薔薇の情熱(稟×撫子)

21 名前:クオン【薔薇の情熱】 :2005/06/01(水) 23:27:27 ID:oSB4O5VZ
「・・・全く」


職員室は自分のデスクで、紅薔薇撫子はため息をついた。
原因は、言わずもがな『超法規的処置』によりクラスに入った神界と魔界のプリンセス。
というより彼女らのいきすぎた行動だ。


「つっちーも苦労するだろうな」


言って、再度溜息。
今度は、自分の生徒−土見稟−を想って。
彼には若い美少女たちが想いを寄せており、自身に勝ち目がないと解っているが、それでも諦めたくはない。

22 名前:クオン【薔薇の情熱】 :2005/06/01(水) 23:32:37 ID:oSB4O5VZ
土見稟は、最初からほかの連中とは違う男だった。
常に懸命で、大切なもののために奔走する優しさを持っている。
そんな彼に、撫子の視線は奪われていった。


「・・・そうだ」


撫子は不意に立った。
教室に筆記用具を忘れている。
ペンとは言え、大切にすればいくらでも保つ。


「仕方ない、取りに行くか」


イスを仕舞い、歩き出す撫子。
既に陽は傾き、夕暮れになっていた。

27 名前:クオン【薔薇の情熱】 :2005/06/03(金) 21:27:01 ID:CiFLjE5/
ガラガラと音をたてる扉を開いて、教室に入る。・・そこには、一人机にもたれ掛かる稟がいた。

「・・つっちー」
「あれ、紅女史?」


にこりと微笑む稟を見て、撫子は自分の体温が一気に上がるのを知覚する。
夕方で良かったと思う。夕焼けのお陰で頬の赤みに気付かれずに済む。


「どうしたつっちー?嫁達と一緒に帰らなかったのか?」
「嫁なんかじゃないよ、シアたちはね」


そう言って苦笑する稟。その苦笑さえ撫子をときめかせるには十分たるものだった。

28 名前:クオン【薔薇の情熱】 :2005/06/03(金) 21:34:23 ID:CiFLjE5/
(ダメだな・・・・)


撫子はそう思った。
掛け値無しに稟に惚れている自分に笑う。


「今日は紅女史に話があってね。大事な話だ」
「どうした?私で力になれるんなら力になるぞ」

茶化すつもりはない。
稟にマジメな顔でそう返した撫子に、稟は安堵のであろうか、溜息をついた。


「俺、紅女史が好きなんだって気付いたんだよ」

笑顔でそういう稟に、撫子の顔が固まる。
間違いなく、時が止まった気がした。


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