次の日、ワカバタウンの実家に帰ってきたら
私は玄関先で立ち往生しております。

理由は――――。








「は、はぃ」


「先日、君は何と言って私に電話をかけてきましたか?」


「”遅くなりますが、帰ってきます“」


「よろしい。では・・・私が何を言いたいか分かりますよね?」


「・・・・・・・・・ご、ごめんなさい」









ワカバタウンの私の一人暮らしの家に住まわせている
元ロケット団幹部のランスさんに
朝一番で怒られてます。

理由はもちろん、先日のこと。


本来なら、私は
マツバさんにシンオウに行くという話だけを済ませて
ワカバタウンの自分の家に帰ってくる予定だった。

マツバさんの機嫌の悪さに
中々話が進まず、遅くなりそうだったので
私はトイレに行くフリをして
ランスさんに”遅くなりますが、帰ってきます“と連絡を入れた。


だが、それが最後。



私は見事にマツバさんの手篭めに遭った。



しかも、帰ろうとしたら――――。










「何処行くの?」

「か、帰るんです。ワカバタウンのお家に」

「ふぅーん。・・・・・・・・・あのさ聞いたところによると」

「?」

「君・・・自分の家に、男住まわせてるそうじゃない?」

えっ!?(何処からその情報を!?)」

・・・知らない男を自分の家に住まわせてるってどういうこと?」

「あ、あの人は・・・その3年前からちょっと知り合いで。行く宛てもないからウチに住まわせて・・・るんです」

「へぇ〜。・・・・・・じゃあ今日は帰さない」

「は!?ちょっ、マツバさんそれは・・・っ、あっ、やぁあ」

「他の男と一緒に寝るくらいなら、僕と愛し合えばいいじゃない。というわけで今日は帰さない」








結局、気づいたら朝で
私はバタバタして、急いでピジョットの”そらをとぶ“で飛んで帰ってきた。

玄関のドアノブを捻って
開けた途端、腕を組んで笑顔で待ち構えていたランスさんが其処には居ました。





。一人前のトレーナーだからといって羽目を外しすぎです」

「す、すいません」

「帰って来れないのでしたら、先日の電話の時点でそういえばよかったんです」

「いや、その予定だったんですが・・・帰るに、帰れない・・・事情が」

「どんな事情ですか?」

「いやっ!?・・・あ、そ、それは・・・っ」




言えないです。


私に”大好きだ“、”愛してる“だと
マツバさんみたいにこう愛の言葉を囁くランスさんに
「エンジュのジムリーダーのマツバさんと大人の事情が」とか喋ってしまえば
それこそランスさんが怒って、エンジュジムに乗り込みそう。






「何の事情があったんですか、


「あーっと、その・・・えーっと・・・・・・」





だ、誰か助けてくださいっ!!!







「ランス君。もうその辺でいいよ、も反省してるようだし」





すると、ウツギ博士が苦笑いをしながら
怒るランスさんの静止を試みる。


ちなみに3年前、博士もランスさんの怪我の具合などを見て
やってきていたが、さすがにロケット団の幹部というのは知らない。

ただ、私が博士に「3年前のお兄さんが帰ってきた。私のお家に住まわせていい?」と
博士に尋ねたところ、博士はすぐに頷いた。



今では私には保護者が二人、居ます。





「ウツギ博士。・・・博士が甘やかすと、が其処に付け入ります。此処はしっかり怒らなくては」


「で、でもねランス君」




親代わりのウツギ博士。

そして、ある意味教育係のランスさん。



傍から見たら、普通の会話に聞こえるが
蓋を開ければ一人はポケモン進化研究の第一人者。
そしてもう一人は元悪の組織の幹部。







不釣合いだ。






「とにかく、無事に帰ってきたんだから・・・大目に見てあげよう、ね」

「はぁ。今回はウツギ博士に免じて許します・・・ですが、次はありませんからね

「は、はぃ。以後気をつけます」




そう言ってランスさんは部屋の中へと入っていった。


するとウツギ博士が私の耳元で喋る。




「面倒と思わないでね。ランス君、が帰ってこないから一日中起きてたんだよ」

「え?」

「今度からはちゃんと連絡しなさい。僕にしなくても、君の家を預かってるランス君は心配してるんだから」



そう言って博士は私から離れ
「じゃあ、また後で研究所へおいで」というので
博士は研究所へ戻っていった。



私はいそいそと部屋に入り、ドアを閉めた。
ランスさんはいまだピリピリとしたオーラを漂わせながら
コーヒーをカップに入れて
口に含んでいた。


私は申し訳なさそうに、扉の前に立っていた。





「ランスさん・・・あの」


「本気で心配したんですよ。何かあったんじゃないかって」


「すいません」




私は顔を少し伏せて、謝った。


すると、カップを置く音が聞こえ
ゆっくりとランスさんが私に近づいてきた。




「いくらチャンピオンだからといっても、君は女の子です。そして、私にとって大切な人です。
何があったのか知りませんが、もう二度とこんなことしないでください。本当に・・・心臓が口から飛び出そうなくらい心配したんですから」


「すいません。注意します」


「分かればいいんですよ。さぁ、座りなさい・・・急いで帰ってきて疲れたでしょう。新しいコーヒーでも淹れますね」


「は、はい」



そう言ってランスさんは
コーヒーを入れ替えに、キッチンへと向かった。


何か自分の家なのに、ランスさん一人居るだけで
まるでこの人の家に居るような気分。

顔見せ程度でワカバタウンには戻ってきているが
ほぼこの家をランスさん一人に預けている状態だが
楽しくはやっているみたいだった。
(博士とあれだけの会話でバトれてたし)











「しかし、何でまた戻ってきたんです?」


「ふぇ?」





カップに新しいコーヒーが入り
二人で飲んでいると、ランスさんは急に言葉を発した。





「あぁ、ちょっと博士に話が合って」

「話?・・・何のですか?」






私はコーヒーを口に含み、それを飲み込んで喋る。






「博士のお遣いで、此処を離れてシンオウ地方に行く話を」



「・・・・・・何ですかその話?」



「はい?・・・・・・・・・あ」



途端、目の前のランスさんの空気が先ほどの空気に戻った。


そういえば・・・・私、ランスさんに話してなかった。



このままではまたしても
お説教をされてしまうと悟り
私はカップを持って、席を立ちキッチンへと逃げた。








「っ!?」




キッチンに立ったのはいいが
背後にランスさんが立ち、行く手を塞がれた。

耳元にランスさんの息が吹きかかる。





「私は君がシンオウ地方に行くとは聞いてませんよ」


「あのっ・・・それは、昨日・・・話す予定だったんです」


「ほぉ。・・・では昨日、君が何処に居たのか当ててあげましょうか?」


「え?」





すると、腰にランスさんの腕が回り
引き寄せられ抱きしめた。

ガッチリと組まれた腕に、私は身動きが取れない。








「エンジュシティに居ましたね?」


「なっ、何で、それを!?」





私が驚いた声で問いかけると
ランスさんは耳元でクスクスと笑いながら答える。





「君の体から、お香の匂いがするんです。あそこは古い歴史の町・・・独特の匂いがあるんですよ。
特に・・・の体からは、あの町でひときわ変わった匂いのお香の香りがします。・・・・・そう―――」























「エンジュシティ、ジムリーダー・・・マツバの放つ香りと同じ匂いがしますね」



「っ!!!」



「昨日・・・彼と居たんですか?」




追い討ちをかけられるように耳元で囁かれる。
恥ずかしいし、吐息が耳に入り
体が痺れ、足が震える。


正直、私は耳元で囁かれたりすると・・・弱い。






「ラ、ランスさ・・・ぁのっ」



「隠したつもりでしょうが、首のキスマークもバレバレですよ。君の美しい肌に、こんな花弁を残したのは一体誰でしょうね」





そう言って、耳を甘く噛む。
それだけで私の体はビクッと跳ね
シンクを握る手が強くなる。




「マツバの家に居たんでしょう?このキスマークも、真新しい。・・・・・・言えない理由は、彼と・・・イケナイ事してたんでしょう?」


「ランスさん、あの・・・耳はもぅ」


「これはお仕置きです。違う男と一晩過ごすなんて・・・イケナイ子ですね、


「そ、そういうわけじゃ・・・っ、あっ・・・やっ!」





すると、ランスさんが後ろから
私の胸に触れ、大きな手で包み込み
やんわりと揉む。

耳に吹きかかる息はいまだ其処を離れない。








「ランス、さっ」


「顔が真っ赤ですよ、。・・・感じてるんですか?」


「ち、違いま・・・ふぅ」


「マツバに調教されて、こんな敏感になって。いっそ3年前に・・・私のモノにしておけばよかったですね」


「ランスさん・・・そ、んなっ」


「博士のところに行く前に・・・ちょっとお仕置きです。私を怒らせた罰と、他の男に体を委ねた罰を加えなければ。
イヤと言っても私は離しませんよ。もっとも冷酷な男・・・このランスを怒らせた罪は重いですからね」






そう言ってランスさんは
胸の手を、スカートのほうへと伸ばしていく。


声を出そうにも、耳を甘く噛まれたり
舌で耳の中を遊ばれたりと
弱点を最大限突かれてしまい、「離して!」という声も出ないし
ましてや、体が痺れて立ってるのもやっと。


このままじゃ、私・・・昨日のマツバさん同様、溶かされちゃう!!!































。言うの忘れてたけど・・・チケットのことで・・・・・・・・・・・・・・」







ウツギ博士の登場で
トロトロになる寸前から現実に戻ってきた。


だが、一気に血の気が引いた。





「あっ・・・ああぁああ、ごごごごごご、ごめんっ!!二人とも、そういう関係だったの!?
ぼ、僕気づかなくて・・・いや、ホント・・・申し訳ない!!せっかく帰ってきて二人の邪魔しちゃったね。
いやホント、僕・・・気づかない大人だよねぇ、ゴメンゴメン」







博士はもう焦りながら謝る。

いや、謝りたいのは私のほうなんですけど。

親不孝な子でごめんなさい、博士。
と、心の中でとりあえず謝ってみた。







・・・チケット持って、研究所まで来てくれる?・・・シンオウ行きの船のチケットだよ!じゃ、じゃあ僕研究所に戻るから!!」




そう言って博士はそそくさと
その場を退散、研究所に戻っていった。






「ムードが台無し。まぁ、仕方ないですね」






ランスさんがそう言うと、私の背後から
体を離した。

離された途端、私は出していた力が一気に抜け床に座り込んでしまった。



た、助かった・・・・・・のかなぁ?






「とりあえず、研究所に向かいなさい。シンオウ地方に行く話をされると思いますから」


「は、はぃ。・・・・・・え?」




私はシンクに向けていた顔を
すぐさま後ろに向けランスさんを見上げる。

私の顔を見ると、ランスさんはキョトンとした顔をしている。




「何か?」


「反対、しないんですか?」


「マツバが反対したから、僕も反対すると思いですか?・・・あの男と私を一緒にしないで欲しいです。
どうせ私が反対したところで、君は行くといって考えを変えないでしょうから。君のしたいようにしなさい。私はそれしか言いませんよ」


「ランスさん」





やっぱりこの人、大人だ。

どんな・・・私に対して、エ、エッチな事を考えているのかもしれないが
こういうところは大人だ・・・考えが大らかだ。






「でも、向こうでマツバ同様・・・手篭めにあったらただじゃおきませんよ」


「あっ・・・はぃ」





だけど、其処の考えはマツバさんと同じなんですね。






「さぁ、早く博士のところに行きなさい」




そう言ってランスさんは
座り込む私に手を差し伸べる。

私はその手に自分の手を重ね
引っ張り上げられ、立ち上がった・・・が、ランスさんに抱きしめられた。






「ラ、ランスさん!?」




「帰ってきたら、お仕置きの続きしましょうね・・・・・・




「え!?」




「逃げたらどうなるか・・・・分かってますよね?」





そう言われ、私は背中に何かを感じだ。





やっぱり、昨日電話するんじゃなかったと
私はこのとき後悔するのだった。






待つ男、ゆえに冷酷?かつ嫉妬深い
(ワカバタウンで待っていた人は、冷酷?で嫉妬深い人)

inserted by FC2 system

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル