さあ、どうしよう?

滅多矢鱈には無いこの出来事。

ふたりで、おでかけだって。

カチョウフウゲツ。

春らしく麗かなひかり差し込む窓辺で、ルキアは転寝をしていた。
ここのところ疲れていたのかも知れない。
連続して現れる虚。
戦うのは一護とはいえ、サポートしている上でも義骸は辛いらしい。
うとうととしているルキアの元に下の階から一護があがってきた。
「おい、ルキア。」
声をかけて軽く肩を揺らしてやると、ルキアは眠そうな顔で目を開ける。
「ん・・・あぁ、一護か…寝てしまったようだな…すまない…」
「別に謝ることじゃないけど…疲れたのか?」
「ああ…迂闊にもな…。」
ふーんと頷いて、一護は部屋を出ていこうとする。
「待て、一護」
「…あ?」
「何か用が在ったのではないのか?」
「いや、只ふたりで出掛けないかなと思って。」
こうして二人の出掛けは始まる。

一護に聞くと、もうすぐ遊子の誕生日がやってくるらしい。
そのプレゼントのための買い物に付き合うだけの話なのだが。
ルキアは、嬉しかった。
久々の安楽な時間、それは久々に一護と楽しく話せる時間。
「一護、何処に行くのだ?」
「…まぁ、遊子の好きそうな雑貨店とか見るつもりだけど…。」
『雑貨店』が何なのかはよく判らなかったが、ルキアはどうでも良かった。
一護と一緒なら、どこでもよかった。久々の、安楽した時間。

しかし訪れた雑貨店で一護とルキアを待っていたのは恐ろしいヒトの山だった。
「本日は特別セールの為、大変込み合っております」
機会的な笑顔で説明する店員と唖然とした様子でヒトを見詰める一護とルキア。
「どうしような…」
「こうも人が多いと苦労するであろう、別の店へ―――」
ルキアが溜息を吐きながら見たセールワゴンに飛びつく人々のヤマ。
その間から、ひとつの小物が落ちた。
気付くや否や、ルキアはそれを拾いに走る。
「あ、おい?!」
床につく直前で、ルキアはそれを見事に拾い上げる。
薄桃色の色球細工で作られている首飾り。
急に走り出したルキアに追いついた一護はルキアの頭を小突いた。
「なにやってんだよ!人だらけなんだ、勝手に行動するなよ!」
「…すまなかった。でも、これが落ちそうだったから」
得意げにそういってネックレスを見せる。
「こんなものでも良いのか?」「あ?そんなもんはどうでも良いんだよ、早く探そうぜ」
「…『そんなもん』だと?」
眉を顰めて不機嫌な顔を見せるルキア。
(げ…コイツ不機嫌になるとしつこいんだよな…)
「わかったわかった!それで良いよ、プレゼントは!」
「たわけめ。『そんなもん』、要らぬだろう?」
はぁぁ、と一護は溜息を吐いた。
「悪かった―――」
謝ろうとして顔を上げるとそこにはルキアが居ない。
「ルキア?!」
ひとりでずかずかと人の山を掻き分けて歩いていくルキアに追いつくのに精一杯だった。

その後ルキアは一護が満足する物を発見するまで歩きつづけた。
何度も何度も小物を探して。
ルキアは人込に酔ったのか少し顔色を悪くして。
「ルキア、もう良い」
「うる…さい」
蒼白した顔でふらふらと歩きつづけるルキアの手をいつの間にか取っていた一護。
「…何だ…?」
返事もせず、今度はルキアの手を取った一護がずかずかと人込の中を歩く。
ルキアは朦朧とした意識の中で、一護の手を頼りに歩く。
(一護…)
出口が見えた。一歩外にふみ出た。
そこでルキアの意識は消えた。
無残な買い物の結果―――。

「…ルキア」
目をゆっくりと開ける。
青い空が見えた。
しかしその中に混じった薄桃色が降注ぐ。
桜のはなびら。
「…一…護…?」
どうやらここは小さな公園のようだ。
「大丈夫だったか?お前店出た瞬間に倒れちゃって。」
(倒れた…)
「ぷれぜんとは…どうしたのだ?」
起き上がって心配した顔で尋ねるルキアに、一護は普通に答えた。
「また、今度にしようと思って」
「…すまなかった」
俯くルキアに一護がわらう。
「へへ、今度はもっと空いてる時に来よう」
「ああ…ありがとう」
空から無数に降注ぐひかりと桜のはなびら。
ありがとう。
「今度はお前の好きなものだって買ってやるよ」
「…そうだな、そうしてくれ。」
偉そうな態度のルキアに一護はわらう。
「死神の時は、こんな人込に入った事なんてなかっただろ?」
「死神の時は、こんな楽しい事もなかったぞ」
ふざけてわらうルキアに、一護は約束した。

「これからもずっとお前に楽しい景色を見せてやるよ」

「…ああ、約束だぞ」

はなびら舞う春の日。
ぼくらはすべてのものを手にいれるより。
こうしてふたりでいるほうが遥かにしあわせだよ。
きみがいるなら月夜もすてき。

ふたりの出掛けの成果、『次回の約束』

end

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1400hitter水城様からのありがたきリクv
しかし書き上げるのに一月以上かけてしまったワタシ。
小説スランプだったのですー;(今も)
そして更にウラページのSSも書いていて、本当遅くなりました;
水城様ー!散々待たせた上にこんなヘボでごめんなさい!!
これからもよろしくお願いします!(懇願)

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
うふふ〜;;
今更ながら雨音なまきさんから戴いた宝物をUP。
ずっとしそびれてました。すみません;
UPする前にその旨をカキコしにいかなきゃと思いつつ〜ズルズル。
やっとご報告して来たので。

それにしてもほんとほのぼのしててなまきさんの小説大好きです!!
気遣う一護!!!やっさしい〜!!
ムキになるルキアかっわい〜!!
何気ない日常の小説ってすごいすきなんですよぅv
散々待たせた月日は私の勝利かと。(競ってどうする)
こちらこそほんと待たせてすみませんでした;>リクイラ
こちらこそこれからもどぞよろしくです!!!!

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