西ロマ

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西←ロマ※学パロ:親分高2、ロマ中3設定

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ヴー、ヴー、ヴー。






バイブの鳴る音。

机のうえにカバンと一緒に放っていた携帯が存在を主張する。

ふと壁に掛けてある時計に目をやると、18:00を指していた。




「もうこんな時間じゃんか」



パカッと携帯を開くとアントーニョの名前。

高校と中学は少し離れているのに、あいつが一緒に帰るって言うから俺はいつも待っている。

あいつの部活の終わる時間まで。




「…ごめん、今日部活の後フランシス達と飯食いに行くことなった、先帰って」



知らずとため息がこぼれた。

自分以外に誰もいない教室にすっと溶けて消えていく。

椅子に掛けていた上着を羽織る。そこでようやく案外寒かったんだと自覚した。




「早く、言えよ」



ず、と鼻をすする。途端に虚しさがこみあげてきた。





一体なんのために。




なんのために待っていたんだ。



考えても仕方がないことだが、一瞬よぎったことは頭で反芻される。

机の上のカバンをひっつかんで、ガラ、と教室の扉を開けた。静かな廊下に俺の足音だけがひびいてなんとなく異質だった。






「っ!」





ぱたりと、実際には音はなく、涙の雫が足元に落ちる。




「…フランシス達と飯、ね」



自嘲的な笑いがこぼれる。

アントーニョの中での自分はどれくらいの存在なのだろう。

そんなことを考えた自分が滑稽だった。

何度ももらった「好き」という言葉。

だけど、そんな言葉はなんの意味も持たない薄っぺらなものにしか思えない。
そんな自分も悲しかった。



「口では好きとか言っても、俺なんか」



笑いかけてくるアントーニョの顔と、俺の知らない友人たちといるときのアントーニョの顔が瞬時に頭に浮かんだ。

涙腺が壊れてしまったかのように、涙がこぼれ落ちる。

学校なんかで格好悪いと思いながらもとまってくれそうにない。









(俺なんかが入る場所なんて在りはしないんだろ?)






いつも一緒にいる友人たちと、自分への態度のささやかな違いが気になって、胸が苦しい。

俺はアントーニョの中で彼らと同じ位置には立てないんだと思い知らされているようで、悲しい。








好きになんて、






心を開いたりなんて、






しなければよかった。
















****************


二人は一応両想い。

ただ、アントーニョは悪友達とすごく仲が良い。友達といるのが楽しくて、何をするにもそこが中心。

そんな時期。

もちろんロヴィーノのことは好きだけど、無意識なところでロヴィーノは傷ついている。

ロヴィーノからすれば、自分は中学でアントーニョとは離れているから、その間の自分の知らないアントーニョを感じさせられると寂しくなる。

やっぱり自分よりも近くにいるフランシス達のほうが大切なんだと思わずにはいられない。

共有している時間が違うから当たり前だと思ってしまうけど、自分のことも同じように見てほしい。

自分ばっかりが好きみたいで気持ちが帰ってこない気がして、ならいっそ好きになんてなりたくないと臆病風に吹かれてしまう。




そんな感じです。


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