-------------------------------------------------------------------------------- SS -------------------------------------------------------------------------------- イム英:甘→切ない。 -------------------------------------------------------------------------------- イム英。甘い感じから切ない感じへ。 ※軽く事後^^ 『隣り合わせの』 「ん…」 目を開いたら、柔らかそうなブロンドの髪が見えた。 通った鼻筋。比較的長い睫毛。 (綺麗だな…) そこまで考えてはっとする。 目の前で規則的な呼吸を繰り返す人物をよく見つめる。 紛れもなくフランシスだ。 「っ!」 声にならない声。 ぼんやりと霞がかかっていた記憶が鮮明になっていく。 昨夜はフランシスに夕飯を作らせて、ついでに、と解禁になったばかりのボジョレー・ヌーボーを堪能した。 美味い料理とワインにいい気分になっていた。 そして料理とセックスだけは巧いこいつとそのまま。 不意に顔が熱くなる。 初めてでもなんでもないし、いまさらではあるが、いつもいがみ合っているフランシスとことに及んだときは何故だが恥ずかしくなる。 ふと気付けば、背中に自分とは違う体温。 脇の下を通ってまわされた腕。 密着する肌と肌に更に熱が高まるようだ。 「ぅ、ん…」 不意にフランシスがみじろぐ。 背中にある腕に引き寄せられ、ろくな抵抗もできずに胸の中へ。 「ぅわっ…!」 ぎゅう、と抱きしめられることがくすぐったい。 あまりにも普段とのギャップがありすぎて。 だけど、この温もりに慣れてしまったらどうなってしまうのだろう。 1人で生きてきた昔。 誰も信じず誰も愛さない日々は楽だった。 けれど一度この温もりを知ってしまった俺は、この腕に突き放されたときどうするのだろう。 幸せな空間を与えられながらも、不安ばかりが押し寄せてくる。 大きな幸せの裏側には、大きな不安や恐怖が隣り合わせているのだと思う。 抱き寄せられた胸に顔を押しつけると、生温い水が流れて「どうかした?」と優しい手が頭を撫でた。 ************** 簡単に幸せに身を預けられないアーサー。 幸せを手にした後で失う恐怖に怯えてしまう。 兄ちゃんの限りない愛で包んでもらいなさい^^