの!お姉ちゃん本当に死にそうだったんだから!!私が泣くのも当たり前なんだよ!!」




「え?」










大声で言うの言葉に私は驚きが隠せなかった。


私が、死にそうだった。


更に脳内が困惑し始める。










、私が死にそうだったって一体」




。主の容態は・・・・・・・・・主」




「宗、近」








やってきたのは三日月宗近だった。

宗近も私を見るなり一瞬驚いた表情をするも、すぐさまいつも通りの柔和な表情に戻り
私の横で泣きじゃくるの肩を叩く。









。皆に伝えてこい、主が目を覚ましたと」




「三日月さん。・・・・・・はい」




「くれぐれも慌てて此処に来るのはやめるよう、皆にも釘を刺しておくのだぞ。
主はまだ重傷の身。傷が開いたら大変だ、医者に我々が怒られてしまうからな」




「はい」








そう言っては涙を拭いながら、部屋を出て何処かへと行った。


が去ると、宗近が隣に腰を下ろしため息を零す。
そのため息はまるで私に対して半ば呆れているようにも思えた。

だが、今の私には見に覚えのないこと。
だったら確かめる事は唯一つ。












「宗近・・・一体、何があった?私に何があったんだ?」





「傷の衝撃が大きかったせいか、記憶が少し欠けているようだな主。何も覚えておらぬのか?」





「覚えているのは最悪な夢を見たことだけよ。起きたら、胸に包帯。其処から来る痛みで体中動きやしないわ」





「そうか。なら俺の忠告も無駄足だったわけだ」




「忠告?」









すると宗近は目を細め、布団に寝転ぶ私を見た。












「あれ程無理をするなと言ったし、が心配するぞとも言った。これだけ言ってもまだ思い出せぬか、主よ」





「思い、出す・・・?」










宗近の言葉で脳内で所々フラッシュバックが起こる。










『死ぬなよ女傑』




『最近此処付近の山々が騒がしいと思って』




『城下にちょっと様子見がてら買い物』




『土足で私の領地に入り込むなんていい度胸してるじゃない』




『無理はするな。が心配するぞ』




『奇襲!無数の修正主義者達が城内に侵入した模様!!』




『城内にいる敵を殲滅しろ。私も加勢する』




『身を挺して、家臣を守るのも―――主の努めよ』




『大将ぉおおおお!!!』













頭に手を当て、抜け落ちていた記憶が元に戻った。
そして手をゆっくりと布団の上に落とした。









「私は、何日・・・眠ってたの?」



「5日ほどだな。峠は越えたが、目を覚ますかは主次第と医者は言っておった。
その様子だと思い出したようだから、もう言わずとも良いな」



「・・・・・・ああ。皆は無事か?」



「多少なりと傷ついてはおるが、簡単に手入れを済ませれば問題ない。歌仙兼定と薬研藤四郎の2人を除いてはな。
アレ達の傷は外傷ではなく、心のほうを少しやられている。特に薬研の方は重傷極まりない。
自分を庇って主が瀕死の重傷を負ったのだからな」




「そうか」




「あの日、俺達が居ない間何があったのだ主?」







宗近に問いかけられ、私は目を閉じ口をゆっくり開き、言葉を紡ぎ出す。









「返り討ちにあった話よ。あんなの」







全ては、おそらく1週間も前に遡るのだった。





夢ヲミテイタ
(悪夢から覚めた私は未だ醒めぬ夢の中なのかと錯覚しそうだった) inserted by FC2 system

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