-------------------------------------------------------------------------------- SS -------------------------------------------------------------------------------- 洪♂普:暗い -------------------------------------------------------------------------------- 洪♂普。 ※洪男の名前は一度も出てきません。プーも一言も喋りません。 いろいろ捏造。暗い。 『美しい名前』 久しぶりに目にしたその姿は、少しばかり頼りなげに見えた。 しばらくの間イヴァンの家に滞在していたギルベルトが、ルートヴィッヒの所に戻ってきた。 あいつのことだからきっと景気よくビールでも飲んでいるんだろうと思っていた。 以前と何も変わらない様子を想像していた俺は、少し楽観的過ぎたのだろうか。 真白いシーツの上横たえられた身体。 枕の上には柔らかそうなプラチナブロンドが広がっている。 いつも俺を強気に見つめてくる赤い瞳は、伏せられたままだった。 腕から伸びる管。 久しぶりの再会には似合わないそれ。 ロシアに滞在している間に何があったかを連想させる。 「まだ目を開けない。精神的なものなのか、肉体的なものなのか」 後ろからルートの声がする。 そっと、ギルベルトの頬に手を伸ばす。 想像していたよりも温かい肌に、少しの安心と胸がしめつけられる感覚。 するっとそのまま撫でても、目は、開かない。 「お前、こんなおとなしい奴じゃねーだろ」 ギルベルトの笑顔が頭に浮かぶ。 本当に楽しそうで、明るい笑顔。 俺が一番馴れ親しんだ顔だ。 こういう状況になって初めて、自分がその笑顔をどれだけ好きだったかを知る。 そして俺は、その中でも特別な笑顔が俺だけに向けられていたことを知っていた。 ルートや他の誰でもない、俺だけに。 「ギルベルト…」 口にした自分の声が思いの外情けなかった。 「ギルベルト・バイルシュミットッ…!」 呼び掛ける声に返ってくる言葉はなく、静かな部屋に小さく溶けていく。 死んだわけではない。 いなくなったわけではない。 目の前にあいつはいるのに。 ぱた。 ギルベルトの睫毛が濡れた。 それはあいつの涙ではなく俺の。 閉じられた瞳を縁取った睫毛を、一通り濡らすと目尻から頬を流れていく。 思えばギルベルトが泣くところなんて見たことが無かった。 あいつの涙にも気づけずに今もこうして何もできないでいる自分の情けなさを感じ、俺はルートヴィッヒがいるのも構わず、ただ、泣いた。 「目を開けろ。目を覚ましたら、そしたら俺は…」 お前を。 ************* 友人Tに捧ぐ。 甘いのが書けません^^ とらえきれてない感がひしひし。 洪男ってどんな…(´ω`) イメージはバクホンの美しい名前。 洪♂普でやってみた^^ つか、ぶっちゃけ洪男感皆無w