ようやく射精が止まった頃には、膣からあふれ出した精液で足がベトベトになっていた。
「……気持ちよかった?」
ポーッと俺に抱きついている彼女が尋ねてきた。
「すごく……淫魔なのに……キミに溺れそう」
俺は素直な感想を口にした。
そこでハッとなった。
「……ごめんね。中で出しちゃって」
彼女はクスっと笑った。
「わたしのこと、妊娠させる気?」
「ごめん……」
「えっと……淫魔の子供って、数時間で、生まれちゃうんだよね?」
「あっ――それは産卵型。俺、偽装型だから」
「違うの?」
彼女は顔を話し、おでこ同士をくっつけながら目を覗き込んできた。
「全然違うよ」
俺は彼女の腰からお尻のあたりを撫でつつ応えた。
「産卵型は兵卒型の淫魔を産むことに特化してるんだ。だから、産卵型の精子は子宮にたどりつくと、すぐ勝手に成長して、これぐらいの大きさになったら、出てくるんだ」
俺は握り拳をつくってみせた。
「うん、見たことある。白いおたまじゃくしみたいなモノだよね」
「そうそう。それが1分ぐらい経てば、朱美と同じぐらいの年齢まで成長するんだ」
こうして白髪白肌、白目を含む部分まで真っ赤な眼をした知性に欠ける兵卒型淫魔が誕生する。彼らはほとんどロボットと同じだ。おまけに陽光をあびると灰になってしまう。これを生み出せるのは産卵型の淫魔か、特定の上級淫魔だけだ。
「俺みたいな偽装型だと、生まれてくるとしても同じ偽装型なんだよ。だから、普通の人間と同じ感覚でしか生まれないんだ」
「……十ヶ月?」
「そう。十月十日……だっけ?」
「うん。授業で習った。わたし……いいママになれるかな?」
息が詰まった。
「……産んでくれるの?」
彼女は恥ずかしそうに応えた。
「……うん」
心を打ち抜かれた。
完敗だ。
やはり美少女騎士は天敵だった。
淫魔の俺が、もう、どうしようもないくらい彼女に溺れてしまった。
本当にもうだめだ。
「んっ……」
彼女は少しだけ顔をしかめた。俺が彼女の腕をブランコから外し、お尻を掴みながらその場に座った衝撃のせいだ。
ちょうど対面座位の姿勢になった。
ついでに俺は、つかんだ彼女のお尻を、ほんの少しだけ上下にゆすった。
固さを失わない俺のペニスは、彼女の蜜と俺の精液でドロドロになった膣壁とほどよくこすれていた。
もっと強く動けば快感も高まる。
でも、ただでさえ出したばかりで敏感になっている。そこまでやった時には……自分がどうなるかわからない。こうして彼女の感覚を確かめられるギリギリの状態で、彼女の味を思う存分、味わいたい……
「……気持ちいい?」
彼女が尋ねてきた。
「すごいよ。朱美の膣(なか)。燃えてるみたいに熱いし、キューって締め付けてくるし、でもドロドロだからこっちが溶けちゃいそうで……」
「わたしも……」
彼女は艶っぽい眼差しで、ポーッと俺を見つめながら答えた。
「お腹の中……押されてるのわかるの……息が詰まるぐらい大きくて……奥、トントンって叩かれて、ピリピリするの……」
「痛い?」
「ううん……もう平気……これって……気持ちいいってこと?」
「エッチだなぁ。初めてなのに、もう気持ちいいの?」
「違うもん……カズの媚薬のせいだもん……あっ!」
俺が少し高く彼女をあげてから、ストンと重力に任せて落としていた。
朱美は口を半開きにしながら、プルプルとかわいらしく震えていた。
「ほら、気持ちいいだろ?」
俺は同じことを二度、三度とくりかえした。
「あっ! あっ! だ、めっ! あっ!」
「どうなんだい?」
「ちがう、エッチ、なんか、じゃ――あっ! ぁんっ! んっ! あっ!」
「エッチな朱美、可愛いよ」
途端、朱美の膣(なか)がキューッとしまった。
全身が小刻みに震え出す。
イッたのだ。
動くのをやめ、彼女を抱き寄せると、フッと体の力を抜いた彼女が、ぐったりと俺に寄りかかってきた。
「イッちゃった?」
「……うん」
「気持ちよかった?」
「……うん」
「うれしいよ。俺のモノで気持ちなってくれたんだろ?」
「……うん……カズのオチ○チ○……すごいの…………」
「もっとすごくしていい?」
「……だめ……もう……壊れちゃう…………」
「壊していい?」
「…………」
「ごめん。やっぱり俺、淫魔だわ……キミのこと、メチャクチャにしたくなってきた」
「……イキそうなの?」
「うん。本当にごめん。今度出したら……絶対、妊娠しちゃうね」
「いいよ……」
彼女は首に抱きついてきた。
「……カズの子供……妊娠させて……いいよ」
俺は遠慮も呵責も捨てた。
ブランコが邪魔になるので、グッと身体を捻りながら、彼女を横に向かって押し倒した。
下は、あふれ出た精液の水たまりになっていた。あまりにも小さな彼女の膣と子宮では、あの圧倒的な量を受け止めきれず、そのほとんどを溢れ出してしまったのだ。
俺は動いた。
精液のベッドに寝そべる彼女を汚した。
フレイムバニィを貫いた。
まだ胸もわずかに膨らんだ程度で、陰毛すら茂っていないS学G年生の女の子を、欲望のままに、膣の入り口から子宮口までズルッ、ズルッと、まんべんなく、何度も何度も犯していった。
彼女は右手で、たまたま頭上にあったブランコを掴んでいた。
左の人差し指は、口元に押し当てられている。
「ぁ……ぁ……ぁ…………」
可愛らしい喘ぎ声だった。苦悶するように寄った眉間のシワが可愛らしかった。
結合部からはジュボッ、ジュブッという信じられない音は響いていた。
俺の精液がさらにかきだされてきた。
彼女の蜜もあとからあとからあふれ出てきた。
限界はすぐ訪れた。
俺は射精した。
それでも腰の動きがとめられない。
――ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ!
深々と差し込むたびに、射精した。
腰を引いても射精した。
精液を押しのけながらズニュッと締め付ける膣壁をかきわめ、また奥で射精した。
射精しても射精しても精液が尽きない。
彼女から流れ込む精気も激しさを増すばかりだ。
と、彼女は何かをいいながら両脚をピンと伸ばし、背をのけぞらせた。俺の動きで体中にとびちった精液が、桜色に染まった彼女の体をいやらしく彩っていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
俺は獣の声を張り上げながら、これで最後とばかりに腰を強く突き出した。
彼女の腰をしっかりと引き寄せる。
たまらず膝立ちになった。俺もまた、彼女のように背をのけぞらせ、天をあおぎながら体中の精気という精気を彼女の中に流し込んだ。彼女からも最初の濁流を遙かに上回る量の精気が流れ込んでくる。
流し込み、流れ込む。
注ぎ、注がれる。
想像したこともない強烈な快感で視界が真っ白に染まっていた。
全身の感覚がマヒした。それなのに、ペニスの感覚だけはハッキリしていた。
世界がそこだけになった。
彼女に包まれながら彼女に注いでいる俺と、俺に注がれながら俺を包み込んでいる彼女だけが、この世のすべてになっていった……
♥
――フレイムバニィ……フレイムバニィ…………。
遠くから誰かが呼びかけてくる。
――ガイア……さま?
朱美の声が聞こえた。少しぼんやりとした声だった。
――おめでとう。とうとう、見つけたのね。あなたを耕してくれる人を。
――はい……人間じゃなかったけど……でも、いいんです。
――本当にそれでいいのですね?
――はい。
迷いの無い返事だった。
――淫魔の人。
それまでより強い声が俺を揺さぶった。
――は、はい!?
俺は応えた。だが、口を動かした感じがしない。それどころか、体の感覚が消えている。五感で感じられるのは、俺にペニスをしっかりと締め付けてくる朱美の膣の感触だけだ。強いて言えば、ぬるま湯につかっているような、心地のいい浮遊感もあるが……
――あなたの名前をうかがってもよろしいですか?
――後藤和也。
すんなりと出てきた。
――朱美に……フレイムバニィから貰いました。
――その名を大切にしてください。それはあなたを現すものであり、あなたがあなたであることを証明するものです。あなたはフレイムバニィとの結びつきによって、淫魔から、淫魔でも人間でもない、『ゴトウカズヤ』というまったく新しい存在に生まれ変わりました。そのことを決して忘れないようにしてください。
――はい……。
胸の中がじんわりと温かくなった。
俺は淫魔でも人間でもない『ゴトウカズヤ』になった――普通なら屁理屈にしか思えない言葉だったが、なぜか"ここ"では素直に受け入れられる気がした。
――フレイムバニィ、ゴトウカズヤ。新たなる敵が現れました。
――えっ!?
――敵!?
俺と朱美は驚きの声を響かせた。
――クィーン・インランの部下だった者たちが目覚めたようです。
部下? クィーンの?
――その力はすでにクィーン・インランを上回っています。注意してください。彼らは美少女騎士に宿る"精気の泉"を狙うはずです。8つの泉のうち、3つが彼らの手に落ちてしまえば、世界は彼らの思うがままになってしまいます……。
――ま、待ってくれ!
俺は叫んだ。
――部下ってなんだ!? 俺が、最後の淫魔じゃないのか!?
――未来の……あなたのいる時代のクィーンが生み出した淫魔は、確かにあなたで最後です。他はすべて消え去っています。
――未来? まさか……。
――私は過去から語りかけています。あなた方のいる時代から数億年前の地球。大陸の中央に位置する"生命の泉"のたもとから……。
衝撃的だった。
時空を越えた接触――そんなことが可能なのか!?
――フレイムバニィ。
――はい。
――あなたには……つらい役目ばかり任せて、本当に申し訳ないと思っています。
――いえ、いいんです。そのおかげで……和也に会えました。
――朱美……。
俺は無性に朱美を抱きしめたくなった。
――2人の未来に大地の加護と祝福を。
ガイアが祈りの言葉を告げた。
――もう、私はあなた方の時代と接触できません。これが最後です。ゴトウカズヤ、フレイムバニィのことをお願いします。
――はい。
――フレイムバニィ、他の美少女騎士たちのことをお願いします。
――はい。
――全ての騎士を集めるのです。そうすれば伝説……の……エーテ……ル……バ…………
――ガイア様!?
――おい、ガイア! ガイア!!
声は急激に遠のいていった。
それと共に俺たちの意識もスーッと沈むように薄らいでいった……
♥
お互いに意識が戻ったのは、日も暮れたあとのことだった。
「うわっ……」と彼女。
「うへっ……」と俺。
いろいろな意味で、俺たちは驚いていた。
日が暮れていたこともそうだが、精液の水たまりがブランコ全体を包み込むぐらいまで拡大していたことにも驚いた。それにも増して驚愕したのは、目でわかるくらい、彼女のお腹がポコッとふくらんでいたことだ。
「……妊娠しちゃった
♥」
彼女は恥ずかしそうに――でも、どこか嬉しそうに――膨らんだお腹を両手でさすった。
「させちゃったんだぁ……」
俺は呆然としながら、同じように彼女のお腹を両手でさすりだした。
まだ俺たちはつながったままだ。俺は正座したままだったし、彼女はだらりと両脚を伸ばしたまま、精液の水たまりに横たわっている。俺のペニスは固さを失っていない。ギリギリまで大きくなったまま、ガッチリと彼女の膣にくわえ込まれていた。
「よいしょっと」
彼女が両手を地面につけ、上半身を起こそうとした。俺は腰と背中に腕をまわし、お腹を圧迫しないよう注意しながら彼女が起きるのを助けた。
「どっちかな?」と彼女。
「えっ?」と俺。
「男の子と女の子」
「……女の子がいいな。朱美みたいな可愛い子」
俺は苦笑しながら答えた。
「うん。それでいっぱい、可愛がってあげるの。ずっと家にいて、必ず帰ってきたら『お帰りなさい』って言って、ご飯も一緒に食べて、お風呂も一緒で、寝る時も一緒で……それで朝になったら、『おはよう』って起こすの……」
彼女はお腹をさすりながら、夢見るようにそんなことをつぶやいた。
直後、彼女の顔はふっと真剣なものになった。
「でも、その前にやることやらなきゃ」
「……あの夢、夢じゃなかったんだな」
俺が尋ね返すと、朱美はコクッとうなずいてから、すぅ、と息を吸い込んだ。
「フレイムクリスタルパワァ……ベイビィシール」
ふわっと膨らんだお腹が淡い光を放った。
変化は一瞬だった。
スルッとお腹がへこむのと同時に、ふわっと半透明の何かが浮かび上がったのだ。
胎児だった。
淡い球状の膜に包まれた胎児は、丸まったまま眠り続けていた。
「あっ、女の子
♥」
朱美はクスッと笑ってから、そっと、その胎児を両手で支え持った。
みるみるうちに胎児が小さくなった。
重ね合わせた掌の中に隠れた。消えたかと思ったが、違った。
「平和になるまで、出産はお預け」
そっと見せてくれたのは、小さな胎児が眠る桜色のビー玉だった。
俺は驚いたまま、彼女の顔を見た。
彼女は苦笑していた。
「結婚してからひとりずつ……ね?」
「そりゃないよぉ」
俺はガクッと項垂れた。
だって……そうだろ? こっちは覚悟決めてたんだ。S学G年生の女の子を妊娠させて、あまつさえ出産してもらい、子供をあわせた3人で生活するために血反吐を吐いてでも頑張るぞぉ、とか。
「もぉ……S学生としちゃうだけでも犯罪なんだから」
彼女はクスクスと笑った。
「それは人間の話。俺、淫魔だからいいの」
「淫魔でも人間でも法律は法律」
「いいの。だからもっとセックスして、妊娠させまくる」
「うん
♥」
反発されると思った言葉だったのに、朱美は嬉しそうに微笑みながらチュッとキスをしてきた。
「いっぱい子供作って、いっぱい幸せになろ
♥」
「……よぉし。そのためにも、クィーンの部下という連中、さっさと片付けるか」
「そうこなくちゃ」
俺たちは唇を重ね合った。
時は夜。精液だらけの児童公園で、K校生ぐらいの淫魔とS学G年生の美少女騎士が全裸に近い恰好で、今だにつながったまま唇を重ね合う――そんな異常すぎる状況だったが、俺の心は不思議と穏やかだった。
頭上から降り注ぐ月の光が、まるで俺たちを祝福しているかのようにさえ思えた。
淫魔ですが、なにか?
第?話 最終決戦のそのあとに
了
ちなみに――
「うわぁ……全身ベトベトぉ」
「……どうしよっか?」
「抜いていい?」
「抜きたくないけど、仕方ないか」
俺はジュボッと彼女からペニスを抜いた。ぱっくりと穴を開けつつ、ドプッと精液をあふれ出す膣口を見るだけでも、またまたペニスがビクッと固くなった。そんな膣穴が、キューッと見る間にすぼまっていく様も、しまりの良さを連想させ、ペニスをビクビクっと震わせた。
「……カズ、元気すぎ」
内股になった朱美はムッと睨みあげてきた。
「いやぁ……淫魔だし」
「もぉ……よいしょっと」
彼女は立ち上がり、すぅ、と息を吸い込んでから、例の呪文を唱えた。
「フレイムクリスタリパワァ、ドレスアップ!」
炎の竜巻が体に巻き付き、再び彼女は武装状態に変身した。
かと思うと。
「フレイムセイバァ! バニィピュリフィケーショォォォン!」
一気に跳躍。巨大な剣を地面に突き立てた。
トーンと光の波紋が広がった。
――ズワッ!
精液という精液が光りの粒子と化して巨剣に吸い込まれていく。
俺の体についたものもそうだ。
当然、彼女の体に付着していた精液もキレイサッパリ吸い込まれていった。
ポカーンと口を開けるしかない。
「はい、これでおしまいっ」
剣を消した彼女は、クルッと回転しながら俺の前に着地した。
「ほら。服、早く着ないと」
「……あっ」
言われて思い出した俺は、あわてて脱ぎ捨てた服を拾い、埃を払いつつ身につけていった。ジャケットも羽織ると、結界がパキーンと砕け散る感覚があった。見ると朱美は、武装を解除し、真っ赤なポニーテイルの少女から、もとのベリーショートが可愛らしい、M学園S等部の制服姿に戻っていた。
なんとなく、なにもかもが夢だったように思えた。
彼女が美少女騎士であることも、俺が淫魔であることも、なにもかもが……
「……んっ?」
見ると彼女は、タタタッと鞄を拾いに行き、タタタタッと俺のほうに駆け寄ってきた。
ぶつかるように、俺に抱きついてくる。
戸惑う俺を見上げながら、彼女が笑いかけてきた。
「カズ、一緒に帰ろ
♥」
甘えるようなその言葉は、S学G年生の女の子そのものだった。
おわり